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<山口朋子さん>第七回 家族

ある日、Instagramを眺めていると、MOMOさんとその夫、山口拓朗さんの対談動画が流れていた。拓朗さんの新刊発売記念のインタビューを行っていたようだ。

山口拓朗さんは、文章術というジャンルで40冊以上のビジネス書を世に出している。MOMOさんは、主婦起業の専門家として、彩塾を14年間主宰し、多くの悩める主婦に寄り添ってきた。

夫婦で、それぞれ別の角度から、社会にある問題の一つ一つ、解決に向けて取り組んでいる。お互いの強みを生かし、協力しながら。しかし、始めから今の夫婦の形ができていたわけではなかったようだ。


夫との出会いは、渋谷の小さなライブハウスでした。彼はアマチュアバンドのギターボーカルで。私は友達に誘われて、見にいきました。当時私は、仕事もプライベートもあまりうまくいっていなくて。でも、その時ステージ上で歌っていた彼をみて、「なんて自由な人なんだろう」って惹き込まれちゃったんですよね。私が大好きだった「尾崎豊」に見えた。しかも、ちょうどそのとき、尾崎の一周忌の日だったの。ドラマティックでしょう(笑)

彼は路上ライブもやっていたので、1年間彼の追っかけしたりして。新宿とか行っても、基本的にお客さんは私一人で。でも、本当に楽しくて。お互いに何か感じるところがあったのか、二人で打ち上げしたり、別日で映画を見たりして、一緒にいるようになりました。結婚したのは、その数年後のことです。

ー情熱的というか、本当にドラマや、映画に出てきそうなお話ですね。(アイダ)

ですよね。ちなみに、二人で初めて一緒にみた映画は、「恋する惑星」(ウォンカーウァイ  1994)でしたよ(笑)こんな感じで、結婚までは進んだんですけど。恋愛映画でもよく描かれているように、恋愛と結婚は別物で。”生活”となると、価値観の違いが少しづつ、見えてきます。

北海道の商人の生まれの私。鹿児島の農家の生まれの夫。独立心が強い私と、封建的な考え方が強い夫。これが、生まれてきた環境由来な部分も、それぞれの持って生まれた気質も、双方要因があるとおもうんですけど。お互いの価値観が、どうしても理解できなくて。苦しい時期がありました。

その後、娘が生まれて。私が産後うつになって、本当に辛くて。夫はその様子を見て「このままでは取り返しがつかなくなる」って思ったみたい。すぐに会社を辞めて、育児をやってくれるようになりました。

でも、収入は激減。生きるためには、「私も稼がないと」と強く思うようになって、家でもできるネットビジネスをやることにしたんです。私も一生懸命努力したし、家族の支えもあって、収入面も次第に安定するようになりました。

ー主婦起業のきっかけはそこにあったんですね。そして、家庭の安定と、ビジネスを両立させていったと。(アイダ)

両立?うん。。この話には続きがあって。。確かに収入面に関しては、軌道に乗ったこともあって、良い状態が維持できるようになりつつありました。しかし、反対に、夫との関係はかなり冷えていく一方でした。ひどい時は、ご飯を食べる時に、メールで事務連絡をして、できたご飯を自分の部屋に持っていって食べるとか。

当時を振り返ってみても、自分だけが悪かったとは思いませんが、相手をちゃんと見ようとしていなかった。何とかしようと思っても、空回りしたり、逆効果だったりで、溝は深まるばかりでした。ギスギスしてましたね。

それで、「もう無理だ、別れるしかない!」と二人がなったときに、娘をどっちが引き取るかという話になった。でも、お互いに譲ることはなかった。一歩も引かなかった。じゃあ、どうしようという風になったとき、

「お互いが娘と一緒にいるために、自分たち夫婦の在り方を見直す」

という結論に落ち着きました。

ーうん。。。?なるほど。スタートは双方感情的だったのに、着地点はめちゃくちゃ合理的なところに落ち着いたんですね。(アイダ)

それをきっかけに、一緒になって心理学や哲学、理想のコミニュケーションの在り方を勉強しました。最初は上手くいかない時もあったけど、お互いに試行錯誤を繰り返し、ようやく掴むことができました。こうやって、努力して、努力して掴んだ、夫婦の形なんです。

今、夫は私の1番の理解者です。この前も私がちょっと無理しちゃって、過密スケジュールを組んで倒れちゃったとき。夫が、私の手帳に半ば強引におっきくバツを書いて、「これ以上入れないこと!」って。私のことを本当に大切にしてくれるんですよね。

ー素敵です。(アイダ)

ありがとう。そうですね。理想の夫婦には誰でもなれるんです。私たちができたんだから、もちろん今も衝突はあるけど、一歩づつ、進むことはできます。

ー最後にひとつだけ。これは、あくまで私見ですが、主婦の方が起業を考えるきっかけというのは、「夫の収入に頼れないから、私がはたらかないと!」とか「自分の自由なお金や時間が欲しい!」とか、そういう夫とか、男性社会からの支配に対する抵抗が根っこにあるのではないかと思っていました。(アイダ)

アイダさんの言いたいことは、わかりますよ。スタートするのには、そういった感情もありとは思います。反骨精神みたいな、そういうエネルギーで動くのも時には必要ですから、でも、それだけでは難しいんです。家族として、幸せに生きるための主婦起業なのに、やった結果バラバラになってしまっては意味がない。

それは、離婚寸前までいった、私だからこそ伝えていきたいと思っているんです。起業って、本当に大変で、うまくいかない時もあります。家族や周りが求める母親業ができなくなったりする瞬間もあると思います。きつい時に頼れるのは、やはり一緒に住んでいる家族が1番自然です。家族に応援されるような、環境も同時に作らないと。心身ともに持続可能なものにしていきたいですよね。そのサポートを今後もしていきたいと思っています。

編集後記
アイダです。ホテル療養が後半戦に差し掛かり、心身とも落ちついてきたました。インタビューエッセイって、書く時の心理状態でかなり変わってしまうんだなぁ。と実感しました。インタビューしてる時だけじゃなく、追体験をする感じ。あと3回。自分も良い状態に維持しようと思います。

最後にお知らせです。
7月11日(月)に山口拓朗さん、朋子さんのスペシャル対談ライブ(Zoom)を行うようです。新刊を買って、7月5日まで申し込みをすれば無料で見れるようなので、興味ある方は是非。テーマは「人間関係を良くする理解力」今回のインタビューで出てきた内容に触れるかもしれませんね。私も楽しみです。

文章の内容は、MOMOさん本人の修正依頼がある以外は、基本的にそのまま残す予定です。どこまで、いけるものか、楽しみです。私の文章で、一人でも、MOMOさんのことに興味を持っていただけるとうれしいです。

では、また次回。

双極系男子
アイダ

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