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戦える空力マシン「ADF-3」完成!

Ω<ダウンフォースだ!

空力への飽くなき挑戦、ついに自分なりに納得のいくレベルの戦闘力を持った空力マシンが完成しました!
エアロダウンフォースマシン第3号、ADF-3を紹介します。


はじめに

ADF-3
(ADF:Aero Down Force)

今回から、小さな平面を複数組み合わせることで曲面的な形状としたウイングを導入しました。これが強力で、自分としても満足のいく仕上がりの空力マシンとなりました。

このマシンをショップレース等に実戦投入したところ、4レース中優勝2回、2位入賞1回の好成績。また、店舗のタイムアタックでも1位になることができました。

優勝×2
2位入賞
タイムアタック1位

少なくとも自分が作る普通のオープン車を明らかに上回る戦闘力を達成したので、今回、紹介記事にしてみました。

前回の記事、ADF-1の紹介はこちらです。https://note.com/agw8823/n/na50bb07f10c5

ちなみに、前回の記事で解説したADF-1と今回のADF-3との間にADF-2を制作しましたが、記事にしていません。ADF-2は、加工の手間が多い割にADF-1からの性能向上が乏しく、満足のいく完成度ではなかったためです。しかし独特な外観のためかXでは割と好評でした。せっかくなのでここで写真だけ載せておきます。

ADF-2。ボディを大幅に加工してオープントップ型とした意欲作。しかし、加工の手間の割に、ボディがほぼTRFワークスJr.そのものであるADF-1からあまり性能は向上しなかった。

それでは、ADF-3について詳しく紹介していきます!

車体の構成

メインのボディはTRFワークスJr.で、フロントタイヤ中心より前方側とリヤタイヤ後端より後方側をカットして使用しています。それに、フロント、サイド、リヤのウイングとアンダーパネルを取り付けています。

フロントバンパーは2軸ATに純正フロントスライドダンパーです。リヤバンパーは普通のアンカーで、左右スライドはしますが前後のスライドはしないようにしています。
提灯やキャッチャーダンパーなど、マスダンパーは一切搭載していません。空力ダウンフォース、フレキのサスペンション、ギミックバンパーのガチャガチャで着地時のバウンドを抑えます。フロントATもリヤアンカーも、ニュートラル位置でバネにほとんど力がかからないくらい柔らかく載せているので、前後のギミックバンパーがマスダン代わりになります。
フロントウイングもリヤウイングもギミックバンパーの上に載っているので、ギミック作動を邪魔しません。
電池抜き重量は120グラムとノーマスダンの割には重いです。空力パーツを全身に装着してしているのと、補強はすれど軽量化は全くしていないためです。(強度が落ちるのはイヤですし、性能面で軽さに依拠するのは嫌いなので…。)
空力パーツは、基本的にはAOパーツのベーシックボックス用クリヤカバーから作っていますが、フロントウイングだけは強度確保のため一部をミニ四駆キャッチャーで作っています。

フロントの2段アルミローラーがゴムリング付きで上下逆付けなのはLC対策です。
リヤローラーは850ボールベアリングを使っています。13ミリや19ミリなどの520ボールベアリング内蔵のローラーよりも、ボールベアリングが傷みにくくて長持ちしそうなので採用しています。速さを求めてのことではありません。

ちなみにシャーシは普通のフレキではなく、Bフレキという特殊なフレキを自分の好みに合うように小改造したものを使っています。BECKさんという方が考案されたもので、noteに製作マニュアル記事があります。バウンド抑制と着地からの加速力に優れるフレキで、すごくいいです。

