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オタクで陸上部だった私

私は高校時代、オタクで陸上部だった。

休日は地元の同人誌即売会に足を運び創作活動をする傍ら、放課後は部活に出て陸上の練習をしていた。

二足の草鞋を履いているという感覚はなく、「オタクである自分」と「陸上部である自分」とはどちらも同じ延長線上にあるものだった。

今思うととても恐ろしいことだが、当時オタクになったばかりの私は「オタクは隠すもの」という風潮を知らなかった。

今でこそ、オタクはそこまで隠す必要がない風潮が出てきているが、20年前(歳がバレる…)は完全に隠す風潮だった。

どうして隠すのか分からない・・・というか、「オタクを隠す」という概念すら知らなかった。その概念を知ったのはオタクになってから半年ほど経ってからだった。オタクになってからの半年間は、無知な田舎娘ゆえの怖いもの知らず状態だった。

しかし、私はその無知ゆえの「周りからの白い目」という痛い目に遭うことはなかった。なぜなら、陸上部のメンバーがとても寛容的だったからだ。

陸上部の中で、私のオタクの趣味は「なんか良く分からないけれど、普通に漫画読むことよりちょっと深いところにいるんだな」くらいの認知のされ方をしていた。

「オタクは隠すもの」と言う風潮を知った直後の私は、彼らはなんておおらかで寛容的で出来た人格の持ち主達なんだろうと思っていた。聖人達の集まる場、それが我が陸上部!くらいの感覚でいた。

ただ、今になって思うと、もしかしたら彼ら彼女らは、実はオタクの素質があったんじゃないかいかと思う。

陸上部の部室は、男女共に漫画が数多く積まれていた。部室で暇があれば、先輩も後輩も同学年も、だいたいのメンバーが漫画を読んでいた。おすすめの漫画の貸し借りもしていた。

とはいっても、ラノベを嗜み、コスプレをし、本編にないカップリング作って妄想するのは私だけだったが。

確かに、当時の陸上部メンバーが他人に対して無駄に踏み込まないできた人達だったことは否定できない。ただ、今思うと、運動部の中でも陸上部はとてもオタク的な集まりだったのではないだろうか…

毎年、箱根駅伝をみると、ふと思い出す高校時代の部活の思い出。

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