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相棒22 第12話「惡の種」感想

『相棒』史上最高傑作級だと思っている南井シリーズの続編!!!
今回は前振りではあったけど予告も含めて今期2番目にテンション上がったのは間違いない!!(1番は元日SP
S23以降に持ち越されるんだろうけど、期待が高まるね!

【あらすじ】

弁当店の店長がパワハラで死亡!?
過去の事件との意外な接点とは…

都内のうらぶれた地下道で、頭部を負傷した男性の遺体が発見された。
警察は、何者かと揉み合って階段から転落したと見て捜査を始める。
被害者は、フランチャイズ弁当店の店長。
残されていた手帳には、本社の社員から受けていたと思われるパワハラの実態が生々しく書き記されていた。
捜査一課は、その店を担当していた内田という本社の社員から話を聞くが、実際に指導していたのはチーフ社員だとかわされる。
いっぽう、独自の捜査に乗り出した右京は、被害者が磨かれたようにキレイな硬貨ばかりを所持していたことに注目し、と共に被害者宅を訪れる。
妻や近隣住民に聞き込むと、1年前に近所でホームレス殺害事件が起こり、今も未解決であることが判明。
ホームレス同士が金で揉め、周囲に小銭が散らばっていたという状況から、右京はある推論を立てる。さらに、事件を調べるうち、『ワイアット』『非凡人』『食物連鎖』といった謎の言葉が浮上し…!?

連鎖する事件と謎めいたキーワード
殺人の裏には秘められた恐ろしい因縁が!
右京さえ翻弄される数奇な事件の真相とは

脚本:徳永富彦
監督:田村孝蔵

【ゲスト】

内田隆一(演:前原滉さん)

6年前に「おんな城虎」に出演し、近年活躍の幅を広げている舞台出身の若手のバイプレイヤー。
前職にお世話になった先輩に顔が似ているので親近感がある。(パワハラは受けていません笑

【感想】

《感染》

四月十六日の朝、医師ベルナール・リウーは、診療室から出かけようとして、階段口のまんなかで一匹の死んだ鼠につまずいた。

カミュ『ペスト』より

S1「目撃者」で言及された『異邦人』と同じカミュが書いた小説『ペスト』に近い描写から始まる今作。
内容としてはコロナ時を思い返されるように、ペストで閉鎖された街の中で人々がどのように生きてどのように狂っていくのか描いている。
最初はなんて事ない鼠の死骸から徐々に状況が悪化していくという所に小説と今回の『相棒』に通じるメッセージ性を感じる。

内容としては下記のような連鎖型殺人

①不動産営業の高木は金銭目的で資産家の山崎を殺害
②ホームレスとして逃亡した高木は歪んだ正義感を持つ弁当屋の吉口に殺される
③吉口は本社営業アシのパワハラの果てに内田に殺される
④内田は逃走中に通り魔の岩上に殺される
⑤岩上は警視庁で毒物カプセルで自殺を図る
山崎、高木、吉口、内田、岩上の現場を繋げると"逆五芒星"が完成する

第一の事件である高木による山崎さん殺人は、上昇志向があり不動産営業だった高木が金持ちになりたかったというのが動機。
金持ちという"非凡人"になるには法律を破る"非凡人"への努力を行うのが重要と諭されて実行。 

第二の事件である吉口による高木殺人は、周囲からヒーローのように扱われた正義感が忘れられず、ホームレスに暴行を働く自分は街の人達の為に頑張っていると過剰な方向性へ走ってしまった。
この間違った正義感はカイト君を彷彿とさせられる。
作中でも"ワイアット•アープ症候群"として紹介されていた。

第三の事件である内田による高木殺人は、パワハラを受けているストレスを自身よりも立場が弱い者にぶつけていた結果として殺人にまで発展した。
強い者は弱い者を食らう"弱肉強食"という自然の摂理がその背中を押してしまった。

第四の事件である岩上による内田も含めた無差別殺人は動機など詳細は不明。
警視庁護送中に呟いていた台詞からキーワードは"革命"っぽいので、推察するには社会的弱者だった岩下が、一般人への殺戮を行う事で立場の逆転…即ち"革命"が目的っぽい。
最後の自殺についてはS16「倫敦からの客人」と同じような形で実行させたんだと思っている。

これら全部の考え方は自分として理解できなくも無い。
金持ちには嫉妬するし、悪人を攻撃するのは誇らしいし、弱い人を狙うのはどこかでやってるかもしれないし、一発逆転や見返したい気持ちもある。
彼等誰にでもあるそういった感情をくすぐられて暴走させられている。
今回は演出も坦々としていてホラー映画っぽくされていて、役名も心なしか全員一般的で身につまされるようになっている。
だからこそ南井かもしれない黒幕の不気味さも際立っていて非常に良いと思う。