設計のポイント

全般

以前から述べていることですが、私の空力マシンのコンセプトは、ダウンフォースによって立体セクションでの飛距離を抑えることです。つまり、平面区間でのダウンフォースはどうでもよく、空中を飛翔しているときのダウンフォースが重要になります。
そこで、設計において最も重視したのが、空中での姿勢制御です。空中でダウンフォースを得るには、空中での車体姿勢をやや頭下がりに維持して、車体全体をウイング代わりにするのが効果的です。実際のGTカーなどはリヤにだけ大きなウイングがついていますが、これを真似るとフロントよりもリヤの方がダウンフォースが大きくなるので、空中姿勢が頭上がりになり、空中でダウンフォースを得られなくなります。ADF-3に大きなフロントウイングがあり、リヤウイングを寝かせているのは、フロントのダウンフォースを大きく、リヤのダウンフォースを控えめにして、頭下がりの空中姿勢を作るためのものです。
リヤのダウンフォースが小さくても、適切な空中姿勢を作ることができれば、車体全体としてのダウンフォースを大きくすることができます。

また、空気抵抗の低減も考慮しました。
フロントウイングやサイドウイングの独特な曲面状の形状は、ダウンフォース増大と空気抵抗低減の両立を狙ったものです。
リヤアンダーパネルは、実際のレースカーでも見られるディフューザーのような形状としました。ディフューザーによってリヤのダウンフォースを確保できるので、その分だけリヤウイングを寝かせて前方投影面積を減らし、空気抵抗を抑えることができます。
ミニ四駆で空気抵抗なんて気にする必要あるのか?と思われるかもしれませんが、過去の実験(ADF-1の開発にテスト)で、空気抵抗の大きい空力パーツを付けた結果、最高速が落ちタイムが伸びないという現象がありました。なので、戦闘力のあるマシンを作るには、空気抵抗の低減は絶対に考慮しなければなりません。

では、ここからはそれぞれの空力パーツについて個別に詳しく紹介します。

フロントウイング

ADF-3の大きな特徴のひとつが独特の形状をした大型のフロントウイングです。

ADF-2までのフロントウイングはただの平板でしたが、ADF-3では断面形状を曲線的なものにしました。

このウイングの前端から後端への空気の流れを考えてみます。
煙風洞での実験などできないので、あくまで想像ですが、イメージ図はこんな感じでしょうか。

あくまで想像図です。ウイング断面を赤、気流を黄で描いています。

先端はほぼ水平なので、すっと空気が流れます。その次は、ウイングが壁のように立ち上がっているので、空気をしっかりと抱え込み、翼上面の圧力が上がって大きなダウンフォースを得られます。最後は、ウイング後端が後方側へと流れるように後方へ倒れているので、抱え込まれた空気は上に向かって跳ね上げられるのではなく、ウイングに沿って滑らかに後方へ流れていき、空気抵抗の増大を抑えます。空気は物体があると、ある程度それに沿って流れようとするので、このウイング形状によって空気が上に跳ね上げられるのを抑えることができます。
このように、平板のウイングよりもダウンフォースは大きく、空気抵抗は小さくなることを狙ったものです。

ウイング後端とボディの間には高さのギャップがあり、隙間が開いています。この隙間は、あえて塞がずに開けているものです。もし塞いでしまうと、フロントウイング上面後端を通過した空気は、ギャップ部へ回り込むようにして渦を作り、抵抗を生んでしまいます。

もしギャップ部の隙間を塞ぐと渦ができて抵抗になる。

しかし、隙間を開けていれば、フロントウイングの下側に流れ込んだ空気が隙間から出てきて、フロントウイング上面を通過してきた空気と合流し、スムーズに後方へ流れていきます。これによって渦が作られることがなくなり、抵抗を減らすことができます。

形は奇妙かもしれませんが、ハイダウンフォースとロードラッグの両立を図った自信作です。ADF-2以前よりも最高速は上がりましたし、空中での頭下げ姿勢をしっかり作れるようになったので、狙った効果は出せているんじゃないかと思います。

素材として、フロントウイングだけ一部にミニ四駆キャッチャーを使っています。4枚のフェンスのほか、前縁の裏側に5ミリ幅のキャッチャーを貼って補強しています。当初は全てクリヤカバーから作っていましたが、COの衝撃で短期間のうちに大きく破損したので、重量増を甘んじて受け入れ、強度を優先しました。

