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イマここに生きる!オーガニックオーダーの旅、暦のお話 〈小雪 末候『橘始黄(たちばな はじめて きばむ)』〉

2020年12月2日~6日 

七十二候 第60候 小雪 末候『橘始黄(たちばな はじめて きばむ)』

橘の実が黄色くなり始める頃


この橘とはヤマトタチバナのことで、別名ニッポンタチバナとも呼ばれています。
「橘」とは、古くは柑橘類の総称で、文献などに出てくる「橘」は、いろいろなミカン類を合わせてこのように呼ばれていたそうです。

サロンのある地域は柑橘類の栽培が盛んで、一年を通して様々な柑橘が市場に並びます。

小雪に入ってからは更にぐっと種類が増え、素晴らしい輝きと香りを放つ様々な実が、大小と山になっている様は本当に心躍るものがあります。

柑橘類の精油は心身のリフレッシュと、それに伴うリラクゼーションを謳われることが多いのですが、『成分』というのはある角度からの見方であり、検査して確認できるのは、いわゆる『目ニミエナイ』そのものの持つ本質が何かに結晶したということのようにも感じます。

豊潤な可能性のひとつの表れであり、それが全てではないのだなと、しみじみ、麗しくはつらつとした柑橘のおりなす光景をみて感じ入ってしまうことしばしばです。

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橘にまつわるお話~「右近の橘」(うこんのたちばな)~


「左近(さこん)の桜、右近(うこん)の橘」という言葉があり、ひな人形を飾るときも、桜と橘を左右に飾る風習があります。

これは京都御所紫宸殿(ししんでん)前の「左近の桜」「右近の橘」にならったものです。

由来は平安時代まで遡ることができます。

今の京都御所、昔ながらの言い方をするなら、平安宮内裏の紫宸殿(ししでん 南殿ともいう)前庭に植えられている桜と橘が植えられており、それが由来です。

左近・右近は左近衛府・右近衛府の略称です。

左近は紫宸殿の東方に,右近は西方に陣をしくのが通例で,ちょうどその陣頭の辺に植えられているのでこの名で呼ぶ習わしとなったそうです。

調べていたところ、

『平安時代末期にできた《古事談》に,南殿の桜はもと梅であって,794年(延暦13)の平安遷都のとき植えられたが,960年(天徳4)の内裏焼亡の際に焼失し,内裏新造のとき,梅に代えて重明親王の家の桜を植えたものであり、橘は平安遷都以前,そこに住んでいた橘大夫という人の家に生えていたものである,という話が見える。』

というエピソードが出てきました。なぜ植え替えられたのかまではまだ紐解けておらず、氣になるところです。


身近な柑橘類も養生アイテム

漢方養生指導士の教科書を開くと、身近な柑橘として、金柑やみかん、柚子などが紹介されています。

はたらきかける場所はそれぞれですが、共通しているのは氣の滞りをすっきりさせること。

そして肺を潤し、咳や痰を鎮めるということです。

(★ここで言う肺とは西洋医学的なひとつの臓器のことではなく、象徴的なものです。臓器そのものだけではなく、呼吸にまつわることや、司る場所を表す言葉として使われています。)

冬の柑橘のひとつ、柚子と言えば、冬至の柚子湯も思い出しますね。


冬至、なぜ柚子湯?

2020年12月21日は「冬至」。

一年で最も日の出が遅く、日没が早い日。

つまり一年で一番夜が長い日とも取られてきました。

冬至に柚子風呂に入るという習慣の由来については諸説ありますが、これは銭湯ができた江戸時代から始まったと言われています。
この時期に旬を迎える柚子は香りが強く、すっきりとして香しい香気は邪気を払うと考えられていたため、禊として柚子風呂に入っていたということです。

漢方の観方でも氣のめぐりを回復させるとありますから、寒さや日照の短さで減退しがちな氣のよどみを取り去り、活氣を以て生きられるようにという想いもあるのかもしれませんね。

日々、手に取りやすいみかんや金柑。

同じく黄金色の蜂蜜と組み合わせて、元氣を養う恵みとイメージして頂きたいと思います。


この時期の養生~ホリスティック(全体観)の観立て~

さて、今日は陰陽五行図を元にイメージしてみましょう。

今のシーズン、冬は五行で言えば『水』の季節です。

今日の主役『橘』=柑橘類の色は黄色。甘みのあるものは土に属するとされています。(より酸っぱいものは木に分類されています)

土は相克関係で言うと『水を吸収する』もの。

つまり水の氣をおさえます。

冬は寒さが極まるほどこの水の氣が増悪しやすいので、相克図で言うなら土を弱らせ火を消してしまいます。火が弱まれば土の氣への活氣のめぐりが落ち、土は更に減退、金の氣の増悪を助長します。

ということは、憂い、悲しみ、皮膚などからだも乾きやすく、消化力は落ち、冷えが取れず、心身ともに潤いがなく停滞へ向かっていってしまう…とみることも。

こわ……

ということで、黄色を司る橘…甘味を感じる柑橘の助けを借りて、増えてしまいがちな冬の水氣をちょうど良くマネージメント。

柚子・橙・カボス・酢だち・レモンなどは木に属するとされますが、青みがある黄色のものはこちらのイメージなのでしょうかね?

水氣のめぐりは木氣を育てますが、増悪した水氣は木氣を水腐れのようになえさせてしまいます。

場合によってはこの部分に属する果実を用いて、増悪した水氣をおさえてあげるというのも良いかもしれません。また、木氣が補填されると火氣へのめぐりが良くなり活気づきます。

先ほど触れました相克関係で、水氣の増悪で減退した火氣もここで補充することができるということですね。

そうすると、バランスを欠いた金氣を抑える動きも出てくるので、一石何鳥もありそうです。

これはあくまでイメージの世界観ですが、何を想って行動するかで現実は違うものになっていくもの。

より良き一日をつくるのに、やさしくパワフルな養生のイメージ、大切にしていきたいものだなと思います。


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この街がすき

『透明な栄養』をテーマに有形無形の造形活動をしています。ホリスティック~全体観~という捉え方を活動の基盤にしています。この捉え方は、いのちの息苦しさが紐解かれたり、改善される可能性をかんじます。noteでは日々の思考研究も兼ねて、この考えをもとに書いたものをシェアしています。