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相棒21 第4話「最後の晩餐」感想

視聴後に即時行なっている相棒投票で"面白かった98.7%"を叩き出した化け物回
過去5年間ほどやっていてこんな事は初めて。(過去最高は97%
これを書いた光益さんが相棒初脚本どころか地上波ドラマ初という事実に震えてる。
とりあえずカレー食べたい。

【あらすじ】

右京は、乗り込んだタクシーで血液の付着したマフラーを発見。
運転手から直前の乗客の情報を聞き出すと、問題の男が帰宅前、唐突にロープを買っていたことが分かる。不穏な空気を察して追跡すると、男は両親の遺産を食いつぶして暮らす堂島という独身の遊び人と判明。
薫は、堂島の周辺で何か事件が起きていないか、伊丹に尋ねるが、捜査一課は先月発生した強盗殺人で、それどころではないとあしらわれる。
右京は、堂島が何らかの事件を起こし、死を覚悟しているならば、警察を名乗るのは危険と考え、身分を隠して接触。行動を共にし始める。
いっぽう薫は、右京の指示に従い聞き込みへ。
すると、堂島が最近、若い女性と新生活を始める準備をしていたという情報が。
被害者は、その女性…!?
右京と薫は、別行動を取りながら“何が起きているのか”を探っていくが、その過程できな臭い話が次々に浮かんでくる。

怪しい男をマークする右京と別行動の薫
真相解明の鍵はカレーとチャップリン!?
どんでん返しの先に衝撃の結末が!

脚本:光益義幸
監督:橋本一

【感想】

《喜劇か悲劇か》

街の灯

物語としてはチャップリンの『街の灯』がベースと同じく悲劇か喜劇か視聴者の判断に任せているのが好み。
一応、『街の灯』のあらすじはこんな感じ

①ある日、浮浪者の男は街角で一目惚れした盲目の花売り娘から花を買う。
②夜、男は泥酔して自殺しようとしていた富豪を助け、富豪は男を命の恩人として家に呼び酒を酌み交わす。
③朝になって富豪の家に戻ると、その家の近くの街角で盲目の娘が花を売っていたので男は富豪からもらった金で娘の花をすべて買い、手を握って別れる
④娘は男を親切な金持ちと思い込んで慕うようになる
⑤酔いの醒めた富豪は昨夜の事を忘れて男を追い出す
⑥花売り娘が彼女が家賃を滞納して立ち退きを迫られていることを知った男は、その金を工面しようとするも失敗
⑦酒に酔った富豪とまた再会し、酔った時だけ男を覚えている富豪は喜んで男を自宅に招き娘の事情を聴くと1,000ドルもの大金を手渡してくれる。
⑧しかし室内には2人組の強盗たちも居合わせており、富豪は強盗たちに頭を強打されて気を失う。
⑨男は警察を呼ぶが、警官が到着した時には強盗たちは逃げ、男が犯人と勘違いされてしまい、富豪も男の事を忘れてしまう。
⑩富豪の家から逃げ出した男は娘の家に行き、1,000ドルを手渡して立ち去る。
⑪男は街で刑事に見つかって逮捕されてしまう。
⑫時は流れ、娘は手術により視力を取り戻し、花屋の店を開いて幸せに暮らしていた。
⑬刑務所から出て更にみすぼらしい姿になった男はあてもなく街を歩くと偶然その花屋の前を通りかかり、娘の姿を見かけて立ちすくんでしまう。
⑭娘は自分をじっと見つめる男を呼び止め、一輪の花と小銭を手渡そうとする。
⑮小銭を握らせるために男の手を取ったその感触から、娘はこの浮浪者こそが自分の恩人であることに気づき、男も恥ずかしそうに笑みを浮かべるのだった。

出典:Wikipedia

浮浪者は愛故に彼女を助けようとして、そこに対しては成功した。
ただ富豪であるという彼女の期待は裏切ってしまった。
今回堂島と久保で解釈が分かれてしまったのは
堂島は「娘は男の正体に失望したので今後はうまくいかない」
久保は「娘は男の愛を知ったので今後うまくいく」
作中で右京が言うように両者の解釈は間違っていない。
これは両者のこれまでの人生も表していて
愛する人を幸せに出来ず、両親から継いだ会社も経営権も渡してしまい、生きがいとなった娘も守れず自殺を試みようとした堂島。
父親がいなくても母親から大切にされて顧客とも仲良くしている久保。
この2人の人生観がクッキリと分かる。

