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一、風の章 どこか遠くへ行きたい。できれば、北がいい。子どもの頃からずっとそう思…
マリは――と、カケルは思いを巡らす。マリは、新入生の時から、何か堂々として自信ありげ…
「これ。首元、寒そうですから」 部が終わって帰ろうとしたとき、仏頂面のまま、マリがプレ…
その週の金曜日、部で美晴の歓迎会が行われた。 美晴と、先に入った一年生の優、あと二年…
目が覚めたのは、午前も大分日が昇ってからだった。昨夜も、風が吹きすさんでいた。いく分、…
〝今日、会えないかな〟 マリからそんなメールが入ったのは、日曜日の朝だった。カケルは、…