鬱記

 心の調子がやっぱりよくなくて、家事も仕事も手につかない。生まれつき笑顔で明るく生きられる人のことを羨んでいる。ニコニコと笑顔で「おはよう」って言えるような明るい人のことを心から羨ましく思う。無理しないで生きようと思ったのに、やっぱりまた無理をしていて、不安になる。とにかく不安が湧いてくる。不安に胸が押しつぶされている。わたしにはできない、わたしはうまく生きられない。生きていたくない。苦しい。ひとりぼっちで苦しい。誰かにグチってもその人を嫌な気分にさせるだけだから、もうグチを言うこともできない。そんな甘えられる相手もいない。

 明るく生きようと決めたのに。前向きに勉強したり努力したりして、日々の時間を有意義に使えるような、そんな人生にしたいのに。無為に時間を浪費して生産的なことが何もできない。新しい友達もできない。好かれない。家族だけがいてくれるけれど、いつか家族も離れていくのかもしれない。なんにも考えたくないけれど、ずっと頭が曇り空のようにどんよりとして重く垂れ込めている。早く天気が変わればいいのに。

 何かのきっかけで、あの頃の楽しかったことを思い出してはもう戻らないことを嘆いている。思い出は頭の中だけにあって、現在はどこにも存在しない。現在を生きていくしかない。この足で歩いて、この背中で寝転んで、この口で飲むしかない。不確かな悪夢のような現在を感じるしかない。感じ方ひとつで、悪夢はお花畑のようないい夢にもなるのだろう。

 なぜわたしは今こんなにも苦しく感じるのだろう。認知が歪んでしまったのだろう。一人でいるのがつらい。でも人に会ってもつらくて。家族とだけ過ごしていてもつらくて。ずっと止まらない偏頭痛のようにズキズキと苦しみがまとわりついている。いつの間にか治っている偏頭痛のように、忘れた頃に苦しさもなくなり幸せを感じて過ごしていたりもするのだろう。

 でも今は24時間ズキズキと痛い。早く家族が帰ってきたらいいのにな。バカなことを言って気を紛らせてくれる人が必要だ。

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