【詩】人口

ただ 寂しかつたのでしやう
ただ 悲しかつたのでしやう
ただ 辛かつたのでしやう
ただ 怖かつたのでしやう
独りでは生きられないから
仲間が増へれば こゝろの欠落が
満たされると思つたのでしやう
わたしは その想ひを否定できるほど
強くはありませんでした
だから その疑問を
口にしてはいけませんでした
その問題は生物の常識に逆行するものであり
語つたところで徒労に終はるだけなのです