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生成AI時代のGet Things Done (仕事を成し遂げる)

Get Things Done (仕事を成し遂げる)と生成AIの関係をお話しします。


生成AIと作るチーム

Get Things Done (GTD)

Get Things Done (仕事を成し遂げる)は、2002年に初版が、2015年に改訂版出たタスク管理法の本です([Allen])。
やるべきことを精選し、優先度の高いタスクを集中的に行い生産性をあげるという本です。Get Things Doneの頭文字をとってGTDともいわれます。
GTDの5ステップを提唱していますが、初版と改訂版ではニュアンスが異なり、改訂版のほうが深化しています([タスク管理大全])。

  • 初版の5ステップ:収集する→処理する→整理する→レビューする→実行する

  • 改訂版の5ステップ:把握する→見極める→整理する→更新する→選択する

チームにおけるGTD

この本の改訂版が2024年に出ました ([Allen_2])。
燃え尽き症候群、組織の肥大化、変化への対応、リモートワーク、多様性などの課題に対応するためにチームにおけるGTDを考えることが必要ということです。一人ではできない何かをチームでなしとげるという真っ当な主張です。
チームにおけるGTDの詳細は割愛しますが、その本の最初から1/4くらいのところにチーミング(チームを組んで仕事をすること)として、他の人と、あるいはAIと一緒に仕事をすること、と書いてあるので驚きました。
改めて本の中を検索しましたが、これより後にAIへは軽い言及が1回あるだけです。AIとともにやるGTDが何かは書いていないのですが、少なくともチームを組むのが人間だけではないということを明示するのが最近の米国なのかと新鮮に思いました。

生成AIでどうGTDするか

本の中には書いていないようですが、考えてみると、生成AIとチームのGTDには次のような3つのパターンがありそうです:

  • チームのメンバそれぞれのGTDを生成AIがアシスタントとして支援

  • チームメンバの中に生成AIエージェントがいて、生成AIエージェントもGTD原則で動く

  • メンバのGTDのどれかのステップを生成AIが支援する

とりあえず、一番簡単に実現できそうなアプローチはGTD支援アシスタントでしょうか。
人間と生成AIの混じり方が多様になればそれだけ実現の難度があがり、そもそものGTDの精神(精選して高優先度に集中する)に反するような気もします。

生成AIに向き合うヒント

目的の共有

チームのGTDに重要な目的の共有は生成AIでも重要です。プロンプトの中で目的を明確に述べることは精度を上げます。また、プロンプトがうまくいかない時には自分が思っている目的が違っているか、目的の記述の仕方に問題があります。自分の目的を見直すことはGTDの重要な一歩です。

信頼

チームのGTDに必要なのは信頼です。信頼はやりとりの成功によってもたらされます。生成AIのプロンプトエンジニアリングにおいてもインタラクションは重要です:

  • 要件を述べて、わかったら「はい」と回答してください、と確認してから進める

  • 「もっと出して」「もっと良い案を出して」「もっと他の案を出して」と追加して吟味する

  • 「評価する基準を出して」といって出してもらった基準で生成AI自身の回答を評価させる

単に生成AIの精度を高めるだけでなく、自分と生成AIのやりとりの相性を上げていくことが重要です。これは生成AIでなくてもオンボーディングとして重要です。オンボーディングとは乗り物に乗っていることを意味する「on-board」を由来とし、新しい仲間の順応を促進する取り組みを指す言葉です。組織を作る上では重要な概念ですが、生成AIでもすりあわせて時間をかけてうまく一緒に働く方法を探るのは重要です。

むすび

新しいGTDの本を読んだら、チーミングに他の人あるいはAIと一緒に働くと書いてあったので驚きました。GTDの観点から生成AIを考えるのは、生成AIと働くことを考える上で重要です。AIというと万能の機械で質問すると答えが出てそれで完結するイメージがありますが実際はそうではありません。やりとりをしながらいい働き方を探していくのは人間と働くのと同じです。

参考文献



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