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相棒22 第4話「天使の前髪」感想

容疑者は女優、完全な正当防衛、杉下右京はトリックを崩せるのか!!

予告時点で上記要素への期待値が高すぎた結果ズッコケた。
人情メインで行くのかトリックメインで行くのか振り切れてなかったな。


【あらすじ】

特命係がまたも事件を呼び寄せる!
美しき女優の証言は嘘か、真実か?

右京が連れ立ってクラシックコンサートに向かっていたところ、血まみれの女性に遭遇。
部屋をあらためると、ナイフが胸に突き刺さった男性の遺体が。署で事情を聞くと、女性は小さな劇団を主宰する久保崎美怜という女優で、死亡した工藤という男性は数日前、オーディションで審査員を務めていた舞台演出家だという。
美怜は、男性にしつこくつきまとわれた上、突然マンションに押し掛けられ、乱暴されそうになったと証言。
無我夢中で抵抗するうち、ナイフが刺さってしまったという。
薫は正当防衛だと直感するが、右京は状況に違和感を覚え、彼女が“女優”であることに引っ掛かっていた。
美怜の周囲を調べると、主宰する劇団は活動休止状態で、金銭的に困窮していたことが判明。
それでも活動は続けていたというが、関係者からは美怜が、「才能に悩んでいた」との証言も聞かれる。
さらに、彼女の過去についても、驚くべき事実が明らかになる。

刺殺事件で正当防衛は成立するのか?
真相に繋がる女優の重大な過去とは!?
右京の観察眼が驚愕の事実をたぐり寄せる!

【ゲスト】

久保崎美怜
(演:藤井美菜さん)

今回の犯人。
職業が"女優"というだけで杉下右京に目を付けられてしまった可哀想な人。
藤井さんは今回初めて知ったけど、日本と韓国の二刀流で活躍されているとの事。
舞台芝居、そして逮捕され警察を騙す為の芝居、そして素の久保崎、高校時代の久保崎と同じ人物でも微妙な違いを繊細に演じていた。
あと35歳には全く見えない…

【感想】 

《完璧な正当防衛》

事件としては妹をレイプして自殺に追い込んだ演出家に再会した久保崎さんが復讐を企てるというもの。

予告でも言われていた正当防衛と見せかけた殺人という題材は古典的ではあるも、知能犯との戦いっていうのはテンションも上がる。

実際に久保崎の完全犯罪までの下準備は本当にワクワクさせられた。
・大量にかかってきている工藤からの着信履歴
・立場を利用した工藤からのセクハラメール
・電卓に仕込まれた盗聴器に気付く
・盗聴器に録音された正当防衛時の音声

そんな中で右京さんが指摘した点は
・ゴミ捨ての曜日から果物ナイフが流しにある違和感
・消えた電卓がバイト先の物と同じで盗聴器付きかつ店長が盗聴犯と断定
・盗聴音声で残響の違いを聞き分ける

このように右京さんと犯人が一進一退で如何に相手の裏をかけるかをやりあう構図は本当に面白い。

そんな攻防戦の勝者は杉下右京。
導き出された真実は
舞台小屋で工藤を台本読みに付き合わせ、それを盗聴器に録音した後で彼を殺害。
その後家まで死体を運んで事前音声通りに家を荒らして、正当防衛で人を殺して動揺した演技を盗聴器に録音する。

でも舞台と家だと音の残響が違い、音声が編集された事を突き止められて逮捕された。

こういった犯人と右京さんの一進一退の頭脳戦は面白いし見応えがあるから好きなんだよなぁ。

着信履歴とメールは何だったんだよ!!!
そもそも何で右京さんは最初から久保崎を疑ったんだよ!!!
あと死体を舞台から自宅まで移動させるのは無理あるだろ!!!
鑑識も殺害現場と遺棄現場が違う事くらい分かるだろ!!!

以上!!

