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母親って孤独、な予防接種

冷たい雨の降る夜に、息子を抱っこ紐に入れて一人、病院に向かう。

暗くて寒くて、その道のりはどこまでも続いているみたいに長く感じて、もうすぐもうすぐ、もう大丈夫、と息子に話しかけながら自分自身にも言い聞かせて歩く時間は、うんと孤独だった。

誰かに思いっきり頼りたい。だけど、いまこの瞬間に息子を守れるのは、私だけ。



母親ってまじ孤独だわ〜、という話をしたい。

生後4ヶ月になった息子は、人生3回目の予防接種をした。

赤ちゃんの予防接種というのはなかなかハードスケジュールで、生後2ヶ月でいきなり4本の注射+飲むワクチンを同時に経験する。

突然身体を大人達に抑えられて、両腕両足にぶすぶすっと針を刺されるのだ。見ている親のほうが、心が折れそうになる。

初めての予防接種の時は本当にドキドキで、
過保護な私は「あーん、代わってあげられるなら10本でも20本でもママが注射してもらうのにぃ〜」なんて甘ったれた声で何度も息子に話しかけていたが、
当の息子は射たれた瞬間に(ひどい目にあった!!)という顔で真っ赤になって力強く泣いたものの、すぐに泣き止んで(疲れたしもう寝るか…)といった様子ですんなり寝てしまった。強い。

注射は痛いけど、夜に熱が出たり機嫌が悪くなってしまったりするけど、それを少しずつ積み重ねて息子がどんどん丈夫な身体になっていくことが、嬉しかったりもする。
母子手帳の注射の記録は、埋まっていくとスタンプラリーみたいだ。

そして先日生後4ヶ月になり、今回は3本のワクチンを射ちにまた病院へ行った。

予防接種3回目にもなると、親も子どもを連れて病院へ行くことに少し慣れてくる。
「お散歩にいくか〜」のテンションで息子を抱っこ紐に入れて、ゆったりと歩いて病院へ向かった。
息子のほうも慣れたもので、待合室ではキョロキョロと周りを見た後に私のほうを見上げ、私がマスクを動かして「いないいないばあ」をしてみせると「ふふへ!」と笑っていた。ここまではお互い余裕である。

名前を呼ばれて診察室へ入り、先生に「よろしくお願いします」と挨拶すると
「わぁ!むちむち!大きいねえ〜」と先生が息子に笑いかけてくれた。
息子も先生を見て「ふへへ!」と笑う。愛嬌抜群なのが彼の素敵なところだ。

今回も息子は注射の瞬間に大泣きしたものの、すぐにケロッと泣き止んだ。
そう、うちの子は強い。これでまた身体が丈夫になって、安心安心…なんて呑気に家に帰り、いつも通りの1日を過ごしたところまでは何もかも順調だった。

翌日のことである。
息子が急にミルクを激しく泣いて拒否するようになった。

いつもはぐびっと飲むところを、一口飲んでは怒ってのけぞり、落ち着かせてまた一口飲んでは怒ってのけぞり…ほんの少ししか飲まなかった。

うんうん、タイミングが悪かったんだよね、また後で飲もうね…と思っていたらその後もちっとも飲もうとせず、2時間、3時間、4時間、、と何も口にしていない時間がどんどん伸びていく。

このままだと、脱水してしまう。まずい。

ネットで「予防接種後 ミルク 嫌がる」と検索してもあまり情報は出てこない。

こういう時、大事にすべきなのはネットの情報ではなく母親の直感だ。

病院に相談しよう。予防接種をした病院に電話をかけようとするも今日は休診日。仕方がない、家から近いけど、待ち時間が長い病院に電話をかけた。

お医者さんが直々に折り返しの電話をくれて、状況を相談するも、
「今は混んでますか?」と最後に一言聞いたことがお医者さんの気に障ってしまい、
「何?嫌なら他のとこ行けば?」と電話を切られてしまった。

電話が切れる瞬間に「い、いえ!行きます…」と慌てて返事をしたがもう遅い。
雨の中息子を抱っこ紐に入れて、先ほど先生を怒らせてしまった病院に向かった。

ミルクを飲まないけど、顔色は悪くない息子。
夜中に少し熱が上がったけど、日中はケロッとしていた息子。

もう少し自宅で様子をみないと、と注意されるかもしれない。でも、大したことなかったね、大丈夫だね、よかったね、って安心できらなら、その安心のために病院に行きたい。

息子のことは、私が決断しなければならない、私の決断に全ての責任があるのだ、と改めて実感した。

病院で診てもらった結果、胃腸の動きが悪くなっていてミルクを飲みたがらなくなっているとわかり、坐剤をもらって帰宅した。

さすがに先生も大人なので、電話でのことは何も言わず丁寧に診察してくれた。(まぁ大人なら、あんな電話の切り方はしないでほしいけど…。笑)

病院に行って少し疲れた息子は、家に帰ると少しだけミルクを飲んで、「うぎ!(もういらない!)」と怒るとお気に入りのおもちゃで遊び始めた。

とりあえず、食欲はないけど少しは飲んでくれるし、元気そうだ。

そこから4週間。少しずつ息子のミルクを飲む量は戻っていって、あぁ、いつも通りに飲めるようになったね、と思ったのがつい先日のことなのに、また次の予防接種の日がやってくる。やれやれ。

母親って、子どもと一番長い時間を一番近くで過ごせて、毎日とても幸せだ。
だけど、小さな子どもの命を預かるというのは、時に心が押し潰されそうになるくらい責任重大だ。

孤独じゃないのに、孤独に感じてしまう。

先輩ママである友達にこの話をしたところ、「ミルク飲まないのは脱水に繋がるから即受診で大正解!!」と言ってもらえたのでそうだよねそうだよね、とほっとした。

こんな風に一つ一つの壁を乗り越えて、子どもも親も成長していくんだろうね。




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