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『DOGMAN』 第14話 最終回


山火事だ。
俺の里山が燃えている。
俺の仲間たちは・・・
母さんは・・・

不安だけがよぎる。
しかし、風を切り分けて走り抜けることで、その不安をかき消していた。

「リャン!我が里山が火事になってしまった!仲間が・・・!」
「くそっ!どうしたらいい・・・どうしたら・・・」

その時、後ろからやってきたのは一台の車と何台もの消防車。

「リャン!ここね!あなたの里山は!隊員さん、お願い!火を消して!」

エイコさんだ!なぜ・・・!?

後ろからバケツを持ってきたのは・・・ゆうくんとまぁちゃんと、アキだ!

「リャン!今山の火事を消すからね!心配しないで!」

まぁちゃん!なぜ・・・なぜ今俺はオオカミなのに、みんな俺の正体を知っているんだ?!

「リャン、ごめん!秘密守れなかった!みんなに秘密がバレた!」

ゆうくん!みんなに俺のことを話したのか!
俺がオオカミ男と知った上で、みんな助けてくれているのか!!

消防隊と、我が同士の必死の消化活動は夜まで続き、やがて火は消えた。

「仲間は・・・母さんは・・・?!」

すると、岩陰に隠れていた一匹のオオカミが現れた。

「母さん!父さん、母さんだ!」
「おぉ!トモ!!生きていたか!」

トモと呼ばれる、リャンの母親のオオカミは、岩陰にオオカミの群れを引き連れていた。

「私がオオカミの仲間たちをここに避難させていたの。」

「おぉ!トモよ!よくやってくれた!さすがは我が妻だ!」
「母さん・・・よかった・・・。」

我々は、こんなにもたくさんの仲間に囲まれていることに気がつかされた。
オオカミの仲間、人間の仲間、父さん、母さん・・・。

これからも、この仲間たちの固い絆は崩れることはない。

                                    終わり

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