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相棒 第9話「人間消失」感想
集団催眠泥棒×伊丹の恋愛
濃いネタ要素が渋滞してる!!
【あらすじ】
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右京の大学時代のチェスクラブの後輩・森島が勤務する会社で、経理部の人間15人が同じ瞬間に仕事場を放棄、謎の奇行をはたらく!?
その隙に、金庫から大金が盗まれるという奇妙な事件が発生した。
防犯ビデオには催眠術にかかったように社員が集団で席を立ちあがり、1階の噴水の中へ。
ずぶ濡れの社員たち…。
経理部の人間の証言ではまるで覚えがなく、気が付いたら席を離れていたという。
まさに集団催眠のようだが、そんなことは可能なのだろうか。
右京と薫は経理部全員の行動記録から、リサという講師から英会話を習っていたという共通項を見つけ出す。
脚本:砂本量
監督:吉野晴亮
【ゲスト】
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20年以上ある『相棒』の歴史で伊丹の心を射止めた数少ない女性。
調べたらどうやら椎名桔平さんの元奥さんとの事でやはり美人。
作中だと髪を結んでる場面が多かったけど、上の写真の髪型の方が好み。
個人的には「ウルトラマンギンガS」でビクトリアンの女王として波動で敵をぶっ飛ばしてた記憶が強い。
当時28歳で今の俺と同い年に近いがこの色気は凄いな…
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ズルをして杉下右京からチェスで勝利を奪った逸材。
物語としてはミスリード要員以上の価値は無いので影は薄い。
営業マンだったのに本人希望でもなく急に経理担当になるっていうのは同じ社会人として同情するし、何より会社どんな人事判断してるんだ、馬鹿なのかとは強く思う。
演者さんは後に劇場版Ⅳで折井官房副長官として出演されてたな。
そう考えると官房副長官は雛子が失脚する前の役職だったから実質的に雛子の後任だったのね。
【感想】
《パイドパイパー》
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パイドパイパーって何かエッチだよね(最低
今回はこの伝承(物語)がモチーフになってる。
ざっくり内容としては
①ドイツのハーメルンという町で町人達はネズミの被害で困っていた
②ある時、謎の男が現れ成功報酬でネズミの駆除をすると町人達と約束
③男が笛を吹くと、町中のネズミ達が彼の元へ集まりだす
④男はそのままネズミ達を川まで導き溺死させる
⑤だが町人達は約束を破り男に報酬を支払わなかった
⑥男は怒り「お前たちの大切なものを代わりに頂こう」と言い残して去る
⑦数日後、男が現れ笛を吹くと町中の子供達が彼に連れ去られてしまう
⑧その後、男も子供達も行方不明になり戻ってくる事は無かった
こんな感じでホラー要素強めなお話。
面白いのはこの話は実際に起こった事件だという事。
ネズミの話は後世に付け加えられたものらしいが、謎の男が子供達を連れ去った事までは本当との事なので背筋が薄ら寒くなる。
現代の研究だと老人から見て子供…即ち若者が移民として出て行ったしまったとか、戦争へ行き帰ってこなかったとかそのように考えられている。
また余談だけど日本の一部の絵本では町人達が謝罪して報酬を支払った事で子供達が戻ってくる…という展開になっており、"約束を破るのは良くない"みたいな教訓的なハッピーエンドの物語となっている。
そして今回の話は約束を破られた父親の為に娘が復讐をするというもの。
面白いのは「ハーメルンの笛吹き」を"復讐の物語"として定義しているという事。
[杉下右京]
誰も傷付けずに大金を奪う鮮やかな手口…
僕が警察官でなければ
アナタに尊敬の念さえ覚えていたでしょう
今回の肝は恐ろしいほどの執念だと思ってる。
何せ流れを纏めると
①ハーバード大学卒という素晴らしい学歴をかなぐり捨てる
②来日し英会話教師としてタツミ開発に近付く
③集団催眠の下準備を行い、一つのワードで噴水前に行くように15人を催眠にかける
ここまでやる目的が父親を裏切ったくそったれ常務取締役の北村を失脚させる為ってのが凄い
最終的に金の焼却や逮捕と完全勝利とはいかなかったけど、当初の北村への復讐という目的は完遂されている。
ただぶっちゃけ、結構粗もあり
・予告する必要性無いのでは…
・15人全員誰も電話対応などをしていないタイミングの社内放送
・15名全員催眠にかかりやすい
・全員が離席してるのに社内で騒ぎが起きない
・こんだけ大掛かりなのにお父さんが死んだ翌日に実行してる
みたいな一部は演出の都合かもしれないがご都合主義的な要素が大きい。
題材的にツッコミを入れるのはロマンに欠けてるかもしれないし、もしかしたら全社お知らせなのでビル内全員にが聴くのは当然で、催眠術についても電話よりも催眠が優先されるみたいな激強なものだったとかで脳内補完をしておく。
