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これからの殺し屋

 殺し屋って、ほんとにいるのかなあ。ゴルゴ13みたいなのを思い浮かべるし、そう考えると、ちょっとかっこいい! なんて風にも思っちゃうけど、でも、人を殺してるんだし。よっぽど強い思入れがあって、憎くって仕方ないなんていうのならいざ知らず、政治のためとか敵対企業がどうしたとか、そんなことで人を殺しちゃうなんて……。あ、憎くって殺すのもダメか。
 
 憎くって殺すと言えば、例えば、「夫の浮気が許せない! この金額で殺してくれる?」なんて話は、ほんとにあるのだろうか。他に殺し屋が出てくるシーンとしては、「君は秘密を知りすぎた」なんて言って消されちゃうだとか、政権を脅かす対立勢力の主要メンバーを暗殺するだとか。
 
 ドラマなんかで観ている分には、「なんてひどいことを!」って感じる時もあれば、「こいつは殺されても仕方のないやつだ!」なんて思っちゃうこともある。でも、そんなことがリアルに行われていたら、怖いなあ。。
 
 でも、仮に本当に憎くっくて仕方なくて、「よくもこんな目に合わせたな! 仕返ししてやる!」って考えたとして、殺し屋に依頼して殺しちゃうのが、一番の返報になるのかなあ。
 
 だって、死んじゃったら、もう意識も何にもない。酷いことをしたくせに、反省することもなければ、こっちに詫びることもない。
 確かに、この世の中から消え去ってしまえば、憎む対象が居なくなって、もしかしたら、気持ち的にちょっとはスッキリする、なんてこともあるのかもしれないけれど、だけれどバレたら捕まっちゃうというリスクがある。もともとあっちが悪いのに、だからその仕返しをしただけなのに、どうしてこっちが捕まっちゃうんだ? これじゃ、割に合わない。
 
 もし、憎っくいやつがこの世からいなくなって、それで気分がすっきりして、そしてそれで気が済むのなら、例えば「記憶から消してしまう」というのが、いいやり方なんじゃないだろうか。心理療法的にか、脳に何かしらの電気的な刺激を与えるのか、特定の記憶をなくす化学的な方法があって朝昼夜・食後に、処方された薬を飲むのか、どうするのかは分かんないけど、その憎っくいやつを記憶から消しちゃえばいい。

 これなら、捕まることもないし、嫌な気持ちを除去できるはず。
 
 ただ、そもそもの問題点として、「ある特定の記憶をピンポイントで消す技術」が、おそらくは、まだないんじゃないかと思う。一定の期間の記憶を全て消すというのなら、まだできそうな気もするけれど、特定の人の記憶っていうのは、ある時間軸のある範囲に存在するわけだから、その範囲に存在する他の記憶は消さずに、該当する人物の記憶だけを消すっていうのは、なんなか厄介そうだ。「単に消すだけじゃ、辻褄が合わなくなることもある」なんてことは、容易に想像できる。
 
 でも、仮にそれができたとしたら、未来の殺し屋、というか、殺し屋の役割を担うのは、例えばそれは「医師」で、依頼人は心療内科で「殺人依頼」をするのだろうか。つまり、ここでいう「殺人依頼」というのは、「その対象となる記憶を消してもらう」ということだ。
 
 とはいえ、心療内科の医師には遂行できない「殺人」というのもある。「単に記憶から消してスッキリ」では、問題が解決しない場合だ。
 
 お、もしかして、ゴルゴ13は失業しないですむのか?

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