【詩】クリスマス・イヴ

「クリスマスが嫌い」と云ふ彼女は
九歳のクリスマス・イヴのことだと
サンタクロースの格好をした父親が
両腕にプレゼントを持ち 
煙突から降りやうとした末に
足を滑らせ首の骨を折り死んだと語る
だから「クリスマスが嫌い」と云ふ彼女は
一年で最も自殺者が多い日だと云ひ
お祭りムードで賑はう人ゝに一石を投じる
光を増す街の 陰を増す片隅で
孤独に死に逝く人を想ひ
イルミネーションの明るさに
耐へられなかつた人ゝは
グレムリンよ 来たれと願ふ