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格闘技とパンチドランカー

アヒルです。ヤバげなトピックに触れますが、がんばって書こうと思います。自分も格闘技経験者ですが、パンチドランカーについて、始める前はあまり真剣に考えずに始めてしまいました。格闘技は大好きですが、リスクを知らずに手を出すのは間違いです。なのでパンチドランカーの危険性と格闘技について少し書きます。なお、パンチドランカーの恐ろしさについては、映画、コンカッションを見ることをお勧めします。

格闘技の基本

格闘技の基本は、相手を壊すことです。KOは相手を脳震盪で立てなくするケースがほとんどです。人間を一台の精密機械と考えて、その機械を通常の電源オフではなく、地面に叩きつけてシャットダウンすることを想像してください。次に電源をつけた時に、仮に機械が立ち上がったとしても、かつてと同じ動作で動く保証はあるでしょうか?格闘技はその点、文字通り命を削る壊し合いを見せています。

アメフトも同じです。百キロ近い巨漢が、鬼のようなスピードで突進し、ボールを奪い取らんとタックルをかまします。その衝撃は恐らく軽乗用車と軽い衝突をするくらいはあるでしょう。事実アメフトでは引退後、後遺症を患う選手が少なくありません。彼らもまた命を削っています。

ただし、格闘技の場合、要するに人の体をぶち壊すことそのものが目的になっています。その点で、同じサッカーやラグビーのする体当たりによる衝撃とは話(と威力)が違います。

他競技との違い

健康のためにやってるスポーツと違い、多かれ少なかれ全てのプロスポーツは体に負荷をかけて削ることが基本になると思っています。その点では格闘技も他の競技、例えば体操やラグビーと何も変わりません。また命の危険があることは、格闘技に限りません。スキージャンプや登山など、死ぬ可能性のある競技は他にもたくさんあります。

しかしスキージャンプや登山と違い、格闘技は体に、具体的に言えば脳にダメージを負うことが、競技として試合に臨むのであれば不可避の前提になります。スキージャンプであれば、一度も大怪我をせずに引退することも恐らく可能でしょう。その場合は体に継続的なダメージを負うことはないかもしれません。

プロ格闘技は必ずと言っていいほど継続的なダメージを負うことになります。パンチを一度も受けないで相手に勝てる選手はいません。いたらよほどの天才で、対戦相手との実力差がありすぎるケースですが、試合は同じレベルのもの同士で組まされるのが常です。なので必ず殴り殴られ、場合によってはKOがあります。そして一度傷ついた脳細胞は正しく再生はしません。ただし、この点、脳には可塑性があり、一度傷ついても元の機能と同じように活動できるようになることはあり得ます。なのでアマチュアであれば多少は問題ないかもしれません。その場合でも日頃のスパーリングの回数など厳密な管理の下ですべきですが。

問題はプロフェッショナルとしてやる場合です。これは日頃のスパーリングの回数も、試合の激しさもアマとは比べものになりません。彼らはダメージを負うことになります。恐らく、脳の可塑性だけではカバーできないほどのダメージを。そして最も恐ろしいケースがパンチドランカーです。

パンチドランカーって何?

Wikipediaのページを引用します。

「軽度な外傷性脳損傷を繰り返し受けてから数年から数十年経って、記銘力低下、易攻撃性、錯乱、抑うつ状態などの認知症症状を呈する。これらの症状が悪化することによって社会生活だけでなく、日常の生活でさえ著しく困難になる場合もある。アルツハイマー病やパーキンソン病などとの鑑別が困難なことが多い。」

実際、(笑えないことに)とあるジムではスパーリングの後に酒を飲む馬鹿な集団がいたのですが、練習中に自分がペットボトルの飲み物を(ついさっき)買ったことを忘れて十本くらい買うようになった人がいるという。。。怖いのでこれ以上は書きませんが、これくらいなったらヤバイということです。

予防策

予防策と呼ぶにはあまりに陳腐ですが、当たり前のことを以下に箇条書きにします。アマチュアでやる選手は特に、絶対に守るべきだと個人的に考えます。これを守ってないジムであれば、身の安全のためにはなれることをお勧めします。

ガチスパーリング(本気で殴り合う練習のこと)の回数は厳格に絞ること。

実力差のありすぎる相手、体重差のありすぎる相手とはスパーをしないこと。

万が一スパーリングでダウンを取られた場合は、その月はもうスパーリングをしないこと。

スパーリングや試合の後には絶対に酒を飲まないこと。

試合やスパーリングの後、頭痛が続くようであれば、病院に行って検診を受けること。

スパーリングを始める前に、最低限の技術、特にディフェンスに関する技術は身に着けておくこと。

こんな感じでしょうか。今どきはどこのジムもこの程度守っていると思いますが、念のため書いてみました。

終わりに

こんなことを書いていうのは何ですが、私は格闘技が好きです(所詮アマチュアで少しやってただけですが)。楽しいし、相手との相性がいい場合は、本当にエキサイティングな時間を楽しめます。ただ、プロになる気はなかったです。もしそれをするのであれば、全ての人生をささげる必要があったでしょう。その生き方を否定はしないし、ある種の憧憬さえ抱きます。それでも、心や体を引退後に壊すことを望む人はいません。そういった人々が居なくなることを望みつつ、これからも趣味として格闘技(観戦)を楽しもうと思っています。


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