サイドウイング

ADF-3にはもうひとつ特徴的な形をしたウイングがあります。それがこのサイドウイングです。

この形状は、ルール無用JCJCで空力マシンをやっている方の動画に登場したウイングを参考にしました。

2分20秒あたりに「プロに空力設計してもらったウイング」として登場します。プロというのがどのような方なのかは触れられていませんでしたが、独特のウイング形状にただならぬパワーを感じました。
この動画のウイングを参考に、1枚の板で作れるような断面形のウイングを考案しました。

赤がウイングの断面、黄が気流です。
(あくまで想像図です。)

サイドウイングの空気の流れについて考察してみます。ウイング形状は、後方がくねるようにS字を描いて大きく上へ立ち上がった形状です。S字形状の下半分で空気をしっかりと抱え込んでウイング上面の圧力を上げてダウンフォースをかせぎつつ、S字形状の上半分の後方へと流れるラインによって空気を後上方へ流し、ダウンフォースをさらにかせぎつつ空気抵抗の増大を最小限に抑えているものと考えられます。

実はフロントウイングの形状も、もとはこの動画のウイングにヒントを得たものです。フロントに装着するとなると、そのままの形状だとフロントタイヤと干渉するので、断面形状を少し変えた結果、リニアモーターカーのような形に落ち着いたという経緯です。サイドウイングのようにしっかりとしたS字形状の方が空気を抱え込む効果が高く、面積あたりのダウンフォースはフロントウイングより上と思われます。

また、サイドウイングの取り付け位置は、翼面積を確保するならリヤタイヤに目一杯寄せて前後長を伸ばすのがいいのですが、あえてそうせず、やや前方寄りとしています。これは、サイドウイングのダウンフォースが車体の重心より後方で発生すると、空中で姿勢を頭上げにしようとする力になってしまうためです。

このサイドウイングは大きさの割にかなりのダウンフォースを発生しているようで、ためしにサイドウイングの付いていないアンダーパネルに交換して走らせたところ、ジャンプの飛距離が目に見えて伸びました。裏を返せば、サイドウイングが発生させるダウンフォースが飛距離を縮めるのに貢献していたということです。

リヤディフューザー

リヤディフューザーも、これまでのマシンとADF-3が大きく異なる部分です。これまでのマシンでは、リヤブレーキプレートが邪魔になって、リヤアンダーパネルをほとんど跳ね上げることができていませんでした。しかし、リヤブレーキを2本のスキッド(そり)とすることで、リヤディフューザーの搭載スペースを確保できました。ブレーキを貼れる面積は犠牲になりますが、そもそも強くブレーキをかけずにスロープセクションをクリアするのがダウンフォースマシンのコンセプトなので、特に問題はありません。

跳ね上げた部分は、アンダーパネルに後方から切り込みを入れて、スキッドと重なる部分以外を上に折り曲げたものです。跳ね上げ部分両サイドのフェンス部分は別パーツになっており、両面テープで取り付ける構造です。

タミテの中にスタイリングメッシュ

黒いタミヤテープを貼ってある部分は、リヤタイヤ後方に位置します。
この部分は、フェンス乗り上げ時に下から押されるとリヤタイヤに接触しやすいので、何も加工しないでいるとリヤタイヤに巻き込まれてタイヤの回転を妨げ、最悪の場合はマシンが停止します。実際、完全に停車してしまったことがあります。
そこで、角を斜めに切り落として、欠けた部分を埋めるようにスタイリングメッシュを貼り、その上からタミヤテープを貼って元の輪郭を作っています。こうすると角の部分がやわらかくなるので、リヤタイヤに触れても巻き込まれなくなります。

リヤウイング

ADF-3のリヤウイングは複数あり、交換して空力特性を変更することができます。
普通のミニ四駆はブレーキやマスダンパーのセッティングを変えて空中姿勢を調整をします。ならば、空力に大きく頼っている空力マシンは、空力パーツのセッティングを変えれば空中姿勢を調整できるはずです。

ハイダウンフォース型リヤウイング
ローダウンフォース型リヤウイング
逆キャンバー型(キャンバー小)
(ここでいうキャンバーとは、翼の反り具合のことです。)
逆キャンバー型(キャンバー大)