《呪い》

女優としての才能に悩んでいた久保崎さん。
周囲からは才能があるからは
でも現実はお金もなく1名を除き団員も去り舞台を3年も開けずオーディションにも受からない…。
辞めようかどうしようかと考えると妹の「女優を辞めないで」という言葉が呪縛のように彼女を縛り付ける。
そんな中で辞めたいけど辞められず、最終的には自分には才能があるのか無いのかを確かめたい気持ちが勝ってしまう。

この辞めるに辞められない気持ちっていうのは理解できて
例えば賭け事だと
「ここまでお金を使ったんだから当てるまで帰れない」
向いてない仕事だと
「何年も勤続したんだから頑張る」
このように損切りができないっていうものに近い。
見合ったお金や時間に対して適切な対価が来る事を望んでしまう。

でも今回の久保崎は自分には才能が無いから辞めたいと思っていても、そうなると妹の死は無駄死となり、自身も妹を死なせた十字架を背負う事になる。
損切りをするには余りにも失ったものが重すぎる…。

だから今回復讐と辞める理由をどちらも満たせる殺害計画を実行したんだと思う。
工藤を殺した時点で、自身の恨みや妹に対して報いる事ができる。
そして演技力で盗聴犯の心が動いたら才能があると信じる事ができ、盗聴犯が動かなければ才能が無いと芝居を諦める事ができる。
どう転んでも久保崎さんが勝つという計算。

[杉下右京]
芝居は本来、人を幸せにするものではないでしょうか
人生の悲しみや喜びを見せ、立ち向かう勇気を与える

相棒22「天使の前髪」より

計算違いは杉下右京にトリックを見破られて、自身に才能がある事は認められたけど逮捕され芝居への道が潰されてしまった事。
でも獄中で笑う彼女を見ると"ようやく芝居を辞められる"という気持ちがあるようにも思える。

妹からの呪縛も解放されて復讐という悲願も果たした彼女は、今後どう生きていくのか想像ができない。

工藤と再会してから4日しか立ってないのに何でここまで計算して殺人が出来るんだよ!!!
4日以上前から盗聴器に気付いてそうなのに何で放置してたんだよ!!!
あと結局女優の才能があったのか無かったのかどっちなんだよ!!!
そもそも美由はどうして劇団の研究生になったんだよ!!!
久保崎が親に反対されてまで女優の為に上京した理由くらい描写できるだろ!!!

以上!!

《今回のMVP》

完全に盗聴店長ですありがとうございます。

盗聴をしていたというのは間違いなく卑劣この上ないが、MVPという事に異論は認めない。
久保崎のトリックの肝でもあるし、テーマも背負っているし、彼が警察に盗聴音声を提出したから事件も解決した。

何より良いのが盗聴犯にも関わらず義憤に駆られて警察に匿名で送ってしまう小物というか人間って感じが好き。
勿論100%正義感じゃなくて、盗聴してる罪悪感や彼女にとってのヒーローになりたいっていう下心に近い願望もあったと思う。

というか殺人事件の現場とされてる久保崎さんの部屋に盗聴器回収しに行くのが地味に凄いし、普通なら盗聴器が警察に発見されてって流れになると思うのでやっぱり無茶苦茶

久保崎さんもだけど盗聴店長も脚本に振り回されてる。

合掌。

【小ネタ&雑感】

・オーディションの劇は「under a starange sky〜見知らぬ地で〜」
・劇団Wの由来って妹と2人って事かな…
・審査員に海外の方が多いと思ったけど日米合作なのね
・工藤が久保崎さんの尻見てるのが超キモイ
・クラシックを何で亀山君と行くのか…(小手毬さん誘いなよ)
・新しいホールの柿落とし公演は面白そう
・コンサートや映画の鼾(いびき)は公害
・自分で「"小さな"劇団」って言うのが演技臭い
・オーディションの個人情報管理どうなっとるんや(業界的に仕方ないか)
・立場を利用したセクハラをする人間は最低よ
・序盤でちゃんと計算機見てるな
・高校と大学は演劇部なので小劇団が落ちていくのは悲しい
美怜激推し団員が最大の被害者説
・しれっと取り調べしてる特命係
美和子のフェミ仕草がしんどい(気持ちは理解するが亀山君に絡んでもね…)
・小手毬さんの男性女性の区別を無くして全員人間って意見の方が賛成
・亀山のジャケット利用すな笑(ただあまり洗ってなさそう)
・カットが変わったら埼玉ワープした亀山君
・リバーブなんて言うな残響って分かりやすく言え
・S12「待ちぼうけ」の駅や(調べたら小湊鉄道との事)
・強姦の事を言い淀む亀山君…
・工藤は公演資金も持ち逃げして劇団潰したってゴミかよ!!
・盗聴器の音声って編集できるの?
・美怜も妹の事も覚えてない工藤
・読み合わせじゃなくてもう立ち稽古やん
・犬の聴覚って凄いのかな(嗅覚は分かるけど)

【次回】

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