そして面白いのは、今作も同じように悲劇か喜劇がその後を考えると分かれるという事。
劇中の描写だと堂島さんはあの後に久保君に自分が父親という事を明かして、これまで出来なかった家族としての幸せを掴み今以上に彼と仲良くなっていく事は想像に難く無い。
ただ一方で久保君は父親の事を一切聞かず、そして母親が残した父親についての手紙を開封すらしていなかったという現実もある。
あの親子は今後上手くいってほしいと願う気持ちと、20年以上放置していた父親を恨んでいる可能性もある。
悲劇主義だった堂島だけど、こと今回自分の事になると喜劇を望まなくてはいけなくなるというのも味わい深い。

でも1番問題なのは死んだ(?)堂島さんの義理親。
堂島さんを息子として迎え入れたのは良いけど会社を継がせる為に育てたって事だと愛情としてどうなのとは思ってしまう。
息子が愛する人を見つけたら勘当して、戻ってきたら金を相手に渡して自分達の思い通りのレールを歩ませる。
行き着いた先が金を持て余して失った愛情をどこかで発散しようともがく独身貴族。
しかも会社経営も失敗してる。
それなら100%支援とまでは行かないまでも堂島さん個人の幸せを彼等は応援すべきだったのではとも思ってしまう。
堂島さんも彼女も充君も彼等のエゴの被害者なのかもしれない。

《今回のMVP》

亀山 薫

亀山君が有能過ぎる…

今回殆ど右京さんの助けなしで寧ろ遠方から右京さんをアシストする動きをかましていた亀山君。
謎の女性の正体を突き止め殺人事件を解決し、和紙と落ち葉という情報だけで神社を特定したりと14年前なら考えられない有能さ
冠城なら尾行も自力で気付いて報告するだろうけど、神戸やカイト級には有能だった。
間違いなく今回のMVP。

周囲の声としても
「これが亀山と右京の"相棒"だよ!!」
という声が本当に多かった印象。
あまり懐古主義でも無い自分から見ても良い意味で
「過去回であったっけ?」
みたいな懐かしい気持ちにさせられたので、他の方々だとより一層そういった気持ちにさせられたんだと思う。

右京さんが知恵を出し亀山が動いて事件を解決するフォーマットは亀山期の過去作だと『劇場版Ⅰ』や『ついてない女』も連想される。
でも別行動を取って面白いのは神戸でもカイトでも冠城でもあったし、寧ろ亀山君はずっと右京さんとニコイチで動く回が多かったとも思うので、この評価は結構意外

寧ろ亀山はずっと一緒に行動してポロッとふざけた事を言ったらそれが芯を食っていて右京さんが頭脳を回すと言った構図の方が多かった記憶すらある。
懐かしのBGMや人情系という部分で懐かしさや高評価に繋がった可能性もある。
重ねて言うけど結構意外

【小ネタ&雑感】

全てを持って行った美和子スペシャル

•独創的なセンスで食欲は湧きませんが好奇心は刺激される美和子スペシャル
•右京さん車に乗るのやめたのかな(もしくは帰りに酒を呑むから?
•伊丹「バカ亀!」
•亀山「大雑把に青山方面に行きまーす」に笑う
•右京「手のかかる部下を持つと気が休まりません」←峯秋さんの気持ち考えろ
•最近右京さんから水谷さんがはみ出てる(「スッキリしたぁ」の台詞
•特別な命令があった時に動くから特命係(命令があるとは言ってない
•今の亀山君って嘱託職員だけど警察手帳あるのかね
•ママのやってる事が重めのストーカー
•酒屋の娘で梅酒が絶品か…
•商才が無くて全てを失ったのか…
•伊丹「出戻り亀!」
•土師はもう完全レギュラー
•右京さんと充君の顔が近い
•金を2人とも山分けする気無かったのね
•堂島さんが叫んでる時の充君どうしてた
•堂島さん結局無実なんだよね
•亀山君の「し〜」好き

【次回】

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