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相棒 第3話「秘密の元アイドル妻」感想

AVみたいなサブタイトルシリーズその②

この話が後のエース脚本家である櫻井武晴さんの記念すべき相棒初作品。
次の話が今の櫻井さんらしい社会派エンタメで印象的だったので、こういった人情系が初登板というのはかなり意外。
勿論、伏線からオチまでめっちゃ面白かったです。


【あらすじ】

歩道橋の上で暴力団員で麻薬の売人の加賀山の遺体が発見された。
所見では転落死となっているが、それならなぜ歩道橋の上に遺体があるのか。
捜査一課の伊丹らは対立している陳風偉の仕業ではないか、と推理する。
偶然にも右京は、そのチェンを逮捕しようと張り込みを。
目の前で麻薬取引の現場を確認、いざ逮捕、と思った瞬間、伊丹らが現れチェンを殺人容疑者として逮捕してしまった。

【感想】

《神林は師匠の爪の垢を煎じて飲め》

面白くはあったんだけど語れる点が少ないっていうのが正直なところ。
良くも悪くも解説や説明や考察の隙間も無いほどに構成に無駄が無い。
強いて語るとしたら前回とは対照的な夫婦愛。
薬物疑惑でアイドルとしての道を断たれて、やさぐれていたところを青楽師匠に救われて以降は彼のサポートの為に生きようと決めた奥さんなど2人の間でしっかり関係ができてて良き良き。
愛人を作った事が理由で妻を信じさせられなかった癖に「僕を信じて相談してくれよ」とかほざいていた神林は師匠をマジで見習え。

薬物の誘惑を断ち切っても
旦那の為に日々献身的に尽くしても
一度堕ちた人間は必ず過去から這い寄られる。

今回は青楽師匠が妻の過去を加賀山から脅されて殺してしまうという救いが皆無の結末。
芸に没頭しても手拭いを見る度に殺人を思い返し、普段から少食かもしれないが愛する妻の手料理すら喉を通らず酒を飲む。
でも証拠であり見るだけで苦しむかもだけど、昇進祝いの手拭いを捨てられないっていう人間味。
逮捕後に奥さんは自分の過去が原因で、最愛の夫が殺人を犯し大好きな落語からも離れる事を余儀なくされたら何を思うのだろうか。

個人的にも薬物所持疑惑での引退って内容は成宮君が連想されて本当にツラい。

容疑が晴れて特命係と青楽師匠の落語を見ているが1〜2時間後に更なる悲劇が待っているのに奥さんから明るい表情を見せられる視聴者としては溜まったもんじゃない。
右京さんの「よっ、真打!」という言葉だけじゃ救われない。

《相棒の流れが完成》

良い意味での"相棒"らしさや20年後の今にまで繋がるフォーマットの下地になってる作品だと改めて実感。
組対のお手伝いから始まる作品は面白い話が多いという形の走りにもなってる。(例:「越境捜査」「暴発」「バクハン」など)
また今回は落語だけど色んな専門業界を熟知している右京さんが亀山君を通して解説してくれるっていうのも今回から確立されたと思う。
そして櫻井脚本でよくあるはぐれ死も初脚本回から炸裂。
右京さんと米沢さんの落語愛が結んだ20年の縁もそうだし、近年謎の再登場を果たしてるヒロコママ(しかもこの頃は焼肉店経営)も初登場。
こういった点を考えるとメイン脚本家は輿水さんだけど、櫻井さんが底を支えていたんだなとも初期ながらに実感します。

【雑感&小ネタ】

•関東貴船組って後に登場したっけ?
•豊さんが若いので右京さんの戦闘も軽い
•三浦さんの特命係への当たりが強い
•コマ送りの戦闘だけどしっかり長回し
•呑んだ後に花の里に寄るとかどんだけ好きよ
•落語好きなのはたまきさんも知らなかったのか
•師匠も「右京さん」呼び
•この頃の特命係は生活安全部
•100%いらない謎マジックでの余興
•師匠のバッグを漁る特命係
•右京さん、落語家転職を勧められる
•2連続ブランデーかと思った
•青楽師匠役の小宮さんって後に冠城期に2回出たのか!

【評価】


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