🟢イランに対する秘密の 友情 イスラエルとサウジアラビアが緊密化する理由 ユダヤ国家とリヤドとの間の合意の可能性の詳細が明らかになった。 キリル・セメノフ2022年7月12日

過去記事より(注・バイデン、仕事めちゃくちゃしてたことわかった😲👀。今はイランとサウジの国交正常化やイエメン終結過程など色々変化しました。)

サウジアラビア、イスラエル、ヨルダン川西岸を訪問中のジョー・バイデン大統領は、リヤドにイスラエルとの国交正常化を働きかけようとすると見られている。そうなれば、ドナルド・トランプ政権時代の中東和平計画であるアブラハム合意の大幅な拡大になる。

バイデンの中東訪問の前夜、イスラエルとサウジアラビアが結ぶ可能性のある合意の詳細が明らかになった。これには、イランに対抗する地域的な海・空防衛同盟の結成、イスラエル航空機のサウジ領空使用許可、サウジ市民のエルサレムへの渡航とイスラエル・アラブ人のサウジへの直行便によるハッジの実施が含まれる。

全体として、反イラン同盟の形成に向けた現実的なステップとなると、このような希望は楽観的すぎるように思われる。しかし、両国がこの路線で協力するための前提条件は以前から存在していたが、より複雑で長い準備作業が必要だった。

ハッジの問題やイスラエル民間機によるサウジ領空の使用に関しては、この2つのテーマがすでに部分的に活性化しているため、ここで動きがあるかもしれない。例えば、2020年11月、リヤドはイスラエル航空機がUAEの目的地に到達するために領空を使用することを許可した。それ以来、イスラエルとドバイ、アブダビの間には、KSAを経由するいくつかの商業路線が開設されている。

イスラエル系アラブ人もハッジを行うことができるが、今のところ、第三国から王国の領土に到着することが条件となっている。一方、近隣のアラブ諸国からの巡礼者はその半額程度である。イスラエル系アラブ人のサウジアラビアへの直接アクセスも、将来的には大きな障害はない。

一般的に、リヤドはイスラエルとの関係を段階的に正常化する方針を長年とってきたが、その方向への歩みは、たとえばUAEなどに比べるとはるかに慎重である。その理由はいくつかある。

ただ和平を結ぶことはできない

まず第一に、サウジアラビアの支配者が「2つの聖地の管理者」、つまりイスラム教の2つの「聖なる」あるいは「禁じられた」都市であるメッカとメディナの管理者であるという立場を念頭に置くべきである。この地位は、（他のアラブ諸国の統治者と比べて）自国の臣民だけでなく、イスラム世界全体に対してより広範な義務を王室に課している。サウジアラビアの統治者は、イスラム教の聖地を外的・内的脅威から守ること、ハッジを組織すること、その他多くの責任を負っている。

しかし、イスラム教の聖地は2つではなく、3つであることに留意すべきである。第3の聖地は、現在イスラエルが占領しているエルサレムである。したがって、サウジアラビアの支配層にとってのアラブとイスラエルの対立は、アラブ人やユダヤ人自身の矛盾やパレスチナ国家創設のための闘争を超えている。この対立は単なる宗教的なものではなく、サウジの国益を無視したり犠牲にしたりすることのできない神聖な要素を持っている。

そしてここで、サウジアラビアがイスラム神権国家であることを考慮に入れることが重要である。少なくともサウジアラビアは、外交および国内政策においてイスラムの原則に導かれるべきであり、イスラム教の規定だけでなく、「二つの聖廟の管理者」としての支配者の地位にも目を向けて政治的決定を下すべきである。

歴史を振り返れば、リヤドとイスラエルは1960年代後半まで、アラブとユダヤの対立にもかかわらず、機密扱いのない接触を保っていた。両国の共通の敵はエジプトのガマル・アブデル・ナセル大統領であり、サウジは内戦が続いていたイエメンをめぐってナセル大統領と公然と対立していた。王国は王党派を支持し、ナセルは共和党派を支援するために軍隊を派遣した。しかし、リヤド側の急激なUターンを予感させたのは、1967年のイスラエルによるアルクード（エルサレム）と神殿山のアルアクサ神社の占領だった。1967年以来、リヤドはエジプトと和解を始めており、アラブ・イスラエル紛争はその後、当時のファイサル国王であった「二つの聖廟の管理者」にとって、宗教的な要素だけでなく神聖な要素も持つようになった。

もちろん、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の事実上の支配下にあるサウジアラビアは、イスラム国家というよりもむしろ国家的な、つまり宗教的な利益よりも国家的な利益が優先される方向に徐々に流れている。

🟢分かれ道の"タウィード国家"

サウジアラビアは、サウード家とアラビア半島の他のイスラム支配者、さらにはカリフの地位を持つオスマン帝国との対立の時代に、「タウィード（一神教）国家」、すなわち「真のイスラム」として登場した。しかし、サウジアラビアの聖職者から見れば、そのどれもがイスラム教の規定を十分に満たしておらず、あるいは矛盾していた（これは少なくとも議論の余地のある問題である）。そのため、サウジアラビアの原型であるディリーヤ首長国の統治者や神学者たちの意見では、宗教的基盤のみに基づいた新しいイスラム国家を建設する必要があった。これがサウジアラビアが目指すものである。

