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ベイルートを知るための、驚きのホンモスセレクション10皿

カルロス・ゴーン氏の逃亡を受け2019年末から話題になっているレバノンには、美しい自然と古くからの歴史が残した有形無形の遺産が多くある。首都ベイルートには、内戦からの一部復興と今なお残る爪痕が、光と影のように混在している。レバノンの人々は口をそろえて、「レバノンの食道楽、着道楽文化は、内戦中に生み出された産物だ。銃撃戦がやんだら人々はオシャレをして外出し、カフェやレストランで美味しい食事を楽しむ。人生は有限なのだから、楽しまなくっちゃね」と言う。そう、彼らは逞しいのだ。昨年10月以降の社会情勢不安の一連の動向を傍で見ていても、彼らの逞しさや、生命力が溢れていると感じる。おそらく、そうならざるを得なかったのだろうけど。ここでは逞しいレバノンの人々の食道楽文化が生み出した、「え、こんなのあり?」と思うようなユニークな料理や美味しい家庭料理を紹介してみようと思う。と、書き始めてみたものの、ホンモスセレクションだけで10個になってしまったので、こちらではホンモスセレクション10皿を紹介することにした。

ベイルートに着任後、友人知人がいろんなレストランに連れて行ってくれた。そして、驚いたのが、なんとも贅沢で種類豊富なホンモスだった。他の中東諸国で勤務したこともあるけど、種類の豊富さや発想のユニークさで言えば、ベイルートがピカ一な気がする。

①オーソドックスな基本のホンモス

こちらはよくあるタイプのオーソドックスなホンモス。レバノンのテーブルセッティングや盛り付けは洗練されていて美しい。この流線形のホンモスの美しさにしばしうっとりしてしまう。

②スパイシーホンモス

ピリ辛ホンモスで、何となくアジア的な辛さがある。ただ辛いだけではなくて、コクと深みのある辛さ。カラフルな焼き野菜と共に、友人とキャッキャ言いながら美味しく頂いた。

③キャロットタヒーナ

(ホンモスじゃないけど)キャロットタヒーナ(ごまのペースト)。本当にニンジンの味がする。上司は、一口だけ食べて後は子供のように、こっそりと何となく上手に避けていたが、「ニンジン嫌いでしょ」と全員に見抜かれて、ちょっと慌てていたのがおかしかった。

④お肉のホンモス

こちらはとてもボリュームがあって、事務所の男性陣に大人気で、いつもあっという間になくなる。おいしい物を巡る生存競争が厳しいので、美味しい物を目にしたら遠慮していてはいけない、というのが事務所の掟でもある。

⑤青唐辛子のホンモス

本当に辛い!レバノン人の同僚にどんなホンモスなの?と聞いたら「緑のホンモス」と言われ、日本人の私は赤いきつねと緑のたぬきみたいだ、と思った。

⑥タラの卵入りホンモス

街のオシャレなレストランでオシャレに出てきたタラの卵入りのホンモス(左側の写真)。カリッカリフワッフワの焼き立てバゲットで頂きます。ここのレストランには面白い創作料理が沢山ある。

⑦赤ピーマンのホンモス。

優しい色合いの赤ピーマンのホンモス。味も優しい。

⑧トリュフのホンモス。

こんなものまでホンモスにしてしまうの?とイタリア人と日本人は困惑し、レバノン人は「ホンモスはどんなふうにもアレンジできる。君らは想像力に欠けている」と。

⑨ビーツホンモス。

ショッキングピンクなこちらは、ビーツのホンモス。こちらも本当にビーツの味がする。仏人の同僚は、「小さい頃、給食でまずいビーツが出てきて僕ちょっとトラウマなんだけど、これは面白い味付けだね」と言っていた。

⑩ホンモス・スジュク

スジュク、というのはトルコでよく食べられているスパイシーなピリ辛ソーセージ。トルコ人の同僚のお勧めのアルメニアレストランにて。アルメニア人の同僚は若干苦々しい顔をしていたが、「美味しい!」と。

この種類豊かなベイルートのホンモスセレクションには感服!内戦中であっても、今のような社会・経済不安が継続する時期であっても、レバノンの人々の「人生を逞しく楽しもう」という心意気は変わらず、この心意気こそが豊かでユニークなレバノンの食文化を生み出しているような気がする。

ホンモス以外の、ベイルート/レバノンのユニークで美味しいセレクションは、また、次回。

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