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Vol.36 安全基地


私の両親はいつも夫婦喧嘩が絶えない。
父が他の女性と関係を持っていたから。

そんなストレスMAXな母は
娘の私に愚痴を吐くくことでストレス解消していた。


私が4~5才くらいだったか
はっきり覚えていないのだけれど

父が私を連れて喫茶店(今ならカフェですね)
に行った。

何で父が私を連れてきたのか?
わからないま、すわってジュースを飲んでいたら
店員さんの女性が父に話しかけてきた。

店員さん「この子だれ?」
父「娘だよ」

会話はそれだけ。

私が父に
「あの人だれ?」
聞くと、父は気まずそうにだまっている。

すごく違和感を感じたけど
それ以上は聞かない方がいいと察知して
私もだまっていた。

それからどのくらいの月日がたったのかは覚えていない。
私は小学生になっていた。

ある日いつものように母の愚痴につきあっていたら突然母が言い出した。

「お父さんの付き合ってる人、喫茶店につとめてるんだって!」

あれ?喫茶店?

もしかして、あの時のあの人?
記憶が記憶がよみがえった。

私は以前、父に連れていかれた喫茶店の話を母にした。

母は、「それ、そーだよ!それだよ!」
「あいちやん!一緒に行こう!!」

えーー!!
何で私が一緒に行かなきゃいけないの?
不安!怖い!
相手の女性は私のことを覚えているかも知れない。

母の気性の激しさは十分わかっているので
お店で激しいケンカにでもなったらどうしよう。

心配でたまらない。

でも母の勢いは止まらない。

「一緒に行こう!!」

断れなかった。

そして一緒に行くことになった。


お店に入って座り
また、ジュースを飲んだ。

母は回りをみながら
「たぶん、あの人」
目星をつけている。

私は怖くて何も話せず
うつむいてジュースを飲んでいた。

母も何もしゃべらなかった。

しばらくすると
「出よう」 
と言われて会計に行くと

先に出て
と母。

不安ながら外に出て待ってた。

すると割りとすぐに母も出てきた。

私「何か話したの?」

母「◯◯(父の名前)をよろしくね!って言って       
  きた」

えっ?それだけ?

お店の中でケンカし出すのではないかと
ヒヤヒヤしていたので
ひとまずホッとした。

その後、母は何も言わなかった。

結局何しに行ったのか?
当時の私はわからなかったけど

母は、自分は妻で、子どもがいるということを
相手の女性に知らしめたかったのだろう。
今なら何となくわかる。

あなた(父の浮気相手)より私(妻)のほうが上よ!
と言いたかったんだろうな。

その後どうしたかはわからないけれど
結局別れたみたい。

あの時の私のドキドキ、不安は半端なかった。

改めて思い出すと
自分の家は安心できる場所ではなかったな。


子どもの頃から早く家を出たかった。
高校卒業したら家を出たいと思っていた。

家が安全基地にならない私は
両親から離れてひとりになることが
一番安全になる方法だと
本能でわかってたんだろう。

私は家から離れた学校に合格して
高校卒業と同時に家に出ることができた。

自由を手に入れることができた!
独り暮らしはとても楽しかった。

けれど、最近気づいた。
50才を過ぎた今でも、
私に安全基地はない。

正確にいうと
安全基地があっても、心から安心することができない。

悩みを人に相談すると

迷惑かも
嫌がられるかも
ウザがられるかも

と考えてしまう。

母から愚痴をを聞いて
さんざん感じたイヤな思い。

人に相談するなんて、愚痴を言っていた母と同じになってしまうのではないかと思ってしまう。

それに、もう大人なんだし、
そこそこ人生経験積んできたんだから、
自分の問題は自分で解決できなきゃいけない。

人を頼ることにストップかけてしまう。

人を頼るくらいなら、自分で何とかしよう。
どうにもできないなら我慢すればいい。

そうすれば誰にも迷惑かけなくて済む。
誰かにイヤな思いをさせなくて済む。

ひとりで抱え込んでいたほうが気が楽。


苦しいけれど、気が楽なのです。
自分が我慢していればなんの問題もないのだから。

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