【詩】鰤

産卵のために脂肪を蓄へた
鰤の切り身に霜が降り
宝石のやうに輝いてゐる
赤身でも白身でもない
撫子の花のやうな色の断面に
一滴 垂らした醤油が
つるりと滴り落ちた
弾力のある切り身が
プリンのやうに揺れてゐる
なんと美味しさうな鰤だらう
さぞかしお高いんでしやう
ところが たつたの百数十円
あら お安いこと