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アタゴオル通信、2。

『とびだせ どうぶつの森』の話。
 このゲームを始めたのは、去年の12月24日である。その前にソフトは入手していたのだが、この日まで温存した。何故か。
 12月24日は、元連れ合いとの入籍記念日なのだ。わたしにとっては思い出深い日なのである。あらやだ、センチメンタリストなのね。ほっとけ。
 情弱なわたしはこの年に、新作の『あつまれ どうぶつの森』が大ヒットしていたことを知らず、2012年に発売され、その後、2016年にamiboが追加されたバージョンを、2020年の暮れから始めた訳だ。
 切っ掛けは糸井重里である。ほぼ日刊イトイ新聞をたまにチェックしていたのだが、彼がこのゲームに以前から嵌っているのを知り、興味を持った。荒っぽいゲームはモンスターハンターで懲りたので、兎に角、ほのぼの、のんびりしているというのに惹かれたのだ。
 実際にやってみたら、その前にちょっと試した牧場物語の忙しさとは違い、本当にのんびり、自分のペースで出来る。ニンテンドーのひとが云うように、「ただ単に、タヌキへ借金を返すゲームじゃない」のだ。
 しかし、わたしは結構負けず嫌いなところがあるので、ちゃっちゃと増築をし、ローンも完済し、インテリアの評価が17万点を超えたのでVIPチャレンジに移り、それも2517000点で頭打ちになってしまった為、またインテリアのみの評価に戻した。
 はっきり云って、VIPチャレンジの方が簡単だし、高得点は簡単に狙える。なにしろ切り替えた翌朝に、すべての特典がポストに入っていたのだ。やる気が削がれるも甚だしい。しかし負けず嫌いなので、200万点越えを目指したのである。
 が、VIPチャレンジの縛りのおかげで可愛い金魚も飾れないし、新しく家具を手に入れて、譬えそれが気に入っても、点数が下がることを考えたら飾れない。これではつまらないではないか。
 で、元に戻した訳だ。

 誰がどう見ても自堕落としか云いようのない生活を送っているが、割と早く起きる。「割と」ではなく、かなりだろう。酷い時には四時台に目が覚めてしまう。これは、五、六年ほど前から限界を越すストレスに長期間晒された結果、二、三時間の睡眠しか取れなくなってしまったのだ。
 こんなに早くゲームを始めても、やることが限られている。魚を釣っても売りに行けないので、荷物が一杯になったらそこで終了するしかない。しかも常に腹を減らかしている猫が、ご飯をくれと騒ぐ。
 彼女はゲームをセーブする時の「チロロロロロン」という音を覚えてしまい、その音を聞くとベッドから飛び降り、もの慾しげに此方を見る。可哀想だが、せめて六時半くらいまでは待って貰わないといけない。そうでなければ、一日二回の食事なので、夕方まで持たないのだ。

 以前も書いた住人の件だが、追い剥ぎどころか、彼らは詐欺師でもある。友好度が上がると家へ来たり招待されるようになるのだが、此方の家へ押しかけてくる時は追い返すことも出来ず、最長四十分も居座られたことがあった。それに比べれば相手の家は、自分の都合で退出することが出来るのでましな方だ。
 が、彼らは友好を深める為に招待するのではなく、部屋にある家具を売りつける為に呼ぶのだ。悪徳商法ではないか。歩いていると呼びかけられ、絵画を売りつけられることもある。大抵、ギャラリーで買うより高い値段をふっかけられる。そして、偽物であることが多い。
 村長をパシリに使い、やれ果物を採って来い、リンゴじゃなきゃ厭だ、美味しいのじゃなきゃ厭だ、魚を獲って来いと、我が儘放題である。雨の日にチョウチョを獲ってきてくれと吐かす馬鹿者も結構居る。断るがな。
 こんな輩が跳梁跋扈するのがどうぶつの森なのだ。あな恐ろしや。無人の村であれば、と、どれだけ思ったことであろう。
 取り敢えず、居る住民だけでもましな奴らにしたいと、嫌いな村人は追い出した。どのようにしたかというと、amiboカードを用いてゆうたろうに召喚してもらい、引っ越してこないかと勧誘するのである。
 その際、出て行って慾しい村民を選ぶことが出来る。よく考えなくても趣味の悪いシステムだ。しかし、ゲームの中でまで厭な奴を我慢したくない。
 我が村には、普通女とハキハキ男はひとりも居ない。この二種類の性格の持ち主が、わたしには耐えられないのだ。特に普通女。元気女にもうんざりしているのだが、そいつらまで一掃したら、三種類の性格しか選択肢がなくなってしまう。
 我が儘なのは、実はわたしなのだ。

 今のところ、化石はコンプリートし、海の幸もあとふたつを残すのみ。魚は季節が巡れば簡単に制覇出来ると思う。問題は虫だ。
 オケラには苦労した。このゲームはかなり音が重要な役割を果たしているけれども、この虫は特にそうなのだ。地中におり、「ジー」という音だけを頼りにオケラが穴からぴろんと出てくるまで、掘って掘って掘りまくる。穴を開けっぱなしだと身動きが取れなくなるので、いちいち埋めながら。
 しかもわたしは、空中を飛んでいたり地面を這っている虫を取るのが下手くそなのだ。また操作するキャラクターが、網を壊さんばかりに叩きつける。魚を逃す時もそうなのだが、ガサツ過ぎやしまいか。
 オケラは捕獲出来たので、次の問題はハエである。きれいな村条例を制定し、評価のサイコーを維持したおかげで金のジョウロを手に入れた。ので、空き缶を玄関先に設置したのだが、ハエなど一匹も来ない。現実の我が家ではコバエ対策に頭を悩ませているというのに、羨ましい、否、腹立たしい限りだ。

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