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たまたま一日時間が空いていたので、弟の明良と一緒に裏町へ行った。彼が運転する赤いサニト…
「なあ、宮本武蔵ってほんとにこんな奴だったのか」 「判らないな。ぼくは歴史に詳しくないし…
子供が慾しい、とカナちゃんがいきなり云った。 「怖いこと云わないでよ」 「なんで怖いの?…
あたしが上条明良の部屋に住まわせて貰うようになって、一年と三ヶ月が過ぎようとしていた。…
一要君、たまには顔見せてよ、と上条加奈子から電話があった。 「どしたの、その頭」「なに…
今日は十月三十一日。あたしの十六才の誕生日だ。 よくもまあ、この荒廃しきった町で無事…
(注)「東六区図書センター』は、明良が父の後を継いではじめて手掛けた企画である。開館して三ヶ月ほどは老人や主婦の利用者がちらほら来るだけだったが、インターネットや口コミで若者の利用者が増えていった。五階建ての建物の裡は一階が受附、事務所等に使われ、二階が書籍関係、三階が映像、音楽関係、四階がミニシアターになっている。 + ディスカッションは上条グループ本社ビル三階の、第三会議室で行われた。集まったのは十代後半から二十代前半の若者ばかり、二十五名である。午間な
十六の時、旧市でとんでもないことをしでかしてしまったおれは、暫く新市の内で温順しくして…
十五の誕生日に、はじめて悪名高い旧市へ行った。 噂通り、雑然とした場所だった。昔の映…
午間に外を出歩く時は、必ず黒眼鏡を掛ける。十五のガキが、である。 それというのも、お…