現在のところ、4種類のリヤウイングを用意しています。スロープセクションでの速度域やスロープの種類によって空中姿勢は変わってくるので、レイアウトに合わせてリヤウイングを交換して対応します。
上に向かって立ち上がっているウイングほど頭上げ、下に垂れ下がっているウイングほど頭下げの傾向に調整できます。
基本的にはローダウンフォース型か逆キャンバー型(小)が良さそうです。
リヤウイングの交換で空中姿勢はかなり変わります。

メインボディ

メインボディはTRFワークスJr.の前後をカットして使っていますが、加工した箇所がいくつかあります。

リヤの最後端部分は、数ミリほど下に折り曲げてあります。これは、リヤウイングの下側に気流を導くためです。
ホイールアーチは削り込んで、車高を落としています。

透明でわかりにくいですが、ボディ両サイド上部にフェンスがあります。

両サイドには、窓ガラス下端のラインに合わせて、前端から後端までフェンスを付けました。ADF-1ではルーフにもフェンスを付けていましたが、コースアウトしてひっくり返ったときに傷みやすいので、今回はサイドのみに取り付けました。
フェンスをボディ両サイドギリギリまで寄せずに少し内側に取り付けているのは、レギュレーション対策です。もし両サイドギリギリに寄せるとフェンスがタイヤより外側に出てしまいます。そうなると、フェンスがボディの一部ではなくパーツとみなされた場合、レギュレーションに抵触することになります。大事をとって確実にレギュレーションに適合できる設計にしました。

普通の乗用車のように上部の膨らんだボディ形状は、ADF-2のようなフラットな形状よりもダウンフォース発生に不利ではないかと思っていたのですが、走らせた感じとしては、あまり差はないように思えました。おそらく、フロントウインドウ部分でわずかにダウンフォースがはたらき、逆にリヤウインドウ部分はわずかにダウンフォースが弱まるので、頭下がりの傾向が強まり、空中においては、車体全体としてのダウンフォースを高めることになっているのだと思われます。

ボディの取付方法は、ギヤカバーに立てた2本のビスにゴム管で固定しています。

アンダーパネル

アンダーパネルはMSシャーシと同じく3分割になっています。センターシャーシのアンダーパネルは、そのまま横に伸びてサイドウイングになっています。
アンダーパネルの役割は、車体下面の空気を滑らかに後方へ流すことです。フロントからリヤまで平面でつなげるようにしています。また、前後タイヤの間をアンダーパネルで埋めるようにしています。
基本的にはADF-1と変わりませんが、一部異なる部分があります。
ひとつはリヤディフューザーで、これは先述のとおりです。
もう一つはフロントのアンダーパネルで、フロントタイヤ前方の部位をなくしました。空力的にはタイヤの前方にもアンダーパネルがあった方がいいです。しかし、着地やフェンス乗り上げ時に強い衝撃を受けるため破損しやすく、ADF-1ではスタイリングメッシュとタミテを素材として衝撃に耐えられるよう狙いましたが、それでも破れました。それで仕方なく、この部分はアンダーパネルなしとしました。
ただ、性能の低下は全く感じられません。もしかすると、回転するフロントタイヤ面によって、空気がフロントタイヤ前方部分の空間から後方に向かってかき出されて、アンダーパネルがなくとも気流がうまく流れているのかもしれません。

空気の流れ(イメージ)

あくまでイメージです。

例によってあくまで想像図ですが、ジャンプ中の空気の流れをイメージ図にしてみました。
車体上面では、フロントウイングからルーフの頂点までの部分が前方から風を受けて空気を圧縮し、圧力が上がります。ルーフ後方からリヤウイングにかけては、空気をスムーズに後方へ流します。
車体下面では、空気はスムーズに後方へ流れ、車体が前傾姿勢であるために空気が少し引き延ばされて圧力が下がります。そしてディフューザーに沿って空気が流れることで、気流は上へ押し上げられます。上下の空気流は、リヤウイングとディフューザーの後方で合流します。
また、車体側面のサイドウイングでは、S字断面部の前方側と後方側に渦ができ、その渦とウイングに沿って気流が上に押し上げられます。
あくまで想像図ですが、だいたいこのような感じで車体上面では圧力増加、下面では圧力低下がおきることで、ダウンフォースを発生させているのだと考えられます。

