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アタゴオル通信、8。

 足が痛いので殆どベッドの上でダラダラしている。
 そこで『とびだせどうぶつの森』をやる率が増えた。近況に書いたように画面が片目を瞑らないとまともに見えないので、結構しんどい。しかし、他にやることがないのだ。
 家にある本はすべて読んだものばかりだし、酷い(?)ものになると十回以上読み返している。実家にあるものを持って来たいのだが、まだ在るか如何かも判らず、ゆくことも出来ない。
 細かい活字を追うのはほぼ諦めた。ものが二重に見えるのは、病気でなければ年齢と謂うよりストレスからきているらしいのだが(詳しくは『因果応報』を読んで頂きたい)、わたしはもとよりストレスの塊のような人間である。宜なるかな。

 で、本日、早朝にシャワーを浴び(入浴は年を通してしない)、朝の涼しい裡に買い物を済ませ(否、涼しくはなかった)、ぐたぐたと横になっていた。
 そこで『とび森』なのだが、何故か途中から時間を操作してまでピラニアを釣ることに執着し出した。理由は自分でも判らない。特別レアな魚でもない。まあ、よく釣れる訳でもないが。
 慾しいと思うと手に入らないのが世の常で、どれだけ頑張っても掛らない。他ごともしたが、午前中からピラニアのよく釣れる時間に弄りつつ、そして現実時間が追いつき元に戻し、とうとう一匹釣れた。
 久し振りに興奮してしまった。くだらないことではあるが、良きことである。
 中断した時間を除かずにおくと、半日掛かった。何をこんなに拘っていたのだろう。特別ピラニアに思い入れがある訳でもなし、狙っている間にピラルク三匹とドラドが五匹、エンドリケリーが一匹釣れた。
 あの執着はなんだったのだろう。
 慥かにピラニアの魚影はフナやブルーギルと謂った安物と一緒なので、狙って釣るとうんざりする。だから普段は釣れたら「おお!」と驚くくらいで、得したとは思えど続けて狙おうなどとは思ったことがない。
 それが今回は何故か、最初からピラニア狙いだったのだ。意味も無く。そして時間が篦棒に掛かっても諦めなかった。
 本当になんだったのだろうか、あれは。あの執着と根性を別のところへ活かせまいか。せめて料理とか。

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勝利の瞬間。

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アタゴオル通信、8。|山田エズミ