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秘すれば花なり秘せずは花なりけり

もう数年前になる。
登場人物は3人、皆既婚。

不倫の二股をされかけた話。

職場でたまに話をする程度の男性。
気さくで話しやすくて愛嬌のある人だなと思っていた。私より5つ歳上。
その人が急にラインを聞いてきた。
(これ以降その人をKと表す)
ん?って思ったけど、ライン交換くらい考えるほどでもないか…って断る理由もなかった。
Kはとても喜んでくれて、何気ないやりとりをするうちに、私のことがすごくタイプでひと目ぼれだったとかアプローチするようになっていった。

私は全然タイプではなかったけど、私に好意を示してくれるKに何だか情を感じるようになった。

不倫は絶対ないと思ってたから、プラトニックな関係でその人の想いを受け止めて、人間愛みたいな壮大なくくりでその関係を捉えていた当時の私。
いい歳した大人がそんなわけないと今では思うけど、その当時は本気でそう思っていた。

やがてKは好きだの愛だの、表現のシフトを上げて来た。
ここまで来てもKとの関係が進むとは思えなかったけど、はっきり拒絶できなかった私は浮ついていたと言って仕方ない。

そんな感じで、終わりにしたくもないけど、どうしようかなあなんて思ってた頃。
年下の同僚女性から急に、
「Aさん(私)、Kと付き合ってるんですかあ?若いコ達の間で噂になってますよお。」
と言われてしまった。

私は「付き合ってる?!何かの間違いじゃない?」みたいなことを言ったと思うけど、ラインのやりとりだけでもやましい気持ちがあったので内心パニックになっていた。

ひとまずその場から離れ、Kにラインした。
「Bさん(同僚女性)にこんなこと言われたんですけど?!」
Kからの返事は、
「ごめんなさい…」
「Bさんと付き合ってます。」
「BさんがAさんと話をしたがってるけどどうしますか?」

はーーー?

どうやら私はKの不倫相手にカマをかけられたらしい。
Kいわく、不倫相手から携帯を覗き見され、私とのやりとりが発覚されたとのこと。

いきなりの展開に話の全容を知らずにいられなくなった私はのこのことBさんとの話し合いにのることになった。

Bさんはというと、私達は不倫関係ですとはっきり宣言した上で、彼は自分への束縛がひどく、なのにAさん(私)に手を出すようなことをして、何を考えてるのか分からない。ここに彼を呼んで、自分かAさん(私)かどっちか選ばせて、選ばれなかった方に叱られるべきだ!みたいなことを言ってきた。


選ばせる?!
私を選択肢にしないでよ。
付き合ってるのはあなた達でしょ。
不倫の痴話喧嘩に巻き込まれた上に
選ばれない経験までさせられる?!

勘弁勘弁とその場を去った。

その後Kからの動きはなかった。
全て不倫の彼女に丸投げだった。

私はおさまりがつかず、Kに弁明させた。
Kは「ケンカばっかりで上手くいってなくて本当は別れたいと思っていた。でもズルズル続いている中で、Aさんに惹かれたの確かで…ごめん。」

タイプじゃなかったけど(ここ強調^^;)愛嬌があって、私のことを好きだと言ってくれてたことに情を感じてた相手が全く別人のように感じた。
フラれたわけではないけど、フラれた気分になったし、不倫相手の女性に優位に立たれたような悔しい気分になった。

それ以降不倫カップルと顔を合わすたびに苦々しい思いが込み上げてきた。

やがて、Kは転勤、私もしばらくしてその職場を辞めることになったので、もう顔を合わすこともないけど、いつまでたっても苦々しい気持ちを忘れることはなかった。

不倫の彼女がいるのに私にちょっかいを出してきたK、ここまでは百歩譲って許す。

許せないのは不倫の痴話喧嘩をふたりの間でおさめず、彼女に丸投げしたこと。不倫関係がうまくいかない理由を彼女のせいにして自分を正当化しようとしたこと。

彼女は彼女で不倫にもかかわらず既婚男性の携帯を覗き見したこと、嫉妬にかられて私にカマをかけてきたこと。

「秘すれば花」の不倫じゃないのか。
不倫にも値しないじゃないか。
ふたりして自分の主張ばかり。

思いがけず秘密のネタを持ち合わせることになってしまい、自分の人生の経歴を汚されたようでいまだに嫌な気分を忘れることができない。


※まさかこんなことになるとは思わなかった頃、Kと初めて乗った車が同じ車種という話で盛り上がったことを思い出した。MR2。

つづく





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