相棒2 第17話「同時多発誘拐」感想
流石の砂本脚本
刑事ドラマでは手垢のつきまくっている誘拐事件を同時に多発的に起こそうという発想が面白い。
S2の担当回は最後だが"骨の銃弾"に"心臓凍結"というミステリーで魅せ、今回の様な"特殊誘拐"や"小包爆弾"というインパクトでも魅せてくる。
人情話はアレだけど、打率が高くて満足感が凄い。
【あらすじ】
都内各地で15人もの子供が立て続けにさらわれる事件が発生。
犯人は身代金をそれぞれ1億円用意しろと要求する。
特別対策本部が組まれた警視庁では、テロリストの仕業と推測。
報道管制が敷かれ、右京と亀山も捜査に駆り出される。
2人は誘拐された子供のひとり・純平が暮らす児童養護施設を訪問。学園長のちとせは、1億円の身代金は到底用意できないともらす。
そんな中
「金を都庁前の都民広場まで持ってこい。男はダメだ」
と犯人からの指示が入る。
脚本：砂本量
監督：吉野晴亮
【ゲスト】
今回の犯人①
家族を大切にしている肝っ玉母ちゃん。
最後の最後まで子供達を大切にしている姿には胸打たれるし、事件中に船村さんの想いに触れて逡巡の表情を見せてしまう人間味が良い。
最近はハリケンジャーにゲスト出演されたのが記憶に新しい。
今回の犯人②
全てを明らかにされて早くに観念して全部ゲロっちゃう人…
ぶっちゃけそれ以外の感想がない。
というかそれ以上に小市さんが超若い！！！
今は白髪がトレードマークの超イケオジなのに、ぶっちゃけチュートリアル福田感があってスタッフロールを観るまで気が付かなかった。
【感想】
《清く正しく生きろ》
勤める児童養護施設が借金で無くなる事が決まり、望月夫妻は子供達を守る為に富裕層の15名を標的にした身代金誘拐事件を起こす。
望月夫妻は我が子の様に施設の子供達を愛していたし、子供達も「母ちゃん」「父ちゃん」呼びするなど2人を愛していたのが伝わる。
だからこそ子供達と引き裂かれる事を拒む気持ちと、子供達が別の施設で上手くやれないかもしれない心配で今回の事件を引き起こした。
この動機についてはメチャクチャ同情できる。
先代の園長から受け継いだ"貧しくても清く生きろ"っていう思いには反してしまったが、人道からは逸れなかったのも立派。
誘拐した子供達にトラウマを植え付けない様全員で遊ばせるようにしたり、余ったお金は被害者に返却するっていうのも好感が持てる。
実際それで被害者家族も含めた世論は施設の取り壊しに反対もしてるしね。
でも15人誘拐は正直やり過ぎ。
右京が最後に言ったように子供を失う親の気持ちを誰よりも理解しているのに、同じ思いを沢山の親にさせてしまったのは完全にOUT。
子供達を誰も傷付けないって決めて結構したのかもしれないが、気持ちまでしっかり汲んであげるべきだった。
電話口で子供の声を聞かせなかった時の親の絶望感を推し量るとあまりにもツラい…。
でもそれを知っていても自分達も子供と離れる訳にはいかなかったんだし、子を愛する思いは同じ。
個人的にも今回の様な例は正攻法ではどうしようもなく、施設を守り望月親子が一緒にいる方法が他にないから致し方無いと思ってしまう…。
右京は最後に
「子供はタフだから新天地でも頑張れる」
とか言ってるけど、何の罪もない子供が大人の都合で頑張りを強制されるのは反対。
タフで頑張れる子もいるとは思うが、新施設で虐められたり馴染めなかったりしたらその子達は誰がどう支えるんだ…。
家はあくまで入れ物であり中身の家族が大事ってのは理解できる。
だが入れ物が無いと水のように溢れてしまい絆を育む事も出来ない。
残念ながら最後の意見については全く賛同できない。
《面白ければそれで良い》
今回の物語で面白いのは、誘拐事件の緊張感と頭脳戦よ！！
①15人の子供達を顔を見られない様に誘拐
②警察は人数を分散さざるを得ない
③被害者母を全員集める
④女性警官もそこに紛れ込む
⑤全員をそれぞれ高速バスへ分散させる
⑥バスは全部貸切で警官を乗せない
⑦発煙筒に紛れて運転手が金を回収
⑧バスで道を塞ぎ追跡不可にする
警察と一進一退の攻防戦が観ていて最高にハラハラする。
しかも警察全体もだが特命係にマークされていた車両なのに見事身代金をGETして逃亡にも成功した。
右京は素人が考えた誘拐が運良く成功しただけと酷評したが、それでも成功してる訳だから問題なし。
やっぱ犯人との一進一退の攻防戦は燃える！
まぁ諸々と気になる点を挙げていくと
•近場とはいえ15人も誘拐いけるか？
•非常事態だし警察もバスに乗るだろ
•運転手雇う経緯どうなってるんだ
•監禁場所の確保どうやった
•金に困ってたのに経費かかりすぎだろ
上記の様にメチャクチャな要素が多い。
でも盛り上がったしエンターテイメントとして面白かったので
《今回のMVP》
母ちゃん！
俺、ちゃんとやったよ！
事件解決的にはMVP
犯人側としては大戦犯
誘拐される役という大役を務め上げ褒めて欲しくなり1番に犯人側と取れる発言を口走ってしまうのは序の口。
ゆずる君と仲良くなってしまうのもまだマシ。
監禁場所からお母さんのキーホルダーを持って帰ってしまうのも大目に見よう。
でもキーホルダーをゆずる君に渡したのは言語道断。
そのキーホルダーから望月夫妻はボロを出して観念した。
ちゃんとやったとはよく言ったもんよ。
両親や兄弟姉妹全員をバラバラにしたのは間違いなくコイツの仕業。
真実を知る望月夫妻も特命係も絶対に純平君に伝えたりはしないから杞憂ではあるかもしれないが、真実を知ったらきっと自分の愚かさを一生悔いるだろうね。
余談だけど純平役の阿部修也さんは既に役者を引退しており、現在は国家公務員の官僚として頑張っているらしい。
殺人犯になる元子役もいれば、立派生きる元子役もいるから生き方は本人次第よな。
【小ネタ&雑感】
•リストラの時代か
•家を継ぐ気は無い亀山
•参事官初の指揮命令
•純平君を含めたら16件の誘拐事件ってヤバい
•伊丹「特命係の亀山ァ」に感動
•伊丹を嗜める三浦さんのパパ感
•伊丹「しくじるなよ」(カッコいい
•亀山と伊丹の連携プレー！！
•子役達の演技力を考えると染谷君の特異性がよく分かる
•逮捕じゃなく自首を促す亀山君良き
【次回】
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？