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なぜbotterはバブルを切望し養分に感謝するのか(初心者向け)

この記事は2023年botterアドベントカレンダーの記事です。

0. はじめに

どうもaiba(https://twitter.com/aiba_algorithm)です。これをきっかけに初心者向けの記事を時々書こうかなと思ったりしたのでフォロー等よろしくお願いします。まず軽く自己紹介をさせてください。自分は経済学部から情報系の修士課程に理転して、現在は大学院を休学してドバイに住んでおります。2021年の3月(学部4年の終わり)あたりからbotに触れ出し、2021年の10月あたりから奨学金で溜まった約150万円でトレードを始めました。なので2021年のバブル相場を見てはいましたが、ほぼ指を咥えて眺めていた勢になります。

3年弱という長くない期間ですが今までやってきた知見から、なぜ養分(トレードが上手くない人たち)が増えると儲かるのか、なぜバブルがくると儲かるのか、先人たちはバブルをどう立ち回っていたのか、考えられる立ち回り方等をトレードをしたことがない人でもわかるように易しく書いていこうと思います。

以下のマエダイさんの言わんとすることを一緒に理解していきましょう!


1. 板取引とは?

まず無期限先物取引の基本である「板取引」について簡単に説明したいと思います。
そもそもビットコインなどの仮想通貨はどのように価格が決定しているのでしょうか?
以下の画像はbybitのBTC/USDT PERPの板(order book)です。
※USDTとはUSDと価格が一緒になるように設定された仮想通貨です

板取引では指値注文(limit order)と成行注文(market order)の2つの注文方法があります。

X円でY枚買いたいです(売りたいです)というのを事前に出しておくのが指値注文です。例えば上の画像では36,973.30USDTで13.777枚買いたいというオーダーが出ており、36,973.40USDTで0.432枚売りたいというオーダーが出ています。※複数人が同じ価格に注文を出していると合計した枚数が表示されてます。

成行注文とはすぐ買いたい(or売りたい)!という注文方法です。今ある指値注文に対して買ったり売ったりできます。例えば、上の画像の時に「0.5枚買いたいです」という成行注文をすると安い順から36,973.40USDTで0.432枚、36,973.80USDTで0.035枚、36,974.00USDTで0.033枚(= 0.5 - 0.432 - 0.035)購入できることになります。なので成行注文が行われて初めてトレードが成立します(約定します)。

ここからが当たり前のことですが重要なことです。

Q. 価格はどのようにして上がるのか?
A.一番安い売り指値注文の価格(best ask price)が上がったらです。 買いの成行注文が行われて、安い価格の指値注文から順に約定した時に価格は上がります。その他にも一番安い売り指値注文がキャンセルされても(買える)価格が上がります。

Q. ロング(買い)で利益がでました。そのお金はどこからきたのでしょうか?
A.ショート(売り)で負けている人がいます。 無期限先物では買うには絶対に売っている人がいます。なぜなら板取引だからです。なので無期限先物の中だけで考えるとロングで利益が出ている分ショートの誰かが損をしています。
※ ショートの人が現物のビットコインを持っていてその人自体は損していないとかはあり得ます。
※ 無期限先物ではビットコインを買っていなくても売りから入ることができます。ショート(売り)はその時の価格でビットコインを借りてきてすぐに売った状態っていうのがわかりやすいでしょうか。価格が下がれば借りた時の価格よりも安くで返すことができ、利益を得ることができます。

この2つを押さえてまずは 「養分がいるとなぜ儲かるのか」 を考えていきましょう。

2.  養分がいるとなぜ儲かるのか

上で言った通り先物取引の利益は他のトレーダーの損失から来ています。なので言ってしまえば、養分が増えると損をする人が増えてその分他の人の利益が増えます。それ以上でもそれ以下でもないですが、イメージしやすいように具体的に考えていきます。自分が成行注文でエントリーする場合と指値注文でエントリーする場合に分けて具体的に考えていきましょう