この点で、イスラム教を堅持し、イスラム世界における精神的な主導的役割を主張するというサウジ国家の「柱」を放棄することは、サウジ政権に時限爆弾を仕掛け、サウジ王朝の支配の正当性そのものに疑問を投げかけることになり、極めて問題である。

この点に関して、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、最も厳しい宗教的規制が基本的な問題に関係しない場合はそれを取りやめたり、例えば、これまでサウジアラビアで禁止されていた欧米のポップスターのコンサートを許可したりするなどの改革を導入しているが、国家のシャリーアの基盤が見直されたり、疑問視されたりすることはない。

🟢アブラハム合意に反対するアラブ和平イニシアチブ

似たような意味で、皇太子は（少なくとも今のところは）サウジアラビアとイスラエルの関係を正常化するという観点から行動しようとしている。つまり、イスラムの基盤から逸脱していると解釈されかねない条項を含まない限り、和解は許される。したがって、イスラエルとの国交正常化は、東エルサレムの所有権に対するパレスチナの権利が認められ、そこにイスラム教のアル・アクササ聖堂がある場合にのみ可能である。そうなれば、イスラエルとの和平協定に対する宗教的な禁止は、本質的に解かれることになる。

一方、ムハンマド・ビン・サルマン自身がイスラエルと外交関係を結び、サウジアラビアの国家基盤を変えることで歴史を作ろうとする可能性も否定できない。しかし、これは非常にリスキーな一歩であり、王国の住民の拒否反応を引き起こし、まだ根強く残っている潜在的な抗議行動を強化する可能性がある。いずれにせよ、そのような措置が可能になるとすれば、皇太子が父親に代わって一人前の君主となった後である。

一方、UAEとイスラエルの国交を樹立したアブラハム協定の条項は、サウジアラビアにはそぐわない。リヤドは20年前にアラブ和平イニシアチブ（API）を策定したが、これはKSAがユダヤ国家との関係を正常化するために守らなければならないあらゆるニュアンスを考慮したものだった。

AMIアラブ平和イニシアチブはイスラエルへの提案だった。この提案によれば、アラブ連盟の全メンバーは、イスラエルが1967年の国境線に復帰し、東エルサレムを首都とするパレスチナ主権国家を樹立することと引き換えに、テルアビブとの関係を正常化する。これにより、アル・クッズとそのイスラム聖地の所有権に関する問題は解消され、イスラム教徒の支配下に戻ることになる。

ブルームバーグが7月11日に報じたように、イスラエルとサウジアラビアの国交正常化にはかなりの時間がかかりそうで、他のアラブ諸国と結ばれたような大々的な合意ではなく、小さなステップを積み重ねていくことになりそうだ。イスラエルのイダン・ロール外務副大臣は月曜日、とりわけこのように述べた。

イランに対する小さなステップ

まず、対イラン路線では一定の前進が期待されるが、前述のように、ここでも画期的な取り組みが期待できる可能性は低い。

イスラエルとサウジアラビアの安全保障協力は、以前と変わらずダイナミックなものになるだろう。例えば、米国の支援の下、イスラエル軍とサウジアラビア軍が第三国とともに合同軍事演習に参加し、その枠組みの中で適切な協議を行い、危機的状況における両国の安全保障機関の相互作用のスキームを構築することが考えられる。

イスラエルが、国交のないサウジアラビアとオマーンとともに、米国が主導する中東での大規模な海上演習に初めて参加したのは、今年2月のことだった。この国際海上演習2022（IMX22）は、イランとのつながりが指摘されているイエメンのフーシ派によるUAEへのミサイル攻撃を受け、ペルシャ湾の緊張が高まっている中で行われた。

同時に、反イラン分野におけるサウジとイスラエルの情報機関の協力関係は、以前から多くの憶測を呼んできた。たとえば、レバノン・ヒズボラの「特殊作戦部隊」の悪名高きリーダー、イマド・ムグニェの清算における協力の可能性について、アラブの巷に流れた噂がそうだ。こうした噂がどこまで真実かはわからないが、情報機関同士の情報交換の一環として、より広範な反イラン同盟を形成するための両国間の協力が進展する可能性はある。しかし、すでに述べた理由から、王国がイスラエルと公然と軍事協力を行う可能性は低い。

その一方で、イスラエルとサウジアラビアの高官が機密扱いなしで直接接触する可能性は否定できない。これに関する情報も定期的にメディアに流れている。

例えば、ブルッキングス研究所がイスラエル政府関係者の話を引用して伝えたところによると、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は2020年、サウジアラビア北西部にある未来型技術都市ネオムで、当時のイスラエルのネタニヤフ首相とマイク・ポンペオ米国務長官を迎えた。リヤドは当時、この会談を否定していた。しかし、独立オブザーバーによってモニターされた航空交通データによると、ネタニヤフ首相が以前使用していた飛行機がイスラエルからネオム近郊まで飛行し、そこに着陸し、数時間かけて地上に戻ってきた。