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相棒22 第7話「青春の光と影」感想

自分は"嘘"と"ダブスタ"こそが魅力のある人物描写だと考えている。
"愛しているけど憎らしい"、"嫌いだけど認めてる"みたいな相反する感情がそれに当たる。
今回そういった人間味は100点に近いレベルで良かった。

やっぱドロドロした人間関係って傍から見る分には最高だよね(ゲス顔

【あらすじ】

伝説のバンドのボーカルが不審死
事件の背景には熟しすぎた友情が!?

再結成が決まった4人組ロックバンド『ディープクルー』のボーカル・矢崎が、路地裏で亡くなっているのが発見された。
警察は、酔っぱらい同士のケンカによる傷害致死とみて、捜査を始める。
と、矢崎の妻は元アイドルで、今も時々テレビに出ているタレントだが、別居して2年になり、離婚話が進んでいたと分かる。
事件に興味を持った右京は、所属事務所を訪問。
バンドメンバーや事務所の社長、マネージャーたちから話を聞く。
すると、全員に確かなアリバイが無い上、気になる話も聞こえてくる。
矢崎は唯我独尊の人物で、22年前の解散も、今回の再結成も、一人で勝手に決めたらしい。
最近も練習をめぐってメンバーと衝突。
また、女性メンバーの一人は当時、矢崎と交際していたが、一方的に捨てられらしく、顔には最近できたと思われる痣が。
さらに、メンバーが昔作った曲を矢崎が盗用したという話や、事務所の社長から多額の借金をしていたという噂も。
すなわち、殺害の動機は、すべての関係者にあった。

被害者を取り巻く人物全員が容疑者に
動機は金か、遺恨か、それとも…!?
栄光のステージに光と闇が交錯する!

脚本:瀧本智行
監督:権野元

【ゲスト】

矢崎浩輔(演:金子昇)

初めて貰った戦隊系玩具はガオレンジャーのGフォンでした。
という事で今回のゲストはガオレッドの金子昇さん。
本当にバンド活動をされてるのかと思う程上手くて驚いたし、世捨て人のような気難しい人物である矢崎にめっちゃハマっていたとも思う。

【感想】

《コミュニケーションは大事》

今回の事件は耳が聴こえなくなりかけているミュージシャンの矢崎が昔の仲間達とバンドを復活させた中で、難聴を知らないマネージャーが勘違いで殺してしまうというもの。

この矢崎って人物が不器用だけど真っ直ぐなのが徐々に分かるという構成。

音楽に対して一途でひた向き。
金や友情よりも音楽。
でも失聴と難聴で、その音楽を奪われそうという悲惨な状況。
音楽を奪われそうになった事で荒れて妻との関係は悪くなるし、また過去に音楽を優先し独立して友情を疎かにしたので全員100%の協力はしてくれず、社長は金儲けしか考えていない論外人間で相談できる相手もいなかった。

音楽を失う事もだが失った後の自分に何も残らない事を含めて右京さんが言うように「怖かった」というのが真実だと思う。

でも全てを失いそうな中、最終的に辿り着いた答えがDeep Crew
彼等と演奏している時だけは病気を忘れて熱中できた。
だが病気は待ってくれないので早めにコンサートを実施する必要はある。
だからこそ時間いっぱいまで練習をして妥協をせずに演奏も歌も練り上げていった。
そして仲間達も文句は言いつつもそれについて行った。

でも、マネージャーの沢村さんはまだ関係が浅く信頼関係が出来ていない中で負担をかけてしまい、更に難聴でコミュニケーションがマトモに取れず今回の事件が起こってしまう。

しかも矢崎の本音としては沢村さんに感謝して誕生日ケーキまで用意してたっていうS1「最後の灯り」を思わせるようなやり切れなさ…。

悲劇で終わるのも『相棒』の良さかつ、個人的に鬱回が大好きっていうのもあるので今回は本当に物語としてのクオリティが高く素晴らしかった…。

不満点としては矢崎が仲間達に難聴を言い出せなかったのは分かるが、会社には言え
そして難聴のストレスもあると思うが沢村さんに関係ないパワハラをするな

これはどうしても出てきてしまう。
会社に言えば見捨てられる可能性はあるけど、なんやかんや矢崎を慕ってもいた社長はサポートをしてくれると思うし、沢村さんも矢崎の境遇を理解した上でマネジメントをしてくれたはず。

少しだけどマネジメント業をしていた身としては隠されると適切なマネジメントできないんよ…
マネージャーは会社との板挟みにはなりつつも基本的には担当してる人の味方なんよ…。
沢村さんを高く評価してるんなら、プライドを捨てて打ち明けるべきだった。