走行レポート

①フレンドリーカップ(2024.1.28)

ADF-3の初レースです。
この日のコースはスロープ上りやドラゴンバック後4枚着地がメインでした。一箇所3枚着地はあるものの、バンク下りからスロープ上り直結なので4枚着地のブレーキセッティングでクリア可能。つまり、立体セクションで速度を出しやすく、私の空力マシンのコンセプトを活かしやすいレイアウトでした。

フレンドリーカップ。よくお邪魔させていただいている走行会です。いつもありがとうございます。

この日のレース成績は、2位入賞

練習ではかなりの好タイムで完走率も高かったものの、予選(10回レースのポイント数勝負)では1位5回、COも5回というムラのある結果。マシンをチェックするとグリス切れでフレキの減衰が抜けており、これが原因で空中姿勢と着地が安定しなかったようです。減衰グリスを入れ直すと走りが良くなりました。
決勝トーナメントは、3つの下剋上トーナメントで優勝決定戦出場者を決めるというもの。予選10回レースのポイント数が高い人ほど上位の配置になります。各トーナメント8人ずつ、私は上から2番手と好順位につけ、電圧を落として完走率を上げたのが奏功して、優勝決定戦に進むことができました。
優勝決定戦は、下剋上トーナメントの時より0.03V電圧が高い状態で挑んだところ、コースアウト! 早く走りたいという気持ちが出て、まあ大丈夫かなと電圧調整を途中で切り上げたのがダメでした。
その後、2位決定戦には勝利して、結果は準優勝。
しっかりと電圧を下げておけばよかったと反省しています。何にせよ、初レースで表彰台ということで、ADF-3のポテンシャルの高さは十分に確認できました。
レースの動画はYouTubeで見ることができます。https://m.youtube.com/watch?si=bQ7nWCOwKBKm6Xkz&v=n1TvFd1W-FM&feature=youtu.be

(3分13秒頃からオープンクラス決勝、4分28秒頃から2位決定戦、7分38秒頃から対戦表と入賞マシン画像です。)

ちなみに、このときはまだハイダウンフォース型のリヤウイングしか作っていなかったのですが、空中姿勢が頭上がりになってダメだったので、むかーし作ったキャンバーの小さいリヤウイングを急遽搭載して、しのぎました。
リヤウイングを複数作ったのは、この日の反省を踏まえてのことです。

②テスト走行(2024.2.3)

埼玉県狭山市のHDベースでテスト走行をしました。

3レーンコースに5レーン風セクションが組み合わさった特殊なレイアウト

このときのコースは少し特殊で、3レーンのコースなのですが、5レーンと同じ寸法のスロープやドラゴンバックがあります。というか、この時のレイアウトは、5レーン風のドラゴンバック、5レーン風の上りスロープ、3レーン用ワンピースドラゴンバックと、立体セクションに普通の3レーンスロープが使われていませんでした。つまり、ブレーキを効かせるのが難しいということで、空力の効果の見せどころでした。
特に空力の効果が強く出たのは5レーン風上りスロープでした。ここはブレーキが効かないのですが、それはつまり進入速度が落ちないということでもあります。そのため、ダウンフォースがよく効いて、まるで這うように高速でスロープをクリアしていきました。

また、この日は、複数のリヤウイングを作って最初の走行テストでした。
このとき作ったのは、ハイダウンフォース方、ローダウンフォース型、そして逆キャンバー型(キャンバー大)の3種でした。この3つの中ではローダウンフォース型のとき空中姿勢が良く、最も走りが安定していました。
ただ、もう少しだけ頭下げ姿勢でもいいかなと思われたのですが、そのために逆キャンバー型(大)に交換すると頭が下がりすぎる結果に。これを踏まえて逆キャンバー型(キャンバー小)を作ることになりました。

