【短編小説】徒労の人 ~なぜ書くのか~ 第4話
第4話
ピーンと勢いよく弦を弾くような音に心臓を射抜かれ、文字通り飛び上がる。スマホが受信を告げていた。
洞窟や銀色の月明りは瞬く間に消え失せ、代わりに小さなアパートの部屋が現れた。テーブルの上には、箸を乗せた食べかけのコンビニ弁当が置いてある。ひらめいたイメージをひとまずメモしておこうとパソコンを開いたのは、そういえば食べている途中だった。
LINEの送り主は実家の母だった。
『あんた、お正月には帰ってくるんでしょう?』
たったそれだけの短い文章が、心