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第8話 短いメッセージがさくらから届いたのは、夜半のことだった。 返信しようと、何度も文字を入力しかけては消す。どんな言葉も、相応しいとは思えない。 もう一度彼女のメッセージを読み返した。 『こんなに反省している武を見るのは初めてで、驚いています。まだ複雑な気持ちだけど、操のためにも家族としてやり直さないとね。如月くんには迷惑をかけてしまって、本当に申し訳ないです』 友としての親しみが込められている。けれどもそれはすなわち、僕と彼女との間に横たわるはっき
第10話 そこで目が覚めた。 詰めていた息を吐いた。横隔膜が震える。 片方の手で顔を半分覆った。暗闇の中に、愛しい人の姿が浮かんでくる。 「さくら」 名を呼んだ。とたんに、涙があふれる。 すべて終わったはずだった。 それなのに、炎はまだここにある。 激しく燃え盛るのではなく、静かに、けれどもしたたかに、僕の心を震わせている。 行き先を失った僕の心を灯している。 存在したがっている。 生きたがっている。 ああ、と声が漏れた。温か