また、先述のウイングの他に、S字を横倒しにしたような断面形のウイングも使ってみました。

このウイングは、逆キャンバー型のように頭下げの傾向を作りつつ、車体後方の気流を上向きにすることでダウンフォースの向上をできないかと考えて作ったものです。しかし、走らせた結果、ハイダウンフォース型のウイングと同じくらい頭上げ姿勢になってしまいました。おそらく、リヤウイングが気流をしっかりと抱き込んだ上に、ディフューザーとの相乗効果で車体後方の気流がかなり上向きになって、リヤが強く下へ押さえつけられたことで、頭上げ姿勢になったものと思われます。
独特な形状で気に入っていたんですが、期待した効果は得られなかったので不採用となりました。

③Y'sミニ四ガレージ月例レース(2024.2.10)

ADF-3の2度目のレースです。
コースレイアウトは、3枚着地の後すぐに2枚着地が来るセクションが複数あるというもの。

2枚着地のあるレイアウト。走らせ甲斐のあるロングコースはY'sの特徴です。

2枚着地のセクションは、どうしても大きく減速せざるを得ないため、ダウンフォースが弱まり空力によるアドバンテージが小さくなります。
端的に言って、空力マシンの得意そうなレイアウトではありません。ただ、2枚着地セクションの前には必ず3枚着地セクションがあり、ある程度減速した状態で2枚着地セクションに入れるので、ブレーキをそこまで強くしなくて済みます。つまり、普通に2枚着地に合わせるよりは弱めのブレーキで走れるので、3枚着地セクションに入る時の速度はそこそこ上げられます。
ということで、このレースでADF-3がどこまでやれるのかは未知数でした。

Y'sの月例レースは、予選5レースの合計ポイントを競い、ポイント下位者数名が脱落、残った者で決勝トーナメントが組まれます。予選ポイント上位3名はシード権を得て、トーナメント2回戦からの出走となります。
予選レースの戦績は、5戦4勝1COと上々でした。勝ちは3点、完走負けは1点、COは0点なので、私のポイントは12点でした。
しかし、予選の結果、フルマーク15点が1人、12点が私を含めて3名ということで、12点の3人でレースをして負けた1人はシード権なしとなりました。シード権をかけたレースはCOで負けてしまい、惜しくもシード権を逃します。
そして決勝トーナメントは、1回戦でCOして負けてしまいました。
予選レースの結果は悪くなかっただけに、悔いの残る結果でした。

この日のレースは、ブレーキの使い方が上手くなかったと反省してしています。
ADF-3で2枚着地のあるレイアウトを走らせるのは初めてで、ブレーキを強めようとしたのが悪かったようです。リヤに青ブレーキを貼っていたのですが、ジャンプの姿勢が安定せず、綺麗に走ったかと思うと、その次は姿勢が乱れてCOしたり、不安定な走りでした。
レース後、リヤのブレーキをはがして、代わりにリヤステーをワッシャー1枚分だけ低くしたら、ジャンプの姿勢が安定しました。結果、ブレーキはフロント青だけの状態が最も調子が良くなりました。しかし、速度を少し上げると2枚着地が安定しなくなってきて、かと言ってリヤにブレーキを貼ると姿勢が乱れるし、フロントを赤ブレーキにすると減速が強すぎてタイムロスするしで、やはり空力によるアドバンテージが出にくいレイアウトだなと思いました。

2枚着地のセクションがあるレイアウトでは、空力を使わない方がいいのかもしれません。そこで、空気抵抗が大きいパーツを無くし、トップスピードの低下を抑えた形態に変更できるパーツを作りました。

ADF-3 低抵抗モード

フロントウイングをただのフロントカウルに交換。
アンダーパネルはサイドウイングのついていないものに交換。
リヤウイングは大キャンバーの逆キャンバー型として、リヤディフューザーとの組み合わせで車体後部で上下の気流がスムーズに合流できるようにしました。
この形態だと、感覚的な予想ですが、ダウンフォースは多分4分の1くらいになるんじゃないかと思います。その代わり空気抵抗は減るので、最高速が伸びます。これにしっかり減速できるブレーキを組み合わせれば、2枚着地のあるレイアウトでの戦闘力はダウンフォースに頼るよりもマシになるんじゃないかと思っています。
またどこかで2枚着地のレイアウトがあったら使うかもしれません。

④HD-BASE 昼の御茶会(2024.2.12)

今度はHD-BASEでレース、昼の御茶会に挑戦してきました。
レイアウトは②のテスト走行のときと同じです。
OXシステムを使ったレースで、各選手のタイムと完走率がモニターに表示されるので、とても楽しい! それにデータが取りやすい。

練習走行の結果、完走率とタイムの両立を目指してやや迷走しつつも、そこそこのタイムで高い確率で完走できるようにセッティングができました。

フロントウイングのフェンスがバキバキに!

