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カンタン!斜めブレーキ

ミニ四駆のミニテクニック!

今回は、カーボンを使わず簡単に作れる斜めブレーキを紹介します。

はじめに

斜めブレーキ。
バンクをスルーしつつ十分なブレーキ力を確保するためのテクニックです。
路面に面で当たらないブレーキは、スポンジの角だけが路面に当たることになります。それでは制動力に限界があります。しっかりと面で当てることで強力な制動力が得られます。

しかし、FRPやカーボンのプレートを加工して最適な形状のブレーキプレートを作るのは、とても工作難度が高い。
狙った角度にするのも難しいし、左右で角度のズレなく削るのも難しい。
削りすぎて失敗したら、やり直しが効かない。
作るのが、とっても大変!
そう思っている人が多いのではないでしょうか。

階段ブレーキ

そこで提案したいのがこちら。

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ベーシックボックスのスリーブで作るブレーキプレートです。

作り方をザックリ言うと、スリーブをいくつかの太さの異なる短冊状に切り、それを階段状に重ねてブレーキプレートにするのです。

スリーブを真っ直ぐに切り出すことさえできれば、左右で角度の違いは出ません。
カーボンやFRPを削るよりも加工が容易です。削りカスや粉末が飛ばないので健康面でも安心安全です。
しかも、重ねたスリーブは両面テープで仮止めした後に接着剤で固着させる工法なので、もしズレても接着剤を塗る前ならやり直しもできます。

取り付けには、両面テープを採用しています。つけ外しが容易なので、前後の位置調整もできますし、スリーブを1枚カサ増しする等して高さの調節も可能で、ブレーキセッティングの幅が広がります。ある程度接着力の強い両面テープを使えば、意外にもレース中にはがれることはありません。

是非ともオススメしたいブレーキプレートです。

作り方

素材
用意する素材はこちら。
ベーシックボックスのスリーブ
 私は「ミニ四駆ベーシックボックス (スリーブ付)アバンテJr.30周年https://www.tamiya.com/japan/products/95456/index.html)」に付属していたものを使っています。AOパーツの「ミニ四駆ベーシックボックス クリヤーカバー(https://www.tamiya.com/japan/products/10322/index.html)」でもOKのはず。私は使ったことがないので、もしかしたら厚みが違うかも。
両面テープ(強力で薄いもの)
 接着力がある程度強くて、かつ、薄いものがいいです。私はニチバンの「ナイスタック(皮革・ゴム・プラスチック用)(強力)」を使っています。

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(https://www.nichiban.co.jp/general/stationery/doublesided_tape/nicetack_leather/)
低粘度の瞬間接着剤
 粘度が低くてスキマに染み込んでいくものがオススメです。私は「×3S」を使用しています。

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(https://www.hobby-wave.com/products/om016/)

以下、詳しい作り方です。

断面形状の決定
作る前に、ブレーキプレートの断面形状を決めます。

まずは厚さを決めます。
厚さを決めるためには、目標とする最低地上高と使うブレーキスポンジの厚さを決める必要があります。

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今回は、レギュレーション上の最小値である地上高1㎜を狙います。
次に、使用するブレーキスポンジの厚さを決めます。構造上、スポンジが薄いほどブレーキの面積を広くできるのですが、薄すぎるとスポンジの耐久性が落ちるので、私は2㎜を愛用しています。

次は、フロントバンパーの下側、ブレーキスポンジ取付部の地上高を測ります。

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私のマシンの場合は5㎜でした。
これで、ブレーキプレートの厚さが決まります。フロントバンパー下側の地上高から、スポンジの厚さと所望の最低地上高を引き算した数値が、ブレーキプレートの厚さになります。
今回の場合は、
「バンパー地上高5㎜ − スポンジ厚さ2㎜ − 最低地上高1㎜ = プレートの厚さ2㎜」
となります。

次に、前後の長さを決めます。
…が、そのためには、ブレーキプレートの角度を決める必要があります。
何度にするのがいいのか?
ブレーキスポンジは、面全体で路面に当たるよう、スロープ路面と平行な角度で作るのが最も理想的と思われます。
スロープ路面の角度は、測定してみると15°です。
しかし、ブレーキが当たり始める位置の路面は、まだ角度が15°まで上がりきる手前なので、もっと浅い角度です。私の経験上、ちょうどいいのは7.5°です。が、マシンによって微調整させる必要があるかもしれません。とりあえず、特にこだわりの角度がなければ7.5°で作ってみるといいかと。

