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深層心理、禁断症状、そして岩田剛典。

空に住む

とにかく、岩田剛典だ。
彼の演技を見るためだけに、劇場に駆けつけほしい。

タワーマンションに暮らす人気俳優。
恋の噂も絶えない彼が、エレベーター内で、まだ引っ越したばかりの地味な女性編集者に声をかけ、不思議な交流が始まる。

スマートさと、ガサツさ。
優しさと、冷たさ。
コミュニケーションと、断絶。
両極の要素を並列させ、そのどちらにも真実はないと知覚させる、卓越した表現。

危険と安堵が共にあるその誘いに、わたしたちは必ず魅了される。
達観と、不安。
写し鏡のような岩田の存在感は、観る者の深層心理を暴き、置き去りにする。
その愉悦。

人は、人に、何を求めるのか。
その秘密が、いま、目の前にある。

もし、あなたが映画というものを愛しているのなら、岩田剛典に、その精神を骨抜きにされるだろう。
空っぽになったあと、きっと「禁断症状」が訪れる。
覚悟しておいたほうがいい。

これが、映画だ。

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