2-1. 成行注文する場合

以下の条件で考えます。

  • 12時に成行でエントリーする

  • 1時間後(13時)にポジションを閉じるとする

  • 1時間後(13時)の価格は4万ドルになるとする

  • 自分と養分ではないトレーダーは1時間後に4万ドルになると予測できるとする

  • スリッページは考慮せず12時の価格でエントリーできるとする

  • 手数料は考えない

上の条件の時、自分は12時時点の価格が4万ドル以下の時はロング、4万ドル以上の時はショートします。なぜなら1時間後に4万ドルになると分かっているので、その価格より低い場合はロングした方が儲かりますし、高い場合はショートする方が儲かるからです。

2-1-1. 養分が多い場合

市場に養分が多いということは、価格予測が下手くそな人が多いということになります。ということは13時に4万ドルになるとわかっていない人の割合が市場に多いということです。これを具体的に考えます。

  • 12時以前に4万ドル以上で成行&指値でロングをする人の割合が増える

  • 12時以前に4万ドル以下で成行&指値でショートをする人の割合が増える

ここで上で書いたQuestionを思い出しましょう。

Q. 価格はどのようにして上がるのか?
A.一番安い売り指値注文の価格(best ask price)が上がったらです。

4万ドル以上で成行ロングをする人が増えると、best ask priceがどんどん上がって価格が上昇していきます。また4万ドル以上で指値ロングする人が増えると、他の人が成行ショートしても買いの板が厚くなっているので価格は下がりにくくなります。結果として4万ドルよりも高い価格で12時を迎える可能性が高くなります。

また4万ドル以下でショートする人の割合が増えるのも同様に4万ドルよりも低い価格で12時を迎える可能性が高くなります。

結果として養分が多ければ多いほど4万ドルよりも離れた価格になる可能性が高いです。すると4万ドルから離れれば離れるほど1時間後に4万ドルになるとわかっている自分は、より利益を出せることになります。

2-1-2. 養分が全くいない場合

養分が全くいない場合も一応考えましょう。市場の全員が1時間後に4万ドルになるとわかっていると、12時以前からずっと4万ドルの価格をキープすることになります。なぜなら4万ドルより少しでも高いと成行でショートをしますし、4万ドルよりも少しでも低い場合は成行でロングするからです。またそもそも4万ドルの少し上に売り指値が、少し下に買い指値が並びまくって4万ドルから価格が動きません。その場合自分は4万ドルでエントリーをすることになり利益を得られません。(実際は手数料もありマイナスの利益です。)

現実は完璧に価格を予測できるということはないので、価格が動かないということはないです。しかし、トレードが上手な人の割合が多ければ多いほど予測される価格に近づくので、利益を上げることは難しくなると考えられます。なのでボラティリティ(価格の変動幅)だけでなく、マエダイさんの言う通りボラ✖︎養分といった指標が相場の難易度に直結すると考えられます。


2-2. 指値注文する場合

指値注文も成行注文と大体同じように説明できると思いますが、今回はすごく具体的なロジックで説明しようと思います。自分が思いつくロジックで説明すると「人のロジックをポロリするな」とか言われて怒られそうなので、公開されている記事のロジックを元に説明します。以下はQashさんの記事『5月の損益と再現性のあるアビトラで5000円を1億円にした話』の髭取りアビトラ戦略ロジックです。

1)海外取引所のXRP価格が100円の時、国内取引所で99.6円買い、100.4円売りの指値をし続ける。
2)海外取引所のXRP価格が変動したら、それに合わせて一定の乖離率で指値を継続する
3)自分の指値が約定したら、即座にマージンロング/ショート(or先物ロング/ショート)を入れる。

 原理がわかったので、上記に似た戦略でBOTを動かしてみたのですが、閾値を下げる合戦となり、不毛だったので辞めました。10万円くらいは稼げましたが、もうやる気はおきないです。

https://note.com/qash/n/nf71c08f2a479

このアビトラロジックでなぜ養分が増えると儲かるのか説明します。まずざっくりこのロジックを説明すると、海外取引所の価格を参照し続けてそれよりもX(手数料より大きい値)パーセント離した価格の指値を上下に国内取引所で置き続け、国内で約定があったら海外取引所側で反対のポジションを成行でとり国内と海外取引所の鞘を取るといったアービトラージです。