さて、三角関数を使って計算すると、厚さ2ミリで角度7.5°なら、長さは15.2㎜となります。

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こうして目標とする断面形状が決まりました。

階段の段数の決定
スリーブを階段状に重ねてこの断面形状を作るわけですが、では、何段重ねにすればいいのか?を考えていきます。
スリーブに両面テープを貼り、剥離紙を剥がした状態のものは、厚さ0.45㎜です。

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(ノギスはアナログ派)

これを2㎜まで重ねるのですが、5枚だと2㎜をオーバーしてしまうので、ひとまず4枚重ねで1.8㎜とします。図にするとこうなります。

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しかし、1.8㎜では2㎜に少し足りないので、⭐︎印の部分の両面テープだけ2枚重ねにして、厚さを調整します。テープは1枚0.15㎜なので、これで1.95㎜と、ほぼ2㎜になります。
断面形状の理想としては、一番上の部分である取付用テープを2枚重ねにするのがいいのですが、テープの粘着力が落ちてきたときの交換が面倒になるので、その1つ下の段のテープを2枚重ねにしました。

部品寸法の決定
4枚重ねで全体の長さ15.2㎜の階段を作るわけですから、各段の長さは、その1/4で3.8㎜になります。ですので各段のパーツの長さは、3.8㎜×段数となります。 

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ただし、一番上の段は、前方部分を少しだけ切って短めにします。こうすることで、スポンジをやや巻き込み気味に貼り付けられるため、スポンジの角が路面に当たりにくくなり、走行時の剥がれ防止になります。-0.5㎜の14.7㎜で作ります。

パーツの切り出し
では、パーツを切り出して行きます。
が、その前にブレーキプレートの左右の幅を決めます。
あまり幅が広いと、コーナー直後などマシンが斜めにスロープへ突入したとき、ブレーキの当たり具合のレーンごとの差が大きくなります。かと言って、幅が狭いと制動力が落ちます。
私は、プレート幅は40㎜にして、スポンジの幅を変えてブレーキの面積を調節していますが、ここは完全に個人の好みによるのかなと思います。
ひとまず、今回は40㎜で作ります。

幅を決めたら、その幅でスリーブを切り出します。

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幅40㎜で切り出しました。長さは110㎜くらいです。
これを各段のパーツに切り出す前に、両面テープを貼っておきます。

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このように、幅15㎜の両面テープ2本分程度貼っておきます。細かいパーツに切り出してからテープを貼るよりも楽です。
ただし、1番上の段は、部品を切り出す段階ではテープが貼られていない方がいいので、全面に貼る必要はありません。

さて、部品を切り出します。
真っ直ぐ切り出すには、定規を当ててカッターナイフで優しく2〜3回刃を当てて切るとうまくいきやすいです。

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切り出しました。見えにくいですが、一番右のテープを貼ってないものが一番上の段になります。車体に取り付けるための両面テープは交換可能である必要があるので、この後の工程で実施する接着剤の使用によりテープが固定されてしまわないよう、この段階ではテープなしの状態である必要があります。その他の段は両面テープ付きの状態で切り出しました。

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厚さ調整のため、上から2段目だけ両面テープをもう1枚貼ります。もちろん、テープの余白はカットします。

組立て
では、組み立てていきます。
両面テープの剥離紙をはがしたら、取り付ける前に、粘着面を指で何度かペタペタ触って、接着力を少し落とします。

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これは、位置がズレてしまってやり直す際、剥がしやすくするためです。

角段の境目が全て平行でズレが無いよう、慎重に丁寧に貼り付けます。

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組み立てが完了したら、瞬間接着剤をスキマに流し込みます。各段の境目や側面から流し込んでいきます。 

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はみ出た接着剤は、軽く拭き取っておきましょう。

取付け
接着剤が乾いたら、マシンに取り付けます。
取り付けには両面テープを使います。
左右の端に10㎜以下の幅で貼るくらいで十分です。しっかり固定したい場合は全面に両面テープを貼ってもいいですが、細かい位置の調整をするのに剥がして貼ってをするのが大変になります。

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この程度のテープ面積でも、よっぽどテープの貼り付け面が汚れてない限りは、ダッシュ系モーターにピンクブレーキ装着で走らせても、まず剥がれません。

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プレート取り付け完了です。
位置の目安は、プレートの後端がフロントバンパー取り付けビスの前端に接するくらいのところです。
(ちなみにプレート左右のマルチテープは、プレート取付けの際、マシンの中心からズレないように目印として貼っているものです。)

