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<山口朋子さん>第五回 彩塾

主婦をターゲットにした起業塾、彩塾。取材のため、期間限定での入塾をお願いした。今は、時勢をみて、セミナーはオンライン・リアルの両方で開催されている。東京以外からの参加者も多いので、日常のコミニュケーションは彩塾SNSという独自のシステムを使用している。

彩塾SNSは、私が学生時代にハマったmixiと同じような外見。懐かしさを感じる。”起業”のガツガツしたイメージはそこにはなく、”フレンド”申請や、紹介文など。一緒に成長する仲間とのつながりを目指しているのが、一目でわかった。

月1の定例セミナーで学んだことを日記に書いたり、各自がサービス提供しようとしているお試しプログラムの告知など、試行錯誤を仲間と楽しく進めている。

もちろんMOMOさんの人柄からも滲みでてくるように、ただの仲良しサークルなどではない。「ダメなものはダメ」「ここを改善してほしい」などが、講師陣だけでなく、塾生同士の中から檄が飛ぶ。昼夜問わず。文化祭の準備風景を見ているようだった。

私は、エネルギッシュな活動風景を見て、なかなか踏み込めずにいた。「取材という目的だから」というのもある。が、単純に引いてしまっていたのだろう。小学生の時にやった、大縄跳びの感覚。いまだ、いまだ、と入りタイミングを失っていた。その背中を押したのが、MOMOさんだった。

「興味があるのなら、とびこまなきゃだめよ。相手に与えないと。自分は何も受け取れないよ。」

勉強会にも参加したいけど、子供が家にいてみなさんの邪魔に。。という私の返答を遮り、

「何言ってるの。子供がいる主婦はみんなそうよ。あたりまえじゃない。一言、退出しますとか、なんとか、声をかければいいのよ。」

かつて、同じようなことで悔しい思いをした。と続けるMOMOさん。娘が幼かったころ、セミナーに参加したかったが、子連れはダメというところがほとんど。もちろん今のように、オンラインセミナーや、ウェビナーなどは行われていない。成長したい思いは、誰にも負けていないのに、なぜ、と。

「そんな思いは、ここではさせたくないの。だから、自分から飛び込んでみなさい。」

こんなやりとりがあって私は、塾生全員にメッセージを送り挨拶をし、プロフィールを埋めて、自己紹介がてら日記を書き始めた。シャイな私がここまでする力が彼女の言葉にはあった。

1番にコメントをくれたのもMOMOさん。夜遅くても、朝早くても、必ずコメントを入れてくれた。背中を押した分のフォローも手厚かった。その様子を見てからか、他の塾生もやりとりの輪の中に入ってくれた。一時的でも、関係ない。仲間に入れてもらえた感じがした。

オンラインコミュニティにおいて、「新参者が、輪に入る」というのは、かなりハードルが高い。うまくいかない現状を打破したいという意思と、誰を頼って良いのかわからない思いが交差する。その迷いが、どうしても出足の一歩目を躊躇させる。そのままずるずるときっかけを掴めず、数ヶ月でやめてしまうこともある。本人が人見知り、という理由だけでは済ませられないことだ。

そのハードルを主宰者自らがサポートしてくれるのは本当に心強い。その人を見て、入りたいと思った人がほとんどだからだ。

一連の話を頭で繋げた私は、MOMOさんの理想を体現したような場所ですね、ここはと伝えた。すると、

「よく言われるけど、それはちがう。もちろん、彩塾は私にとってのライフワークには間違いない。でも、私=彩塾ではないのよね。」

言っている意味がよくわからない。という首を傾げた私を見て

そのうち、わかるよ。
と含みのある眼差しの彼女。

約束の時間も過ぎていたので、そこでお開きとなった。


インタビューを終えて、しばらく立った後。

”マルチカラーの私で生きていく”

こんなタイトルのブログ記事が公開された。
やはり、山口朋子には敵わない。


編集後記
おはようございます、アイダです。山口朋子さん(MOMOさん)のインタビューエッセイ。5回目です。体調不良とか諸々あって、だいぶ時間が空いてしまいました。双極系男子なので。ご理解いただければと思います。

「子連れでのセミナーを断られた。」というエピソードは、私はMOMOさんらしさを感じて、特に気に入っています。嫌な意味で、日本社会らしいな。と納得してしまう凡庸な自分からすると、そこに問題意識を持って自ら実践しているMOMOさんの姿が美しく見えるからです。

文章の内容は、MOMOさん本人の修正依頼がある以外は、基本的にそのまま残す予定です。どこまで、いけるものか、楽しみです。私の文章で、一人でも、MOMOさんのことに興味を持っていただけるとうれしいです。

では、また次回。

双極系男子
アイダ

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