ただ、リサ先生の親子関係描写や北村の悪どさの描写が薄かったのだけは擁護できません。
父親への愛からの執念とか、決行寸前で父親が病死した時の思いとかを見たかった。
《挑戦》
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正直この話は集団催眠で噴水に人間が集まる場面、恋にTryしたり踊ったりする伊丹、ハーメルンの笛吹き男要素などネタ的に引き込まれる要素は多々あるがぶっちゃけ物語としては面白くない。
先述した通りリサ先生と父親の交流場面や北村への恨みの描写なども無いので感情移入ができない。
別方向でもドラマ性を入れるとしたら伊丹の恋だって深堀りできたし、森下さんと北村との社内権力争いとか面白くなりそうな要素はいっぱいあるから題材が悪い訳でもない。
それなのに集団催眠一本でゴリ押ししかしなかったので、この作品単体で見ると個人的な評価としては低い。
でも『相棒』シリーズという広範囲で見るとこの話は間違いなく傑作。
何故ならこんなオカルト全開でドラマとしてギリギリしか成り立っていないほぼコントに近い作品でも『相棒』はOKという事が序盤に提示されたからだ。
この話は重厚なドラマとしては落第だが、軽くてポップなドラマとしてだと成功極まりない。
つまりこの話が許され一定の視聴者の支持を得た事で、後の「誘拐協奏曲」や「物理学者と猫」みたいな良い意味で普通のドラマじゃ決してやらないもしくは出来ない唯一無二の自由度を獲得できたといっても過言ではない。
英語で手紙を書こうとする伊丹じゃないが、この話が"Try"そのものだと思う。
《今回のMVP》
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『相棒』あるあるの一つで"亀山薫の適当な発言が核心を突く"っていうのがあるが、今回はそれが光りに光っていた。
催眠を呼び覚ますキッカケが呪文である事を言い当てたり、大金の隠し場所のヒントを言ったりと本当に良かった。
作中で
「冴えてる時と冴えてない時の差が激しい」
と言及されてたけど、今回は特に冴えてた。
ネタの面でも伊丹の恋弄りは激し過ぎる感じはあるが、面白おかしく揶揄ってて見ていて楽しい。(やりすぎ感もあるけど
逆に右京さんの察しが今回は特段に悪い。
亀山君に何度も助けられるのもそうだけど、確実に間違っているライターの火を被害者達に見せたり彼等にに何も言わずに催眠キッカケの可能性がある音源を流したりと精彩さを欠いている。
終いにはリサ先生への騙し討ちを催眠とまで言う始末…
まぁ擁護すると親しい後輩が被疑者だったから冷静さを欠いていた可能性と、今回「花の里」に行けてないからスランプになってた可能性はある。
【小ネタ&雑感】
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•タツミ開発
•総務部長が大学の後輩
•タッちゃん(リサ先生)に抱きついてる子供羨ましい
•右京さん負けるレベルって激強だよ
•右京さんにコートを渡そうとするが結果荷物持ちになる亀山
•タツミ開発に21世紀はない(なお放送時既に21世紀)
•タッちゃん惨殺はNG
•タッちゃんのマネする亀山君好き
•美人OLを期待する亀山君(俺でも期待する)
•営業会社ならワンコール受電が基本よ
•森下さんガチで待たせすぎて酷い
•水に濡れても催眠ってかかり続けるものなの?
•序盤で「終わりの始まり」が流れるのは珍しい
•亀山君リラックスし過ぎ
•いや特命係以上に警備員気付けよ
•普通のドラマなら森島さんが真実の暴露を考えて殺される流れになる
•"th"の発音で舌を噛んだ亀山
•英語での手紙にTRYする伊丹
•珍しい伊丹の非番
•伊丹は昇進の為に英会話へ(リサ先生目当て説
•「コイノイタミ」でも周囲の人達に刑事なのを隠してたよね
•なんで非番なのにゴリゴリのスーツで英会話教室行ってるんだ…
•伊丹とリサ先生の事をスグに美和子に報告する亀山は悪
•将来の事を考えて英会話を習う伊丹は立派 by美和子←なお20年後も出世はしない模様
•亀山君が将来を語ってるけど、君は将来サルウィンで教師をやってまた特命係に戻ってくるんだよ
•右京「余計な事以外の事をします」←いつもの
•亀山「美人英会話教師に恋した刑事、手紙も英語でTry!」←クッソ笑った
•葬式の日に押しかけるのはどうかと思う
•高校時代に外国の"おいでおいで"と"バイバイ"真似してました
•課長と亀山は分かるけど何で催眠講習の被験者伊丹なんだよ笑
•どの世界も常務取締役って嫌な奴なのかね(嫌な記憶…
•亀山君が物語を思い出す無言のローディング時間に笑う
•リサ先生催眠術の天才かよ
•最期にお父さんに合わせてあげるってのが粋
•警察官は嘘を言う訳がないという先入観→お前はしょっちゅう嘘ついてるからね
•亀山君は多分伊丹含めてどの警察官よりもガサツだぞ
•北村は降格されて支社→ザマァww
•リサ先生が心配で特命訪ねる伊丹好き
【次回】
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