最後に、ブレーキスポンジを貼ったら完成です。
私は、ブレーキスポンジの貼り付けにも両面テープを使っています。

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(もちろん、余白はちゃんと切り取ります。)
この一手間で、そのまま貼るよりも強力に接着できる上、剥がすときにキレイに剥がせます。

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これで完成です。
(なお、スポンジの左右に黒い線を描いているのは、ブレーキスポンジ交換時に中央からズレた位置に張り付けてしまうことがないように印をつけたものです。)

バンクスルーチェック

では、ブレーキの地上高やバンクでのスルー具合をチェックしていきます。

まず、最低地上高。

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セッティングボードの上にマシンを置いて、セッティングゲージの厚さ1㎜の部分をブレーキ最下部の下に置いてます。
ちょうど1㎜より少〜しあるくらいです。写真だと当たってるように見えますが、厚さ1ミリのプレートはスルスル通ります。1.5㎜はガシガシ当たります。
ちなみに、もしここで最低地上高が1㎜を下回ったら、残念ですが作り直しです。
階段の段数や両面テープの枚数を変えるとか、あるいは厚さの違う両面テープを使ってみるのもいいかもしれません。
(最低地上高1㎜が確保できなかったプレートは、ブレーキスポンジを薄くして使うとか、タイヤ径を大きくしたときに使うとかするといいです。)

次に、バンクスルーチェック。

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ちょっとギリギリですが、ブレーキと路面の間にしっかりスキマがあります。ちゃんとスルーできてます。
もしバンクに当たるようなら、当たらなくなるまでブレーキプレートを後方にずらしましょう。ブレーキをプレートごとペロッと剥がして、少し後方にずらしてペタッと貼り付ければ大丈夫です。ナイスタックの皮革ゴムプラ用(強力)なら、カーボンやFRPの上であれば、何度か剥がして貼ってができます。
逆に、バンク路面との間隔が広ければ、そのままだとスロープでもブレーキが路面に当たらない可能性があります。バンクスルーできるギリギリの位置を狙って、ブレーキプレートを前方にずらしましょう。

最後に、スロープチェック。

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やっぱり7.5°くらいがちょうどいいですね。
しっかりとブレーキスポンジが面全体で路面に当たってます。しかも、最前部が少し浮いているので、ブレーキスポンジの角が路面に引っかからず、剥がれ防止になっています。

レースでの使い方

ご参考に、私の運用方法を紹介します。

レギュレーションギリギリの最低地上高であるため、ブレーキ位置をかなり後方に寄せても、スロープでしっかりと路面に当てることができます。ブレーキ位置が後方寄りになるのでジャンプ時に軌道が低めになるのと、しっかりと面で当たって効きが良いので、青ブレーキだけでも十分戦えます。もちろんピンクブレーキの方が効きは良いはずなのですが、青より柔らかいためかジャンプの軌道が高くなり、総合的な制動力は青ブレーキとあまり変わらないので、ピンクはほぼ使いません。ただ、厚さが1㎜の方を使えば、また変わってくるかもしれません。

何度か走らせているうちに効きが弱くなってきたら、ブレーキスポンジを交換するのが一番ですが、ブレーキをプレートごと剥がして、少し前にずらした位置に貼り付けるだけでも、ブレーキの効きを回復させられます。ただし、これをやるとブレーキの前後位置が前に出たことによりジャンプの軌道が少し高くなるので、注意が必要です。

タイヤ径を大きくした場合など、ブレーキの高さを下げたいときは、ブレーキプレートと同じ幅で、長さはブレーキプレートより1㎜くらい長めに切り出したカサ増し用のスリーブを、バンパーとブレーキプレートの間に両面テープで取り付ければOK。
これの応用で、あらかじめ段数を1段少なく作っておき、カサ増しスリーブ装着状態を標準にしておけば、カサ増しスリーブを取り外すことでブレーキの高さを上げ、タイヤ径を小さくするのに対応することもできます。

おわりに

いかがだったでしょうか。
もしかしたら、すでに同じやり方を使っている人がどこかにはいるのかも知れないですが、もうしばらく使ってるのに、このやり方でブレーキプレートを作ってる人を全然見かけないので、紹介してみました。
大金を費やして高額な3㎜カーボンを買わなくても、カーボンやGFRPの有害な削りカスを吸い込んで肺にダメージを受けなくても、しっかり効く斜めブレーキが作れるということを知ってもらえれば、と思います。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。





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