しかし、このときはフロントウイングの素材にキャッチャーを使う前だったので、練習中、フロントウイングがどんどん損傷していき、最終的には4枚あるフェンスのうち右外側を除く3枚が重大なダメージを受けました。
特に右内側のフェンスは損傷がひどく、上半分がなくなっています。これをそのまま修復せずに走らせたところ、なんと空中姿勢に少し頭上がりの傾向が出ました。フロントウイングによるダウンフォースが減ったということです。
つまり逆説的に、フェンスの装着によってダウンフォースが上がっていたということです。フェンスはちゃんと仕事をしていたんだなぁ。

タミテで応急修理

フェンスがないとダメだということがわかったので、タミヤテープで応急修理してレースに臨みました。

そんなトラブルもありましたが、この日の結果は、なんと優勝!!

ADF-3、よく頑張った!!

予選レースは4回で、3勝1COでした。タイムは参加者14人中3位と上々。
決勝は全員参加のトーナメントで、準々決勝、準決勝、決勝と、3回勝てば優勝という流れ。
一発勝負のトーナメントなので、準々決勝、準決勝ともに100%完走できるようにしっかり電圧を落としました。結果、ギリギリ相手の速度を上回り、決勝に駒を進めることができました。特に準決勝は、この日のファステストタイムを準々決勝で記録した選手が相手だったので、電圧を落とすのは賭けでしたが、相手も速度を抑えてきたようで、競り勝つことができました。

決勝は3人でレースして、2本先取した者が優勝、3人とも1勝ずつとなるまで電池交換なしというHD-BASE恒例の形式。
やはり100%完走できる電圧まで落として挑みました。
タイム的には僅差でしたが、1本目2本目を連続で取って、ストレート勝ちで優勝を決めることができました! めちゃ嬉しい。決勝レースの様子はHDベースさんのツイッターで公開されていますので、どのような走りか気になる方は是非ご覧ください。

空力マシンでの優勝はADF-1でも達成していますが、そのときは速度的には負けていて、完走率の高さと相手のCOでなんとか勝ったという形でした。
しかしこの日は、ファステストラップこそ譲ったものの、スピードレンジはトップグループに食い込んでいたと思います。準々決勝から決勝までの全レースで相手も完走している中で勝つことができたので、ただ完走率が高いだけではなく、速度も十分に出せるマシンになっていると思います。

走行中の様子として特徴的だったのは、平面区間では相手と同等かやや遅れ気味となるような速度であっても、立体セクションの飛翔中にオーバーテイクすることが何度もあったことです。
立体セクションでの減速を抑え、伸びるはずの飛距離を空力によって抑え込むことでコースアウトを防いでタイムをかせぐという、私の空力マシンのコンセプトをついに実現することができました。
また、この日のフロントウイング損傷を受けて、より強度のあるキャッチャーでフロントウイングのフェンスを作り直すことにしました。

⑤HDBASE 夜の御茶会(2024.2.15)

2/12昼の御茶会と同じレイアウトですが、再びレースに挑みました。
ここまでの走行テスト結果を踏まえた改修を経て完成形となったADF-3の最初の走行、そして実戦です。

レースの結果は、昼の御茶会に続いて再び優勝!

まさかの空力マシン連続優勝!

