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相棒 第10話「最後の灯り」感想

超名場面、大好き

自然におんぶを提案する亀山君も、おぶわれて感慨深くなっちゃう右京さんどっちも尊い…
S5「裏切者」で官房長が言っていた通り"特命係を動かすのは亀山薫"って意味を踏まえるとおんぶって形そのものが右京と亀山の特命係の関係を表してるようにも思える。

何かのインタビューで寺脇さんも言ってたけど、亀山君が復帰したんだからどこかで、またおんぶする話があると嬉しい。(成宮君だったかも…)


【あらすじ】

映画監督の仲瀬古が、美和子とのインタビュー中に急死した。
10秒ほど停電で部屋が真っ暗になっている間に息を引き取ったらしいが、鑑識の調べによると死因は窒息死。
部屋には美和子のほか、スクリプターの玲子しかいなかった。
過去の事件から窒息死と感電死がよく間違われるという事実をつかんだ右京は、とともに改めて現場を捜査。仲瀬古が部屋では靴を脱いで電気カーペットの上にいたことを知る。

脚本:櫻井武晴
監督:大井利夫

【ゲスト】

中瀬古永次(演:鈴木瑞穂さん)

今回の被害者
貫禄もあるがそれ以上に良い声という印象が強く、なんとあのダースベイダーの日本語吹き替えをされていて驚き。
現在95歳なのでまだまだ長生きして欲しい。

猪野大(演:山谷初男さん)

今回の犯人
月並みだけど山中さんの演技が素晴らしい。
華があるタイプではないが一挙手一投足を追ってしまう哀愁と深みがある。
調べたら水谷さんとは「バンパイア」で共演されているらしい。
2019年に他界されているとの事なので至極残念。

須磨玲子(演:銀粉蝶さん)

今回のミスリード要員。
スクリプターの仕事は監督や俳優のアドリブがあった際にどのシーンがOKだったかなど撮影現場での変更を記録する役割でその後スクリプターが作った資料を基に編集作業の材料として活かしているとの事。
演者の銀粉蝶さんはPre3とS21にも出演されているので馴染み深いし記憶にも新しい。
ただ20年後のS21「女神」でも容姿が殆ど変わっていないって凄いよ…

【感想】

《電飾》

こんな綺麗なイルミを彼女と見たいと思ったが
そもそも彼女がいなかったでござるの巻

そんな訳で今回の肝は電飾こと猪野の哀しみと怒りだと思う。
30年間で15本も中瀬古監督の元で仕事をし、良い条件が来ても断り、妻が亡くなっても仕事を続けた。
それだけ監督を信頼尊敬して頑張ってきたのに、名前すら覚えてないっていうのは酷い裏切りに他ならない。
動機が軽いっていう批判も見るけど個人的に最近5年半いた会社を退職した際に色々あったので、猪野の寂しさわ怒りは若干ながら理解できる。
たかだか5年前後の自分ですらそんな気持ちになるんだから30年間かつ上記した出来事まであった猪野さんの気持ちは察するに余りある。

[中瀬古 永次]
特に素晴らしいのは電飾だね
えーと、あれは名前はなんだっけな?
いつも現場で"電飾"って呼んでるからな
まぁ俺達の間では名前なんてどうでも良いんだ
ヒットした『Child Hunter』も俺の出世作の『戦友』も奴の電飾があったから成功したんだ
ああいうのを最後の活動屋っていうんだろうな

でも実は監督は他の誰より猪野の事を信頼評価していて、名前を覚えていないのもそれだけ職人として見ていたからというオチ。
ここで、この事件は単なる裏切られた恨みによる殺人から、監督と電飾が互いをリスペクトしていた故に起きてしまった悲劇というドラマティックな物語に昇華される
そして電飾はそこまで信頼されていた能力を殺人という最悪な形で活かしてしまうというおまけ付き。
そんな猪野が娑婆で"最後の灯り"として見える美しい東京の夜景…
こんなに流れでも画面でも美しい事は中々ない。
10年前の初見時は泣いたね。

ただマイナスな点としては演出的に犯人がバレバレという事。
中盤までの情報で
・監督が電気カーペット愛用している事を知っている
・特命係が電気カーペットを追っている事を知っている
・電気カーペットの改造を行える
・電気カーペットに水分を含ませられる
ここまで提示されたら馬鹿でも犯人が分かる。
というか電気カーペットの感電には水分が必要という時点で猪野が犯人としか考えられない。
なのに「玲子かプロデューサーが犯人だぞ…」みたいなフリが結構雑。
ちょっと猪野までに繋がるスピードが早すぎたので、そこに至るまでネタでもミスリードでももっと増やして欲しかった。

《創作物の影響力》

個人的には創作物には正の面でも負の面でも影響力があると思っている。

『SLUM DUNK』を読んでバスケを始める人もいれば
『ONE PIECE』を読んで仲間の大切さを理解する人もいれば
それこそ『相棒』を観て警察官になりたいと思う人もいるかもしれないし、逆に殺人に興味が湧く人もいるかもしれない。
『バトル•ロワイヤル』や『DEATH NOTE』で桐山や月に憧れたりもあるかもしれない。

