【詩】友情

わたしはわたし自身さへ信用してゐないから
わたしに近づく人には裏があると疑心を抱き
「この人も わたしを裏切るんじやないか」と
裏切られるくらいなら 友はいらないと思つた
しかしその人は わたしが期待を裏切らうとも
わたしを裏切らない 都合の良い友であり続け
わたしは そのときに初めて その人を友と認め
わたしは友のために 友から去ることを決めた
その刹那の瞬間だけは 互ひを一番に想ひ合ふ
まことに尊き友情が 確かに成立してゐた気がした