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私の身体なんだから私の好きにさせろ

結論から言うと、36歳にして初めてタトゥーを入れました。
※身バレを防ぐため、私が入れたタトゥーの画像は貼りません。

元々欧米のカルチャーとしてのタトゥーはすごく魅力的に感じていて、デザインも素敵だし写真を見るのが好きだった。中高生の時は本屋で雑誌を見たり、大人になってインターネットが普及してからはSNSとかタトゥースタジオのサイトで写真を見ていた。

日本では何となくまだ「刺青」の印象が強く、受け入れられているとは言い難い。それは日本の歴史やカルチャーを考えたら仕方のないことだとは思う。いくら外国人が国内に増えたからといって、いきなり「受け入れろ!」というのは乱暴だと思うし、日本の考え方を頭ごなしに否定はしたくない。
そういう考えもあって、「興味はあるけど私には縁のない話だな」と長年感じていた。

でも、ふと30歳を超えたあたりに思い出したのだ。
私の深く根付いた思想。それがきっかけで、タトゥーを入れることに踏み出せなかったことを。
それはいつだったか友達に言われた『温泉や海やプールに行けなくなるから、子供ができた時に困るよね』という言葉だ。つくづく、こういう言葉って呪いになるんだなと思う。

私は家族ができた時に、家族との行事を楽しめない(参加できない)可能性を考えて、自ら「興味はあるけど私には縁のない話」というカテゴリーに押し込んでいたのだ。

いつできるかも分からないパートナーや、産むかもわからない(産めるかもわからない)想像上の子供のために、自分の欲望をセーブする。その虚しい人生に何の意味があろうか。老後の貯金のために、現在の娯楽の全てを我慢するようなものだ。

だから私は目標を決めた。
「3年以内に彼氏ができなかったらタトゥーを入れる」と。
ちなみにこの「3年」の数え方はかなり適当で、実際に3年経過したかどうかは定かではない。コロナ前ではあったと思う。

そして約3年が過ぎ、無事に(?)彼氏もできず勿論結婚のケの字にも縁がなく、私は晴れてファーストタトゥーを入れることになった。

行動を開始してからは早かった。
ネットで調べて口コミの良いスタジオを見つけて電話で予約。
まずはデザインと予算の打ち合わせでスタジオに伺う(すぐ終わるワンポイントでない限り、基本的には当日に施術はしないらしい。たぶんスタジオによる)
ある程度のイメージは伝えて、アレンジをアーティストの方にお願いするため、その日は内金だけお渡しして一週間後に改めて施術の予約をした。

そして施術当日。
入れた部位が肩だったので、脱ぎ着しやすい服+キャミソールを準備して向かった。
デザインは私のイメージ通り。サイズだけ予想より少し大きかったので、ひと回り小さくしてもらった。ブラックのアウトラインだけのシンプルなデザインだ。
施術台に寝かされ、担当者の方に早速入れてもらう。
痛いは痛いものの、耐えられなくはない。が、2時間も3時間もそうされるのはちょっとしんどい痛さ。イメージとしては、少し痛いな、と思った注射が1時間ずっと続いているぐらいだ。肌が切られているような感覚もあるし、皮膚が薄い部分(二の腕の内側に近い部位)や骨が近い部分(鎖骨付近)は痛みが増した。
私のデザインは「名刺サイズ」と呼ばれるサイズだった。もしかしたら、ファーストタトゥーでこのサイズはちょっと無謀だったのかもしれない。ワンポイントにしておけば良かったと、最初の15分ぐらいは挫けそうになった。けれどだんだん慣れてきて、終わってみれば1時間などあっという間だった。
アフターケアの方法を教えてもらい、精算をして終了。

施術を終え、夜の新宿を歩く私はとっても清々しい気分だった。
正直、一番最初に針が当たった瞬間は「あ〜、やっちまった……」と感じた。けれど施術を終えて最初に鏡を見た時に、自分の身体がとても素敵に見えたのだ。

顔がでかいとか太ってるとか、不美人であるコンプレックスを抱えて生きてきて、大人になっても結局それを克服できていない。
この外見は、私が選んで持ったものではない。
親を恨みはしなかったが、自分を恨みはした。
そんな私が選択できる身体のことは、髪型・髪色、ピアス、タトゥーだった。その三つ目を、やっと実現させることができた。
自分の身体が、自分の望んだ通りにデザインされることは、なんて素敵なことなのだろうと思った。美容整形もその一つだと思う。私がそちらに向かなかっただけで。

考えてみたら、外見にコンプレックスのある私が、肌を晒す温泉や海やプールに行きたがるわけはないのだ。
実は今回タトゥーを入れることに関しては、家族・友達の誰にも相談や報告をしていない。私の身体のことなのだから不要だと思っていた。親に申し訳ないとも思わない(おそらくうちの親は受け入れてくれる)

あー、入れてよかった。
というのが正直な感想。

もし入れたい方は慎重に考えたほうが良いです。
保険に入れないとかMRIができなくなるとか、ネットで調べると「問題ない」と出てくることが多いですが、私はお世話になっている保険コンサルタントに一応確認しました。保険によると思います。MRIはよくわかりません。
そういうことが心配な方は本当にちゃんと色々調べたり相談してください。別にタトゥーでなくても、自分の身体を好きになる方法はいくらでもあると思うので。それぞれ自分なりの方法を考えていきましょう。