ただ苦言を言うならば、予告編で南井要素出すなよ!
後半残り10分で南井関与が明かされて盛り上がる構図なんだけど、予告で明かされてるので
「多分この謎メッセージが南井なんだろうけど、早く登場しろよ」
みたいに斜に構えて観てしまう。
特にサムネにしてる画はエンドロールに載るような場面だったのに予告に載せちゃうのは流石にダメよ…。
サプライズであって欲しかった…。

《南井の復活》

南井の復活はテンションは上がるが不安なのが正直な気持ち。
S18「善悪の彼岸」は個人的にも思い入れがあり、認知症だった祖母が当時亡くなったばかりで南井と祖母を重ねて観てしまう部分もままあった。
水谷さんと伊武さんの演技も最高で、今でも月に1回は対峙する場面を観返してしまう。
ラストもモリアーティを彷彿とさせるような締め方で、良い意味で最悪の後味なのも良かった。

そんな南井編の続きが観れるのは単純に嬉しいが、最高の終わりから蛇足極まりない続編を行い晩節を汚した作品が世の中にはごまんとあり、南井編もそうなってしまうのではという恐れは正直ある。
また『相棒』は伏線を放置する節もあるので、この南井関連も長谷川や遠峰のように放置されてしまってもおかしくはない。
クオリティの面もだが、そもそも完結するのかですら担保されていないのも不安。
ここS7からずっと抜ける事なく、また8年ほど安定して良作以上を描き続けている徳永さんなので上記の可能性は低いかもしれないが、それでも不安は尽きない。

というか、南井本当に生きてるの?
今回電気車椅子に乗る後ろ姿だけで顔など詳細は分からなかった。
南井の痴呆は進んでいて、そもそも会話が成り立つのかどうかも怪しい。
南井は心酔する信者も複数いると思われるので、彼を父と呼ぶ黒幕に世話係の執事と2人の支援者が存在するのは不思議ではない。
また、これまでの南井信者は全員もれなくサイコパス系殺人鬼で、黒幕も"人間は植物"という発言もしている。
南井が食事をしていない事も踏まえて死体の世話をしている可能性すらある。(小暮ひとみを思い出す

また、南井だと思えないのは一連の事件が完全マッチポンプだって事。
人間それぞれが持つ悪意を焚き付けて殺人を引き起こさせるっていう手法だけど、南井は罪なき人を殺させたりはしない気がしている…。
痴呆が進み自分でも手を下したから何も分かってないのかもしれないが、少しでもマトモな部分が残っていたら他者の気持ちの隙間に入り込んで事件を引き起こさせたりはしないと思う。
だからあるとしても南井ではなく息子(仮)主導で引き起こしていると考える。
そうなると息子の目的は南井の後継者になりたがってる感じなのかね…。
まぁそうなると右京さんが
「あなたが南井十を名乗るなど虫唾が走る!」​
みたいな事を言ってくれるかもしれない。

ただ、もし本当に生きていたんだとしたら右京との再会以上に亀山君との邂逅が楽しみ
人心掌握説法は直情型で単純明快な亀山君には効果が低いだろうし、冠城や右京のように南井のペースに持ち込まれる可能性も少ない。
南井は右京の光に当てられて影を意識したと以前語ってたが、右京以上の光属性どころか右京を光属性に変えた亀山とはどんな話をするか考えるとワクワクする。
個人的には亀山君に嫉妬する南井が観れたりしたら嬉しい。

《今回のMVP》

土師太

行方不明だった河野を見つけたり、内田の行先を即座に伝えたりと有能さが止まらない。
本人は嫌がってるけど二代目青木年男いけるで。
青木が卒業したのもあるが、亀山君になってから頼りにされるペースが上がったり渾名が出来たりと視聴者からの愛され度も高くなったと思う。
また青木と土師の小競り合いも観たいなぁ…。

【小ネタ&雑感】

・特命係の亀山!by伊丹
・いけふくろうの掃除は参事官からの依頼
・ふくろう磨く暇があったら自分を磨け!by伊丹
・クソパワハラは許せない
・消しが甘過ぎるホワイトボード
・吉口さん9年無休ってヤバいでしょ
・お弁当が525円は安い(俺も通痛い
・町内会長は吉口亡くなったのを事前に知ってた上で弁当買いに来てたんならヤバい奴だよ
・クソみたいな若者本当に嫌い
・金で人を殺す(物理)
・亀山と益子の同期会話もっとくれ
・猫へのおやつでコオロギはエグい(虫嫌い
・吉口奥さんが最大の被害者説
・ヤマザキをヤマサキって言ったのは隣のおばちゃんの勘違い説
・3桁は総当たりでも時間かかるだろ
・電話演技する土師っち好き
・テメーが3時間睡眠やってみろよ
・ホワイトボードをちゃんと消せ!!
・毒親に育てられた人が毒親になるっていう話もあるからね
・手ぶらスーツで逃げるのには限界あるでしょ
・『相棒』での通り魔殺人現行犯逮捕って初では…(衝撃的だしセンシティブな描写だからね
•過去回想での冠城亘出演!

【次回】

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