養分がいるとどうなるか考えましょう。養分は国内取引所でXRPを大量に一気に成行注文をします。するとその取引所の価格が一気に動いて上のロジックの指値が約定して海外取引所との鞘が取れるわけです。養分が多ければ多いほどこの約定の回数が増えて利益が増えます。また養分の1回の注文量が多ければ多いほどたくさんのポジションをとって鞘を取ることができます。

これがbotterが「市場に養分がいない」やら「最近養分を感じる」とか言っている正体です。もちろんこのアビトラロジックみたいなのを使っているbotterばかりではなく、指値注文する多くのbotはこの価格で約定したら期待値プラスになるはずという歪んだ価格に指値を置いてたりします。なので自分の高頻度のbotの利益が増え出すと「プププ、歪んだ価格に成行を投げてくれている養分が増えているな」と養分に感謝し出すのです。歪んだ価格の算出は各botterのエッジと言えるでしょう。アビトラみたくするのか数理モデル的に算出するのかデータからルールベース的に考えるのか等、色々考えられます。

※ 高頻度botだけでなく、指値で注文を行うbot全てに言えることです。例えばrichmanさんのgitで解説されているロジックの指値位置も直近のローソク足の長さ的にこの価格は外れ値だよねみたいな考え方です。歪んだ価格のルールベース的算出ですね。
※ 高頻度botは歪みを取るだけじゃないです。色々な戦略が考えられます。以下に片道切符マンさんのアドカレ記事貼っておきます。指値注文の価格がエッジだけど歪みを取るって感じでもないロジックです。


養分センサーを持つbotterたち

他にも養分のおかげで儲かったよって話

年末にみんなが円転したせいでcoincheckだけ暴落した感じですね。

3. バブルが来るとなぜ儲かるのか

そもそもバブルの定義が曖昧ですが、まぁざっくりと以下の要素で説明します。

  1. 新規参入者が増加する

  2. 価格が急激に上昇する

  3. ボラティリティが大きくなる

3-1. 新規参入者が増加する

まず1つ目の新規参入者の増加ですが、バブルでは仮想通貨が上がっているみたいだぞ!!と普段仮想通貨を触っていない層が参入してきます。いわゆるトレードが下手くそな「養分」の参入です。上で説明した通り養分が増えると儲かります。

3-2. 価格が急激に上昇する

方向をあてるようなロジック、例えば1日後のリターンを予測するようなbotは、価格が大きく動くかにかなり依存し、バブル時に大きく利益を出すことができます。あと、そもそも価格がめっちゃ上がるので仮想通貨全体の時価総額が上がり、先物取引でショートしている人しか損しない状態になります。(betaとかの概念も説明しようと思っていましたが割愛。)

3-3. ボラティリティが大きくなる

まずボラティリティが大きいとは、簡単に言えば「価格がめっちゃ動いている」です。

価格が上昇していなくてもボラティリティが大きいと値幅が出て、ボラティリティが小さい時よりも利益を得ることができます。もちろん負ける時も激しく負ける可能性がありますが、利益を上げているbotterは基本期待値がプラスなのでボラティリティが大きいと利益も大きくなる傾向にあります。


4. バブル時にどう立ち回ればいいか

2021年のバブルを眺めていた視点から書いていきます。以下で書く戦略は1つの選択肢として考えてください。

4-1. 回転bot

hohetoさんが考案したbotです。バブルの特徴である価格上昇にベットするbotです。以下の記事で詳しく書かれているので是非読んでみてください。

簡単に説明するとXパーセント(記事内では7~14 %程度)下の価格に買いの指値注文を置いておき、約定して価格が上がったら利確するといったロジックです。すなわち暴落時にロングのみでエントリーして価格は絶対上がるから上がったら利確しよう!というロジックです。なぜ価格が上がるか?バブルだからです。"Buy the dip!"

