第8話「導火線に火がついたのは、誰のせい?」の巻

11月に入り、私はますます忙しくなっていました。
クラス委員だったので幼稚園行事(お茶会、餅つき)の準備
療育仲間が集える会の発足準備、そして歯医者にも通い始めたのです。


発達障害を凸凹(デコボコ)と表現することがあり、「凸凹フレンズの会」と名付けることにしました。
園の教室を借り、凸凹ちゃんの親同士の悩み相談や情報交換、他愛ない話ができる場を作ろうと療育仲間と動き始めます。
その対象は、自分たちのネットワークで見つけて輪を広げる予定でした。
園長と話をしたら、快諾してくれて「思ったより話の分かる人やん!」と思っていたのですが…
園長からもリクエストがあり、園が(ここポイント!)発達に問題あると思う子の親にもこの会を紹介したいというのです。
一応、園を借りてやるので、条件をつけました。
『デリケートなことなので、きちんと担任から親御さんに説明して案内状を渡してください』と何度も何度も伝えました。
『凸凹の会が選んだのではなく、園が心配して声をかけてますよ、と一言伝えて下さいね』と。
その二日後保護者会があり、そこで渡せるようわざわざ文面も書き換えたのに…
だけど実際は、園が渡したい人の連絡帳に案内状を挟んだだけでした。

これがもし、公園でママさん同士が連絡帳を開いて
「ウチだけこんなん入ってたんやけど?何これ?どういうこと?」となったら
どんな気持ちになるだろう…ウチの子そんな風に見てるの?てなる。
また、凸凹の会が選んで渡されたと勘違いされる危険だってある。
園長から「デリケートなことなので…」と言っていたのに、本当に裏切られた気分になりました。
そのことを翌日伝えたら「え!?そんなこと起きますかね。考えが至りませんでした」という返事で、園への信用が一気に失せていったのです。

その辺りから、ムスコの「お腹痛いから幼稚園休む」が増えだしました。
まずなかなか起きてこない。制服も着たがらない。
泣いてわめくムスコをなだめて、なんとか行かせる方法を絞り出す日々。
行きたがらないのに、無理やり行かせるのが正解なのか…
簡単に休ませたら、休み癖がついてしまわないだろうか…
歩き組の登園時間は8:30〜9:00。
その間で、この決断を母親一人で決めないといけない重責。
(夫は通勤時間帯で連絡しづらい。事後報告になる)
朝送り出すのがしんどくて、私の方も朝が来るのが怖くなっていました。
登校拒否(登園拒否)の子をもつ親の気持ち、こんなに辛いのかと知りました。
そして休ませたとしても、自分の中の固定概念が自分を責め続けてくる。
その重圧に耐えきれず、ムスコに当たって泣かせている自分の弱さ。
原因がはっきりわからない。園でイジワルされているのだろうか…と心配していた次第です。


こんな中、「凸凹フレンズの会」の第1回が開催されました。
そこで軽く「ウチの子、最近幼稚園行きたくない病でさぁ」と話したら
「それ絶対、発表会の練習が原因!」と即答してくれたのです。
よくよく聞くと、みなよく似た症状があるとのこと。
9月から始まったパニックも幼稚園の行事で、環境が変わっていたことが原因だったのかもしれない。
凸凹ちゃんの親だから分かる空気感に、すごく助けられた瞬間でした。
本当にこの会を作って良かった。自分が一番欲しかったから。
そして、みんなに喜んでもらえて嬉しかった。

この時点で発表会まで、あと2週間。
ここからもっと我が家は泥沼に沈んでいきます。あぁ、こわい。


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