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【短編小説】徒労の人 ~なぜ書くのか~(全9話)+あとがき

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「犯人はあなただ!」「さあ、聖杯を取り出せ」「紫式部になりたい!」限界まで潜ったその先にある、指先に触れたものをつかみ取れ。あなたは書くために生まれてきたのだから。
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【短編小説】徒労の人 ~なぜ書くのか~ 第4話

   第4話  ピーンと勢いよく弦を弾くような音に心臓を射抜かれ、文字通り飛び上がる。スマホが受信を告げていた。  洞窟や銀色の月明りは瞬く間に消え失せ、代わりに小さなアパートの部屋が現れた。テーブルの上には、箸を乗せた食べかけのコンビニ弁当が置いてある。ひらめいたイメージをひとまずメモしておこうとパソコンを開いたのは、そういえば食べている途中だった。  LINEの送り主は実家の母だった。 『あんた、お正月には帰ってくるんでしょう?』  たったそれだけの短い文章が、心