生きてる実感がない

生きたあかしを爪で引っ掻いて痕づける 血が出ればわかる 生きてることがわかる 今日も生きている感じがしない ほんとうにわたしは生きているのか 夢のなかなのか わからなくなる 誰か助けてと声に出すこともできず iPhoneのなかの文字を見ている iPhoneのなかだけで生きてる 肉体はそこにはない 頭だけがわたしなのか 文字だけがわたしなのか 誰にも抱かれない肉体は だんだんとたるみ 朽ちてしまいそうで 醜い塊になっていく iPhoneなんか捨てちまえ iPhoneの外で生きていればいい 生理のこないわたしは血が流れることがない 血が通っているのかわからないから 爪で引っ掻いて血を流す 夢も希望もない人間はどうやって生きている実感を味わえばいいんだっけ 若者でもなく老人でもない中年のクライシスなの 孤独はずっとそばにあった 孤独こそが友人ではないか 孤独こそが常に寄り添ってくれていた親友なのか 孤独だからこそ出逢えたではないか あの人にもあの人にもあの夜もあの昼も ひりひりする灼けるような喉を掻きむしりながら むかむかする吐き気に耐えながら 膝を抱えて横たわり ひとり寝の寂しさに今宵も虫の声を聴きながら まどろむまで波の音に抱かれたい あの薄むらさきの夕闇の海の色のような あなたに抱かれたい誰でもいいから抱かれたいやっぱりあなたに抱かれたいゆりかごのように優しく揺られて夢の中なのか現実なのかわからないわたしを優しくあやしてあやめて生かしていかせて一泡吹かせてあなたとだったら死んでもいいわってくらい楽しいことして生きてることを教えてほしい おねがい愛されたいのおねがい愛していますぐ

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