《DEEP Crew》

[アリストテレス]
友情はゆっくり熟成する果実

今回のテーマはストレートに"友情"
でもこの友情っていうのがシンプルに仲良しこよしでバンド復活頑張るぞって感じではなく、ギスギスした関係だけど同じ目標に向かって励む同士っていうのが素敵。

そしてそのギスギスの理由を探る為にメンバー一人一人に焦点が当たり、結果として犯人捜しと人間ドラマという並行作業を丁寧かつアグレッシブに描き切っていた。

しかも何が良いかって矢崎を始めとしたバンドメンバー全員が本当に人間臭いっていう事。

林田(ギター)は矢崎へ曲提供した事で印税を受け取るも意地を張ってそれを誰にも言えずにいたし、安本(ベース)はアイドルと交際した矢崎に捨てられたと言っていたが実は浮気をしていたのは自分であったり、佐光(ドラム)も矢崎をボロクソに言っていたがライブができないもどかしさを掃除用具にぶつけていた。

こんなツンデレ集団だと分かると、最初にメンバーが矢崎をボロクソに言ってたのも
「何でお前がここで死んでるんだよ!!」
っていうやり場の無い怒りをぶつけてるようにも思える。

亀山君も言っていたが三者三様に見栄を張り嘘をつき、引っ込みがつかないまま20年が経過してしまった。

そして矢崎も彼等と同じように失聴と難聴を患っている事を打ち明けられなかった。
また林田や安本については真実を語ろうともしなかった。

[臥煙伊豆湖]
誤解を解く努力をしないというのは、嘘をついているのと同じなんだよ

でも結局はこれよ。
矢崎が誤解を解こうとしなかったのは優しくはあっても正しくは無かった。

結局メンバーが全てを知ったのは、矢崎が死に犯人が捕まった後…。
演奏だけでボーカルのいないスタジオに鎮魂歌のように音楽が虚しく響く…。
特命係はライブが観れず残念がっていたが、メンバーには矢崎の歌声が聴こえていたようにも感じる。
いや、そうであってほしい。

亀山君は友情という果実は腐ってしまうと言ってたけど、彼等の友情はまだ熟しきる前だったんだろうな…。

《今回のMVP》

林田晃司

マジでこの人の存在が大き過ぎる。
特命係に対して協力的で事件について大事な情報を与えたり、バンドの関係性を説明したり佐光の誤解を解いたりといぶし銀な行動をめっちゃしてた。

バンドの中でもこの人がワガママな矢崎や短気な佐光を宥める役として機能してっていうのが想像できる。 

印税を受け取りながらも言い出せない人間臭さや矢崎の進化に一役買ったりなど良い見せ場のある人物だったなぁ。

【小ネタ&雑感】

沢村役の木村葉月さん超可愛い!!!

・相棒恒例の力入った劇中歌
・マネージャーが追加公演で喜んでない…
・有名人だと捜査一課が来るってのは軟化気持ち悪い
・芹沢に推しアイドルがいたとは…!
・芸能界に興味のない伊丹←S14「共演者」を踏まえるが嘘をつくな
•亀山の首根っこを掴む伊丹
•S21で新聞に出たり動画で晒された右京さんが映り込むと超バズりそう
•音響機器使って盗み聞きするな右京さん
•新人にパワハラタレント当てるなよ…
•佐光は何で良い歳してバイトなんだろ
•佐光は安本さんに優しいし狙ってそう
•社長と結婚した妹曰く真の金持ちはタワマンではなく平家らしい
•矢崎が感謝を伝える筈の3万越えのケーキを経費で落とそうとしてる人間味好き
•著作権管理団体ってカスラックか?
•林田の「最後にもう一つだけ!」って感じで追いかけて話をするの好き
•ライターの音とBGM合わせる演出好き
•友情が良いもんだと俺も最近分かった
•この無駄ロン毛彼氏後々考えるとゴミだな
•昔の推しに裏切られてる芹沢マジで可哀想
•間違っちゃいないが死をビジネスにする下劣さは大嫌い
•社長のミニスカをチラ見する自分が憎い
•難聴を知った瞬間に沢村さんが動揺してる
•矢崎は佐光の声を左耳で聴こうとしてる…
•音響役の方が度々Xで"イイね"してくれてます
•補聴器を踏んだからゲソコン残ってそう
•曲名は「虹の色」なのね(『相棒』劇中歌は名曲が多い

【次回】


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