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報道ステCMの炎上ポイント分析

何考えてんだろうね〜って感じ。多分そんな感じだから、TV含む広告代理店もオワコンとか揶揄されちゃうんだろうなあ。

発端

☑︎ テレビ朝日報道ステーションのCM
☑︎ CMの内容が女性蔑視を助長していると炎上
☑︎ 現在は削除済み

在宅中、ウェブカメラの前で社会人の若年層女性が、相手に向かってひとしきり喋る、と言った内容です。相手は見えず、恐らく視聴者を相手に見立てたような構成です。

15秒版

会社の先輩、産休あけて赤ちゃん連れてきてたんだけど、もうすっごいかわいくって。どっかの政治家が『ジェンダー平等』とかっていま、スローガン的に掲げてる時点で、何それ、時代遅れって感じ

30秒版

会社の先輩、産休あけて赤ちゃん連れてきてたんだけど、もうすっごいかわいくって。どっかの政治家が『ジェンダー平等』とかっていま、スローガン的に掲げてる時点で、何それ、時代遅れって感じ

22日に公開されてすぐ、騒ぎになり始め、該当のCMはユーチューブ・ツイッター共に24日昼ごろに削除されました。

結構撤回が早かったですが、元々CMを告知したツイートのコメント欄があらかじめコメント出来ないように設定されているなど、スタッフの一部は炎上しそうだという認識があったのかも知れません。

このCMのダメだった点

☑︎ 表現が分かりづらい
☑︎ 女性差別やジェンダーギャップをスローガンに掲げる政治家を結果的に揶揄している
☑︎ ジェンダー差別されている側である若年層女性に発言させてしまった演出

まず、表現が遠回し過ぎるんですよね。
報道ステーションを見ることで、若い女性でも子育てやジェンダー問題、政治に対する関心が増し、日常生活でも話題に登るよ〜みたいな感じなんでしょうか?

仮に共感性を狙っていたとしても、ジェンダー差別についてスローガンを掲げる政治家を揶揄するのは悪手過ぎます。

仮に好意的に見たとして、令和になったというのなったというのに、今更政治家が女性差別をスローガンに掲げなければいけないほど、日本は遅れていると皮肉った、とも辛うじて取れなくもありません。

しかし、森会長の発言や、開催式演出家の佐々木氏がブレストで容姿差別的発言の暴露記事騒動があったばかりです。
そんな世の中で、女性差別やジェンダーギャップ解消のスローガンを掲げる政治家がいなくてどうするのでしょうか。

まるで恰もジェンダーギャップが解消されたかのような発言を、若年層女性に言わせてしまうあたりでセンスがないです。
(皮肉が効き過ぎて、ここだけでも炎上ポイント倍増しになってる気が…)

しかも喋ってる女性に対して「こいつ報ステ見てるな」とテロップを入れてしまった事により、余計に「女性は無知で政治に関心がなく、無条件に子供を可愛いと思い、見た目を磨く事にしか関心がない」と言ったステレオタイプを強調してしまってるんですよね〜。

正直よっぽど舐めてないとコイツなんて出てこない気がします。

それにしても仮にも報道ってつけてるのに、報ステはこういうところに嗅覚を発揮できないなんて大丈夫なんでしょうかね。

現状どの程度ジェンダーギャップがあるのか

☑︎ 2020年日本のジェンダー公正度は153か国中121位
☑︎ 先進国の中で最低
☑︎ メディア界の女性比率調査では、新聞・放送・出版いずれも女性役員は0%か1割未満

ワールドエコノミックフォーラムから、2020年の評価を引用してみます。

格差改善における重要な領域が、政治参加度です。政治参画の指数で、日本は現在、世界最低の10か国のうちに入っています。日本では、女性が元首になったことはなく、女性議員の割合は10%と世界最低の水準で、先進国の平均を20%下回ります。さらに、内閣18人中女性閣僚はたった1人と、ここ数年のうちに低下しています。

日本はまた、経済的なジェンダー・ギャップについても、大幅な是正はできていません。女性役員・管理職は全体の15%に過ぎず、女性の所得は平均すると男性の約半分です。

こうした経済格差の理由のひとつとして、日本の女性が無報酬の家庭内労働に費やす時間が、男性の4倍以上であることが挙げられます。これにより、有給の仕事に従事する時間が減ったり、労働時間を増やすのが困難になったりするため、キャリア形成や昇進の機会が奪われていると考えられます。

女性にばかり家事や子育てなどの家庭内労働の負担が集中し、労働にコミット出来ないため、女性の所得を平均すると男性の約半分となる…結構えげつない結果ではないでしょうか。
女性が家事や子育てをする前提の社会構造から変わっていないまま、賃金だけを圧縮し続けた結果、共働きしなければならないにもかかわらず、女性のキャリアは評価されず同一賃金が支払われないなど、深刻な問題も未解決です。

ここで、メディアのジェンダーギャップはどうなのか、週刊金曜日オンラインから引用してみます。

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残念ですが、メディア(時にテレビ局)の女性比率はとても少なく、意思決定層にいる女性はほとんどいません。

今の世相に敏感で、ジェンダー問題に知見があれば、公開した途端に速攻で燃えそうな事ぐらいわかりそうですが…。
結局、そういう体制・姿勢が染み付いてるから、そういうPRになっちゃうんじゃないの?って思われても仕方ないのかな。

まとめ

☑︎ 報ステCMはアンコンシャスバイアス丸出しの演出をしてしまい炎上
☑︎ 現実に起きている女性差別を無視している
☑︎ ジェンダーギャップ解消をスローガンに掲げる政治家を揶揄してしまった
☑︎ メディア業界内のジェンダーギャップが酷い

正直、ジェンダー公正度が先進国最低で、むしろ各国の中でも下位って、そりゃジェンダーギャップ解消、女性差別解消をスローガンに掲げる政治家がいないとヤバいでしょう。

女性差別を今更スローガンに掲げてるなんて(世界に比べて)時代遅れじゃんって揶揄したところで、揶揄の向き先が不透明過ぎて不快にしかなりません。
目の前の差別から目を逸らしてどうするんだよって感じです。

仮に皮肉系CMだったとしても意図が全く伝わらないし、どこが「議論を超えて実践」だよ、どこにその要素があったんだ…。
素直に「まだ世界から遅れてるよね!私はこんな事した!」みたいな前向きCMの方がマシだったんじゃないでしょうか。

メディア業界自体のジェンダーギャップ解消から、まずは頑張ってほしいところです。



参考資料



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