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間欠性外斜視と向き合った6年間、そしてこれから

「間欠性外斜視(かんけいつせいがいしゃし)」とは、瞳部分が外側に外れてしまう外斜視の時と正常な時の2つの状態をあわせもっている外斜視のことです。外斜視は遠くを見るときにおきると見かけ上問題となり、近くをみるときにおきると読書がしづらくなるそう。疲れている時や起床直後、眠気がある時や明るい戸外でもおこりやすいのが特徴です。

6歳での手術

2022年2月、6歳7ヵ月にして長男が間欠性外斜視を改善する手術を受けました。息子の場合は両目の筋肉を約8mm動かし糸で止める、という内容。子供のため全身麻酔をして行われました。

前日に入院し、午後9時以降は飲食禁止。翌日の朝8時半には手術室に入り、麻酔が効いてから約2時間、午前11時半頃に終了しました。麻酔が切れた直後はかなり錯乱した印象で、「目が痛い」「怖い」と暴れてしまい、目を触ろうとする手を止めるのに苦労しました(6歳の男の子の力の強さを感じました)。両目を手術していますが、子供のため、術後両目に眼帯をすると恐怖心が強くでてしまうため、片目だけ眼帯をしていた状態。両目に軟膏をたっぷり塗られていたため、眼帯のない片目も視界がぼんやりしていて見えていないようでした。そのため、「見えないから周りがどうなってるかわからなくて怖い」「ママはそばにいてくれているの?」と術後2時間ほどは泣いていました。

術後2時間して水分が取れるようになったくらいから落ち着き、ようやく笑顔が見れるようになりました。手術した翌日朝、眼科にて眼帯を外した直後は目が充血していて、ものが二重に見えている状態でしたが経過は順調のため退院。1週間後と、その後2週間おきの外来で目の位置を維持するための訓練を続けていく方針になっています。1日3回、軟膏と点眼を2種類を続けること、お風呂や水泳など水が目に入るものは気を付けること(水泳は術後1か月後以降、ゴーグルをして可能)以外は特に大きな制限はありませんでしたが、1週間は外にあまり出ず、保育園等も休み安静にして過ごすように指示がありました。術後も、目の位置が戻らないように、家では両目の位置をコントロールして寄せることができるようにする輻輳訓練をし続ける必要があり、まだまだ気が抜けない日々ですが、目の位置が「普通」ということに小さな喜びを日々感じて過ごしています(輻輳訓練については後述)。

手術直後の長男

間欠性外斜視が分かったきっかけ

息子の間欠性外斜視が分かったのは、生後6か月のころの小児科の先生の一言でした。

この子はもしかしたら外斜視の傾向があるかもしれない。小さな内にわかっておけば打てる手があるかもしれないから眼科に行ったほうがいいよ。

その後、地域の眼科医に診せたところ、大きな病院での治療が必要、という診断を受け、大学病院へ転院。そこで「間欠性外斜視」と診断されました。

息子の場合、寝起きや、疲れた日の夕方以降、そして泣いたときには強く目が外れることが多く、寄り目をすることは本人にとって辛い状態でした。

診断名がついても、小さな子供だとできることはないに等しく、5歳まで半年に一度眼科に通うだけの日々。先生も、「大きくならないと検査もできないから・・・」と消極的でした。5歳になるころに新型コロナウイルス感染症が猛威をふるい、大学病院に通うのも怖くなり一時中断。1年近く通院することなく、2021年5月、6歳になる直前で再受診すると、先生が変わっていて、「輻輳訓練」の提案がありました。

輻輳訓練のために作成したカード

輻輳訓練では、遠くの位置から少しずつ見る対象物を移動させていき、近いものを見れるようにする、つまり寄り目にできる力をつけていくのです。私の場合は息子の好きな昆虫シールと厚紙を100円ショップで購入してきて作成しました。この寄り目にする訓練を1日10回程度実施。訓練を初めて2か月ほどで少しずつ眼力が付いてきたのか、2週間ごとの通院の検査では、これまで外斜視の影響でひとつのものが2つに見えたり、逆もしかりだった状態が回復している様子が見受けられました。しかし、完全に外斜視が治ることはなく、先生からは就学前の手術の提案がありました。

輻輳訓練である程度のところまで外斜視が治るのではないかと期待していましたが、このまま続けていても完全に治るのは難しい。それならば、手術をするほうが残りの人生彼にとって心配事が減るのではないか、そう想い今回手術を決断しました。手術までは輻輳訓練は特にしなくてもよいということでやめていた期間が3か月ほどありましたが、その間外斜視はかなり悪化して、日常生活でも違和感を感じることが多くありました。それを見るたびに手術という決断はしてよかったのだと感じていました。

術後3週間経過して

先日術後3週間の診察がありました。目の角度を見たり、両目でどの程度物が見えるようになっているのかの検査をした後、診察。結果は、両目で見る力は回復しているようで、遠近感が分かるようになってきたとのこと。目の中の糸は2本ほど溶けずに残っているが、このまま溶けるか自然と外れるでしょうとの診断でした。目の位置はほぼ正常に戻ってはいるものの、「外斜位」の傾向は少しあるとのこと。「外斜位」は、片眼を隠したときに、隠された目がそれぞれ目標物よりも外方向を向くことをいい、「外斜視」の手前とされるそうです。外斜視に戻らないためにも、今後も寄り目をする輻輳訓練や、目を左右に動かす練習は欠かせないようです。

これからはものの遠近感がつかみやすくなります。実は幼児のころからボール競技が苦手でどうしてもキャッチボールをしたりサッカーをしたりしても違うところに手や足を出してしまいうまくボールをつかめないことがありました。それは遠近感をつかめなくなる外斜視のせいでした。術後3週間、体を動かし始めた息子は、「サッカーをやりたい!」と言い出しました。サッカーやドッチボールや野球。子供たちが大好きなことを、違和感なくやらせてあげられることができる。手術で目の位置を治していただいた先生方には本当に感謝しています。そして何より、いろいろなことを我慢して頑張りぬいた息子を誇りに思います。


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