保護司退任30年

 あまり馴染みのない方も多くいらっしゃると思います。30年間保護司を続けてきまして、退任しました。記念に金時計をいただきました。
 30年の間、いろんなことがありましたが、エピソードを一つ。保護観察となったその人は刑務所から早期退所ができるけれど、刑期期間中は保護観察となった方です。度々覚醒剤乱用していたAさんは、ご家族は失望し信用を無くしてしまっていました。しかし、ご家族の支援無くしては、地域社会での再犯のない生活をする事は難しいのです。初回の刑務所ということもあって、再起を図る残り少ないチャンスかも知れないと、ご家族との関係修復を第一に進めて行きました。仮釈放となったAさんの腕には、覚醒剤注射の痕跡が手首から上にびっしりと残っていました。ご家族には見放すだけではこの先の生活の見通しが立たないので、ご家族との話し合いとAさんとの話し合いを月に2回以上持ち、その様子を監察官に報告して行きました。
 私は、ご家族とAさんとの間に入り、意思疎通がうまく行くように気を付けました。Aさんもそれを受け入れて、家業の手伝いをして特に問題となることも無く,保護観察は終了しました。
 ご家族の苦しみと,Aさんへの思いなどにより、再犯防止は成し遂げられました。数年経過して偶然出会った時にもその後結婚して子育てをしていると言う話しを聞きました。
 最近は、犯罪件数も少なくなって来ましたが、犯罪の種類が変わって来ている様子が伺われます。誰もが、安心して暮らせる社会を願っています。

 

退任記念時計

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