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Blackwellを投入する必要はなかった

Blackwellの量産化が難航しているようです。そもそもBlackwellを投入する必要はなかったかもしれないというお話をします。


Blackwellのトラブル

3月のGTC 2024で颯爽と発表され、1号機はOpenAIに納入された新GPU Blackwellが量産化でトラブルになっているようです ([xenospectrum][FabyΔ])。TSMCの先進パッケージング技術である CoWoS-L (Chip-on-Wafer-on-Substrate with Local Si interconnect) の量産化が難しいようです。熱膨張係数の計算や高速ネットワークに対応した高精度配置に難があると報道されています。大幅に遅れそうです。四半期に100万個という意欲的な出荷計画には水が差されたようです。

トラブル対応

CoWoS-Lでのトラブルに対応するためにNVIDIAは次の2つの対応策を考えています:

  • GB200 NVL 36x2およびNVL72ラックスケールシステムへの生産能力の集中

  • B102ダイをベースとした新モデルB200Aの導入

後者はCoWoS-SまたはAmkor、ASE SPIL、Samsungなどの他の2.5Dパッケージングサプライヤーの活用を可能にし、CoWoS-Lにおける供給容量不足にも対応可能です。

Hopperアーキテクチャの延命

さらにHopperアーキテクチャの延命も考えているようです。
他社を圧倒するBlackwellの市場投入のつまずきはNVIDIAにとっては頭の痛い問題です。しかし、よく考えると、すでにHopperでNVIDIAは他社を圧倒しています。2023年にはデータセンター市場が3倍になる中で、NVIDIAはシェアを1.7倍に延ばしました([ai300lab])。Intelに至っては15000人のレイオフを発表しています([automaton-media])。
Hopperはソフトウェア、ネットワーク、ハードウェアの三冠王です。Blackwellも出れば三冠王確実なのですが、そこまでやる必要があるのでしょうか。だまってHopperを延命させるか、Hopperのコスパいいバージョンを出せば、いくらでも売れると思います。

むすび

Blackwellのトラブルが長引いても単にHopperを売り続ければいいと思います。GoogleはBlackwellを40万個発注済という話ですが、Blackwellが出なければ1個もいらないとは言わないと思います。Hopperの5倍強力というBlackwellを40万個というのもお金があるからといえばそれまでですが欲深い話です。それだけで4兆円くらいの売り上げと推定されます。
祖利益率78%というハードウェア企業として異常に高い利益率を誇っているので、単に値引きするだけでもいいと思います。異常な利益率の伸びは止まり、株価は下がるでしょうが企業経営としては至って正常です。
NVIDIAとしてはBlackwellの修正版を出すためにがんばるでしょうからどうなるかに興味をそそられます。

参考文献

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