相棒PreS 第3話「神々の巣窟」感想

まさか前回から1年以上の期間が空いてしまうとは…
このペースで全話数を掲載するのは夢のまた夢過ぎる…
とはいえ今後はTELASAをテレビの大画面で観る事が可能になったのでペースは上げていくつもり。
携帯の小さい画面で『相棒』観るのはは適して無いんだよなぁ。

【あらすじ】

化学薬品工場が炎上し、大混乱の帝国医大病院。右京と薫は、助教授の今井が屋上から転落死するのを目撃する。
今井は自殺と判断されるが、右京はベルト通しがちぎれていることに不審を抱く。
女医の鴻野らに話を聞くうちに、今井は同僚の太宰と教授の座を争っていたことが分かる。

脚本：輿水泰弘
監督：和泉聖治

【感想】

《神々の巣窟》

このサブタイトルは例によって小説版になるに当たって付けられたものですが、中々に秀逸だと思う。

今回の話は単純に言うと「善医者を蹴落とそうとする悪医者が善医者の仲間に殺される」っていうシンプルな構図でしかない。

医者っていうのは唯一人の生死に直接触れる仕事で、彼らを神々表して、またその医者達の集まる場所…即ち病院を巣窟と比喩している。
巣窟っていうのがポイントで今回は犯人も被害者も皆がみんな病院での教授選で狂ってしまった。
そんな場所は職場でも何でもなく、巣窟という何となく気持ち悪い比喩が適切だと思う。

また太宰や鴻野から医者や命に対してのそれぞれの考えが何度となく描かれていた。
•深夜まで医学書を読んで勉強し、厳しい状況でも最期まで患者に向き合う事を説く太宰
•処置が難しい事を理由に「やるだけやった」と言い訳をするモブ医師
•患者の死は医者の敗北と捉える鴻野
•ツラく生かすよりも穏やかに逝かせようとする鴻野
•後述する安楽死を人殺しとして取り合わず、医者を仕事として割り切る今井
全員の意見は理解できる。

だがここに教授選という権力争いが絡むと、自分の好みで"命"に優劣をつけてしまう。
結果として今井は殺され、それを暴こうとした右京と彼を救出に来た亀山も殺されそうになる。

教授選の勝敗に殺人を持ち込むというという事だけでも言語道断だし、それどころか特命係の2人を殺そうとするのは言い訳の余地なく太宰の為ではなく自分達の保身でしか無い。
まぁ殺すのに積極的だった佐野は事前にレポートを腐されてたのもあり
「人の事をコケにしやがって」と私怨が大きそうでしたけどね。
色々とありますが最終的に亀山君の

先生が医者としてこれまで救ってた命と
同じ医者として今回奪った命
どう…違うんですか？

Pre3「神々の巣窟より」

この金言が染み渡ります。

《安楽死と杉下右京》

患者と向き合った結果安楽死をさせた太宰医師。
なんだかコードブルーの戸田恵梨香を彷彿とさせられた。
詳しい描写は無いけど、患者や遺族の承諾を得て命に向き合った結果なんだと思う。
でも完全に法律違反な事を杉下右京が容認している事が違和感。
初期でキャラクターが固まってないと言えばそれまでだけど、太宰医師の告白に対して「我々は殺人犯を探しに来た(貴方は殺人犯ではない)」とまで言った。
この辺の正義厨キャラが固定化されたのはS5「杉下右京最初の事件」…いやS1「下着泥棒と生きていた死体」や「特命係、最後の事件」でもされていたから連続ドラマになってからこういった肉付けがされていったんだと思う。
しかし後に"病気で死ぬんだろうが最後まで生きろ"とか"自殺は自分を殺す事なので許したくない"とも言っている杉下右京らしくないなぁとは思う。
まぁPreS1では元上司の金子を個人的には逝かせてあげたいとまで言っていたので、ここを付くのは20年後を知っている視聴者として卑怯かもしれない。

個人的には安楽死自体はホスピスという治療をせず痛みを取り除き余生を穏やかに過ごせる施設があるので、年齢や重病などの特例的な処置なら許されるのかなとは思う。
お婆ちゃんが3年前に亡くなった時に、そういった施設を目の当たりにしたのでそれも一つの選択肢なのかなとも思っている。
勿論、全力で生きる事が前提ではあるが。

【小ネタ&雑感】

•時代的に仕方ないけど炎のCGが酷い
•盲腸で笑ってるけど死ぬ事もあるよ(コナン知識
•急に地下室になる特命係
•捜査一課七係係長の山田秀雄って誰だよ
•口パクでも分かる「バカ！」
•あのファインプレー子役『ワンピース』のロビンの子供時代やってるの！？
•米沢さんと右京さんの2人だけの世界尊い
•亀山君を被害者に見立てる亀山期お決まりの検証
•お茶の間冷え冷えになるレベルの美和子と亀山のSEX開始前の会話
•太宰先生みたいな人格者も浮気してる所に輿水節を感じる
•ポケベル鳴る瞬間がホラー
•最後の右京さんの笑顔が素敵
•鴻野役の伊藤裕子さんが美人
•事故で患者がめっちゃ必要なのに医者が1名死亡、1名辞職、2名逮捕になった帝国医大病院に幸あれ

【次回】