4-2. 養分bot

これは本家の記事がなくなっていたので困っているんですが、レバレッジを固定してビットコインを買い続けようというロジックです。目標の価格に行くまではエグジットせずに、価格が上がればひたすら買い増そうというロジックです。レバ2倍で固定する場合は「50%の下落でロスカット」or 「目標の価格に到達して爆益!」みたいな感じです。

本家ではないですが説明されている記事を貼っておきます。

あとは今回のアドベントカレンダーで紫藤かもめさんが同じようなロジックを書かれていたのでこれを参照してください。

回転botもそうですが別にビットコインでやらずにアルトで爆益目指すっていうのは全然アリだと思います。

4-3. アービトラージ

バブル時は価格が乱高下してミスプライスの約定が増えます。上のアビトラの戦略でも触れましたが価格の鞘を取れる機会が増えます。アビトラbotもしくは価格差を通知するようなコードを用意しておくに越したことはないでしょう。アビトラに関してどうやって稼ぐかわからないという方は以下の記事がおすすめです。


4-4. デルタニュートラル

上のアビトラの一種かもしれませんが、デルニューという戦略があります。これは仮想通貨特有のfunding rateを用いた戦略です。説明は長くなるので、詳しく説明されている記事を貼っておきます。

現物-無期限でもいいですし、取引所間のfr差を利用した無期限-無期限でfunding rateを得てもいいです。戦略としては色々考えられます。バブル時は無期限先物がindex価格よりも高くなりがちでfunding rateも高騰します。2021年のバブル時にはデルニューで月次数十ぱー得るとかは全然ありました。カウンターパーティリスク以外は基本ノーリスクなので余剰資金などをデルニューしやすいようにコード用意しておくと良いかもです。

4-5. ロング基軸のbotにする

回転botにも繋がることですが、バブル時は基本価格が上がります。なので既存のbotで、ロングだけするバージョンやロングの時にロットを大きくするようなバージョンを動かすのも1つの手です。価格が上がると分かっていれば適当にロングしても期待値がプラスなわけですから。

4-6. 現物を増やす

bybitやbinanceではBTC/USD PERPというものを取引することができます。これはBTCを証拠金にトレードすることができ、利益が出ればBTCが増えます。なのでBTC/USD PERPで勝てるロジックを作って、ひたすらBTCを増やすというのもありです。なぜならバブルでBTCの価格は上がるのだから。

4-7. その他

自分があまり触っていない分野についてざっくり書きます。

NFT
NFTは2021年すごい盛り上がりを見せて、誰よりも速くコントラクトを叩くであったり、openseaのミスプライを検知するみたいなbotで利益を上げている方はいました。今もNFTの流動性供給で儲けるみたいな方法もあるみたいです。次くる?バブルでNFTが跳ねるかは微妙な気はしますが、選択肢としてはあり得ます。


ステーキング/レンディング
2021年のバブルではステーブルコインを預けているだけで年利数十%は出ていました。利回りが高騰しがちなのでこういったのもありでしょう。ビットコインなどの現物をレンディングしながら無期限先物でショートしてfunding rateも貰うといった選択肢もあります。マイナーなdefiだとハッキングなどのテールリスクが大きめです。


エアドロップ
2021年はweb3としても盛り上がりを見せていたので、多くのサービスでエアドロップが行われていました。資金がない勢はエアドロップの情報を収集しまくって参加する方が利益が上がるみたいな環境だった印象です。

エアドロップとは、企業や取引所が設定した条件をクリアすることで、暗号資産やNFTを無料でもらえるイベントのことです。
新しく発行する暗号資産やNFTの知名度を上げるために、発行体である企業や取引所がマーケティング戦略の一環としてエアドロップを実施するケースが多くなっています。

https://coincheck.com/ja/article/540#i4


5. おわりに

拙い文章をここまで読んでくださってありがとうございます。少しでもこの記事が役に立てば幸いです。バブルは市場全体の時価総額が大きくなるので、ゼロサムゲームじゃなくなります。みんなで爆益目指しましょう!日本人botterに幸あれ!




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