春が続けば #架空書籍書き出し #小説
寒空の下で結婚式場に向かう若菜。隆志は森の奥深くに佇む港町で亡父から受け継いだ秘密を守り自然と共生し暮らしていた。
若菜は心に余裕がなく、結婚式の準備に追われながらも隆志との新しい生活に対する不安が彼女を苦しめていた。車窓から見える景色も季節の移り変わりに気づく余裕もなくただ焦りばかりが彼女を支配していた。しかしやがて車は森の奥深くに入っていくと彼女の心は奇妙な鎮静感に包まれた。美しい木々に囲まれた道を進むうちに彼女は自然と共存する隆志の生き方に対する強い憧れを感じ始めた。