ただそれによって犯罪を犯すかは完全に別問題であって本人の資質でしかない。
創作物そのものには善悪なんてなくて責任が無いと考えている。(作中で明確に読者へ犯罪を奨励しているモノは別)

それに対して今回の美和子の取材はそこに対して余りにも独善的過ぎる。
今回の『Child Hunter』はネットで知り合った子供達が顔も名前も知らない相手を鬼ごっこのターゲットにして捕まえたら殺しても良いっていう『リアル鬼ごっこ』感がある内容で、確かに過激な印象は受ける。
また映画を模倣した事件が3件が起こってるのは由々しき事態だとも思う。
でも記載した通り映画はあくまでキッカケでしかなくて監督の言う通り映画1本よりも親や学校など日々の積み重ねの影響から生まれたものでしかない。
『PSYCHO-PASS』じゃないが元々犯罪を犯す様な犯罪係数が高い奴等が爆発しただけ。
美和子自身も『Child Hunter』を観て怖かったと思った様に、これを機にネットの使い方に注意する子供だっているのかもしれない。
何でもかんでも規制しろって言うのは能無しで何も考えていない馬鹿の論理よ。

須磨さんの
「犯人にはこの作品をもう一度観て欲しい」
「親子で作品を観てほしい」
っていう意見は被害者家族という立場を踏まえると聖人君子が過ぎるけど、間違いなくド正論。
こういった正論を声高に言える人間がもっと増えてほしい。

強いて美和子を擁護するならちゃんと作品を観てから批判しているっていう事。
最近マジで観てもいないし読んでもないのに知識人のフリをして作品を叩くアホの極みが多い。
そんな連中に比べたら圧倒的にマシ。

どんなに否定的な意見でもしっかり作品を見て知って考えて意見を出して欲しい。
その結果出てくる感想が馬鹿なものであっても、それは本人の頭が悪く発想力が無く、罪なだけで罰ではない。
勿論私のこの感想も誰かから見たら馬鹿で罪深いものかもしれないが、誠心誠意作品に向き合う気持ちはあるので許してほしい。

また余談ですが上の外国人コラ画像はフォローさせて頂いている与力さんが作成したものです。
謹んで御礼を申し上げます。

《今回のMVP》

奥寺美和子

序盤に書いた通りインタビュー内容は映画の模倣犯が発生した事で映画自体を批判するなど、最後までマスゴミ感がありそれを貫いていた。

ただし事件については特命係を呼んだり、取材時のレコーダーから犯人特定だけでなく中瀬古監督の想いを猪野へ伝える事もできた。
マイナス点もあるが差し引きだと余裕でプラスです。
美和子が嫌われない様に良い塩梅でバランスが取られてて脚本の妙を感じます。

【小ネタ&雑感】

・亀山君怪我してるけど骨折等してないの丈夫すぎる
・この海のロケ地どこだろ
・右京さん何でゆっくり海見てるんだよ…
・ⅠがヒットしたからチャイルドハンターはⅡもやるんだな
・インタビュー時点での「電飾」呼びでも怒ってるよな…
電飾怒ってるな…
・人間はこんなに無言で亡くなるものなのか…
・伊丹「何で来たんだよ!」→亀山「車で」
・第一発見者が同居人と同居人の上司だから来た
・亀山&伊丹「「窒息死!?」」
・角田課長に京都府警に双子の兄がいる設定は別ドラマとのリンク要素だったぽい
・課長の兄の名前は六角一二三で名前が違うのは養子に行ったから
・この課長兄は今回限りで今後話題に出ないのが残念(S8「特命係、西へ」で登場して欲しかった
•「下着泥棒と生きていた死体」との繋がりあるの嬉しい
・窒息死と感電死は似ている←豆知識
・玲子さん若干ヒスが入ってるな
・右京「たとえ僅かでも可能性があれば調べる、捜査の基本ですよ」
・まだフィルムの時代なんだなぁ
・このポップなBGMあんまり聞かないな
・右京さんはスタンガンに弱い(今後も
・右京さん歩けないのにどうやって海まで来た
・夫婦は楽しいだけじゃダメ…
・花の里の煮物超美味そう
・海にはしゃぐ右京さん可愛い
・無断欠勤コンビこと特命係
・米沢さんと右京さんの顔が近過ぎる
・美和子の取材には追い詰められてないゾ
・清掃のおばちゃんは後の遠山ちずさん
咄嗟にスタンガンが出るか!!
・ちゃんと一時停止や赤信号で落とすのは優しい
•亀山君ガードレールギリギリに移動させたけど下手したら轢かれてたよな
•猪野は多分電飾リーダーだと思うけど、半日抜けても大丈夫か?
・サイン本って嬉しいよなぁ(水谷さんのサイン本は家宝
・ポップで可愛い音やピアノソロなど今回BGMは特殊

【次回】

相棒Season1 「右京撃たれる~特命係15年目の真実」
更新予定

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