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明治維新から学ぶ、AI時代の組織変革


はじめに

今回は温故知新ということで明治維新をインスピレーションにして生成時代へ向き合う組織の考え方をお話しします。

明治維新から学ぶこと

参考文献にあげたNewspicksの動画が面白かったのは文化を理解するのが難しいという話のところです。福翁自伝を読むと、江戸時代から科学技術についてはいろいろ勉強していたそうです。そこそこわかっていたらしいです。でも文化がわからなかった。議会制民主主義というのが全然わからなかった。議会で議論をして、終わったら仲良く食事に行くというのが理解できなかったそうです。そんなことをしたら刃傷沙汰になるというのが江戸時代の人の考え方だったようです。
実は劇的に変化しても技術はついていけます。技術というものは変わるものだ、進化するものだ、という見方がある。しかし、自分たちが意識していない文化というものは自分の特殊性を理解できないと理解できない。A地点からB地点に行くのにB地点がわかっても今自分がいるA地点は空気のようなもので意識されていない。自分ではもちろんわかっているつもりだが実はわかっていない。だからA地点からB地点へ行くというのがそもそもどうしたらいいかわからないわけです。

生成AIでまだ起こっていないこと

マッキンゼーのシニアパートナーのAamer Baig(参考文献参照)が生成AIの効果がある事例の75%が以下の4つの領域だと言っています。

  • マーケティング

  • 研究開発

  • ソフトウェア開発

  • カスタマサポート

ChatGPTが出てすぐにこれでホワイトカラーもおしまいだと思ったときには以下のような予想でした。

  • マーケティング:ペルソナ設定、アイキャッチコンテンツ、ランディングページの作成とA/Bテスト、ナーチャリングコンテンツの作成とコンタクト情報収集、までを生成AIが支援し生産性は2倍。マーケティング部門の半分は失業。

  • 研究開発:論文解析、論文要約、トレンド抽出、課題抽出、ブレーンストーミング、Google Sprintのようなアジャイルプロトタイプ化、までを生成AIが支援し生産性は2倍。研究開発部門の半分は失業。

  • ソフトウェア開発:要求条件抽出、ドキュメント作成、テストケース作成、テストコード作成、テスト環境作成、コード生成、DevOps環境の作成、単体試験、結合試験、性能試験までを生成AIが支援し、生産性は2倍、単純なプログラマの8割、ソフト開発部隊の半分は失業。

  • カスタマサポート:カスタマサポートの7割はチャットボットや音声チャットボットで代替、コールセンターの生産性は2倍、コールセンター要員の半分は失業。

国会議事堂前にはマーケッター、研究開発者、プログラマ、コールセンター要員が何十万人も押し寄せて生成AI反対を叫んで座り込む、と思っていました。
世界中で生成AIは使われ、今や、BingにもGeminiにもWindowsにもバンドルされています。世界中どこでも失業した元労働者による大規模なデモなど起こっていません。米国の映画産業労働者組合は2023年にストをしましたが、これは生成AIによる失業はあくまでも未来のリスクでした。

何故起こらないのか

技術は理解できるが、組織文化は理解するのに時間がかかるのだと思います。生成AIをワークフローの中に組み込み組織を再定義するとコンセプトが難しいのだと思います。そもそも組織の中の人はそんなことをすれば自分が失業するのでやりません。やっていない人が組織を再定義するのは大変ハードルが高いです。そういうことをするためにコンサルティングというのがいるのですが、まだそんなことをやったことがある人はいないのでできないのだと思います。
さっさとマーケティング会社を作って、生成AIで既存マーケティング業界を侵食するとか、ソフトウェア会社を作って既存ソフトウェア開発業界を侵食するとか、カスタマサポート会社を作って既存カスタマサポート業界を侵食するとかすればいいのでしょうが、実際には起こっていません。あるいは知られていないだけでもう起こっているのかもしれません。しかし、市場規模を考えればさっさと好評してがんがん営業したほうが有利なはずなのでまだできていないと思います。できないボトルネックが何かあるのだと思います。
そのボトルネックを発見して解決した人や会社が最初の生成AIのユーザ側勝者になると思います。

おわりに

実は生成AIの企業活用の最大の障壁は企業文化です。企業文化の粘着性です。粘着性とはねばねばしていて簡単に動かないことです。
生成AIは専門家を安価にコピーする技術だと思っているので、この部分が、企業の生成AI活用の最大の関門だと思います。

参考文献

  • NewsPicks: 【落合陽一】横並びの平等主義が「日本社会を壊している」必要なのは絶滅させないための“えこひいき”?先﨑彰容が落合に『挑戦状』で議論白熱!僕たちは何者か?近代の偉人の苦悩から読み解く『現代日本』の真相 https://www.youtube.com/watch?v=Fc-GgHkMIck 17m36s 2024年 

  • Amazon Web Services: The State of Generative AI: Where We Are, and Where We're Going | Amazon Web Services https://www.youtube.com/watch?v=3MdMCDkWRro 21m55s 2024年

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