予選レース4回は、ファステストラップを狙いに行って4回ともCO!
しかし御茶会レースは、予選レースのポイントに関係なく全員が決勝トーナメントに出られます。予選と言ってはいますが、速度域の見極めをするためのプラクティスに、ファステストラップへの挑戦がくっついたような感じです。そこで、確実な完走は捨てて攻めてみたんですが、一度も完走できませんでした笑

決勝トーナメントは1度でも負けたらそこで終わりなので、完走重視で電圧をしっかり落とし、準々決勝は相手CO、準決勝は僅差で勝ち、予選ノー完走ながら、なんとか優勝決定戦に進むことができました。
優勝決定戦は2本先取制、3人とも1勝ずつとなるまで電池交換なしなので、1本目COでも優勝の可能性は残ります。なので、1本目はCO上等でファステストラップ狙いの電圧高めで行きました。
そして案の定、1本目はCO!
2本目は、速度では負けていましたが、1本目を取った相手がフェンス乗り上げでタイムロスしたおかげで、辛くも勝利。
3本目は、1本目を取った相手と抜きつ抜かれつの展開。ファイナルラップで相手がバーニングチェンジャーを抜けたところで大きく遅れましたが、ラストのジャンプセクションで追いつき、ゴール前の連続コーナーでオーバーテイクに成功! マシン1台分の超僅差で何とか勝って2本先取し、優勝することができました。
HDベースさんツイッターの決勝レース動画はこちらです。

前回のレースのときより速度域が上がっていて苦戦しました。特に、優勝決定戦の2本目でもし相手のミスがなければストレート負けでした。一方、3本目では最後の最後に、立体セクションの空中で速いという空力の強みが効きました。空力の優位性だけでなく相手のミスもあって、なんとか得られた勝利だったと感じます。
何はともあれ、空力マシンで立て続けに優勝できたことで、自信が深まりました。

もはや空力の存在は確実

⑥タイムアタック(2024.2.3〜2.18)

HD-BASEさんでタイムアタック1位を取ることができました!

レイアウトは上記の優勝したレースと同じです。
当初のタイムは走行レポ②のテスト走行時に記録した21.28で暫定1位。しかし、走行レポ④のレース後に21.25を記録されて2位に落ちます。が、その日のうちに21.21を記録して再び暫定1位に。その後、2/18に再び遊びに行ったところ、知らぬ間にわずか100分の1秒差、21.22まで肉薄されていたので焦りましたが、21.13と更に記録を伸ばすことに成功。翌2/19にレイアウト変更があり、タイムアタックの集計が終了、1位を獲得することができました。

ブレーキを効かせにくいレイアウトだったので、普通であればジャンプの飛距離を縮めるのに速度を落とすしかないところ、空力マシンはダウンフォースによって飛距離が抑えられるので、速度の限界値が上がります。この空力によるアドバンテージが勝因だったと思います。

タイムアタック1位ステッカー。
獲得するのが目標だったので嬉しいです。

なお、走行レポ③や④のレース時には、だいたい22.5〜22.8秒くらいのタイムで走っていました。

おわりに

ADF-1やADF-2の戦闘力は、それまでの提灯やキャッチャーダンパーを搭載していた自分のマシンと比較して、同等以下というのが自分の感覚です。

しかしADF-3は違います。自分が作った提灯やキャッチャーダンパー搭載マシンよりも確実に速くなりました。
レースでも表彰台に上がり、タイムアタックでも記録を残せたのは、完走率とスピードを両方とも向上させることができた証左であると思っています。

ただし、これは立体セクションでの速度を高くできるレイアウトでの話です。立体セクションでの速度が落ちて空力の恩恵が得られにくい2枚着地のレイアウトでは、まだ良い結果を出せていません。
次は、2枚着地レイアウトでも提灯車をちぎれる空力マシンを作りたいです…が、今のところ次のアイデアが出揃っていないので、当面の間はADF-3をレースで運用していき、アイデアが出るのを待とうと思います。

このnote記事は、少しでも空力ミニ四駆が広まってくれれば、そして空力ミニ四駆作りに悩んでいる人へのささやかなアドバイスになれば、との思いで書きました。
ですので、ご意見ご要望のほか、ご質問などございましたら、お気軽にコメントしてください。
一緒に空力ミニ四駆をやりましょう!
今回も最後までお読みいただきありがとうござきました!

ダウンフォース最高!!

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