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認知症の始まりと家族が気づいたのは祖母の常同行動だった #3 感情と向き合う

認知症の始まりは、本人にとっての恐怖心は計り知れない

私は心も体も自分の意志で働かなくなった経験や、交通事故に合って記憶にかなりの異常を感じた経験があり、その時でさえ以前とは違う自分にとまどい、悪化していくかもしれない未来が心に重くのしかかり、心が押しつぶされそうになりました。

認知症の場合、当然、身内もパニック状態になり恐怖心に慄くのですが、物忘れや何か分からなくなったなどの、「認知症が始まった」と認識ができる状態でいるうちは本人が一番つらいはずです。
「自分のことも、愛する人のことも分からなくなっていくかもしれない。」
「できないことが増えていくのか。」
「人間性が失われていく…。」
「家族に迷惑をかける。」
「施設に入りたくない。」
など、いろいろな思いが巡ると想像します。

ほとんどの方は認知症という事実は受け入れがたいでしょうし、認知症を発症した頃は、気持ちが不安定になりがちかと思います。それは、若かろうが高齢であろうが同じでしょう。

認知症の周辺症状としても「抑うつ」「人格変化」などもみられますが、周りの人は、認知症の方の「感情を受けとめていく」ことと、自分の「感情と向きあうこと」という訓練(*)が必要になると思います。
(※すぐにできるようになることではなく、難易度も上がっていくと思うので、訓練という言葉がふさわしいかと思います。)

認知症の症状

※厚生労働省老健局 「認知症施策の総合的な推進について」 より抜粋

多くの人がこれまで体験したことのないことと向き合わざるを得なくなり、そこに生じた自分の感情と、折り合いをつけていかなくてはなりません。
何度も何度も、自問自答しながら自分自身と折り合いをつけていく。
そんな日々が始まるという覚悟が早々に求められます。
経験から言わせていただくと、覚悟をしないままでいると、感情に踊らされ介護の苦悩が倍増してしまうと思うからです。

常同行動と初期不安への対応


電気やテレビと点けたり消したり繰り返す祖母の対し、電気やテレビは私が点けるようにして、「いま点いてるよ」と声掛けをして安心感を得てもらうようにしました。テレビが点いていても、局や番組も認識できなくなっていたので、「いまNHKは○○の番組やってるね。他の番組見る?」と聞いてみたり、昼も夜も認識できなくなっていたので、「もう夜だから電気つけようね」、「今日は天気がいいから電気をつけなくてもいいね」などと話しかけて、本人が分からないことを自然に分かってもらるように伝えることを心がけました。

電気の紐が手に届くようにしたり、テレビのリモコンを近くに置いたりすると、点けたり消したりを繰り返すので、電気の紐は短くし、テレビのリモコンもすぐに手が届かない&目線から離れた場所に置きました。そして、祖母が点けたり消したりしなくても、家族が代わりに担当するものという位置づけに変更をして慣れてもらいました。

そして、認知症の祖母が困っていることを事前に察知して、困らないように事前対処することで、祖母の不安を少しでも軽減できるように努めました。
何よりも、私が不安ということは悟られないようにして、「ちゃんと守っていくから大丈夫」というメッセージを言動で表しました。
もちろん、言葉で「大丈夫だよ」も繰り返し繰り返し伝えましたが、その言葉は、自分に向けての「大丈夫だよ」でもあったように思います。

その後、テレビや電気を点けたり消したり、の後には、「クローゼットから箱を出して、箱の中の小物を全てベッドの上に広げて、全てしまう」を繰り返すようになり、また新たな変化が現れました。

つづく


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