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The pudding was served Clumsily. ぞんざいにきょう(供)されたプディング。 「華々しき鼻血」エドワード・ゴーリー 柴田元幸訳 河出書房新社 2001年より 


20代。エドワード・ゴーリーに引きつけられた瞬間があった。


The pudding was served Clumsily.
ぞんざいにきょう(供)されたプディング。
    


「 ぞ ん ざ い に きょ う さ れ た 」

プリンに掛かっていく その言葉のすべてにくらくらする。


しかも、「きょう(供)された」って 
Clumsily (副詞) の意味を引くと「不器用に」とある。
それを 「ぞんざいに」に変えるセンス。

それから  

きょ う さ れ た 

と音で一回読者に届けつつ 字で解らせつつ 
おもしろい!と びびらせつつ                    これでは意味が取られへんかもしれへんな。って 
(供)の字を間に挟んで見せてくる 訳者の感性に くらくらする。

ぞんざいに の「ぞ」だけ 丸で抜かれて、かるたみたいになっているのも たのしい。全然何の為にならない かるた。最高だ。

付けられた絵も おもしろい。

ウエイトレスのほうを見ているスーツの男。なんかべちゃっとなってるプリン。なによりも なにをかんがえているのかわからないウエイトレスのまなざし。それらすべてを引きたてる白すぎるテーブルクロス。

シュール!
この本はいったいなんなんやろう。

絵本。ということになるのだろうか。

華々しき/ あてどなく / まがまがしく / きもそぞろに / とめどなく / いたずらに / くらくらと ………

わたしは この本の絵をほとんど見ていなかった。

これらの語が、何にかかって
どんなことばをつくるのか。その角度。その取り合わせの妙。その可笑しみ。センス。センス。センス。センス。

ここからどこに連れていってくれるのか。

それしか見ていなかった。


追伸・訳者から本をおくってもらったとき
そこに書かれた文字、文、その全体に いよいよ くらくらした。
全体が、わたしの憧れ「そのもの」だったから。

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