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夢十夜(第四夜)

夏目漱石
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青空文庫より、
夏目漱石「夢十夜」の
第四夜を読みました。

《ふわっとあらすじ》

こんな夢を見た。

どこかの料理屋か。

広い土間の真ん中。
簡易な台と腰掛けで
爺さんが一人で酒を飲んでいる。
自分はそれを傍観している。

おかみさんが出てきて爺さんは何歳か、
また、どこに住んでいるかと聞いた。
しかし、爺さんはのらりくらりと
嘘か誠か分からぬ返事をしている。

おかみさんがどこへ行くのかねと聞いたら
あっちへ行くよと言って外へ出ると、
とにかく真っ直ぐ進んでいった。
自分もついていった。

爺さんは腰から瓢箪をぶら下げて
肩からは四角い箱を紐でつるしていた。
飴売りのような格好である。

柳の下に数人の子供がいた。
そこで爺さんは、
手ぬぐいをだして細長くよると、
それを地面に置き、
今にこの手ぬぐいが蛇になると言った。

爺さんは笛を取り出し、笛を吹きながら
手ぬぐいの周りをまわった。

手ぬぐいは蛇にはならなかった。
爺さんは肩にかけた箱の中に手ぬぐいを入れた。
今度は箱の中で蛇になると言う。

爺さんが「蛇になる、今になる」と唄いながら
やはり真っ直ぐ歩いていくと、川にでた。
そしてそのまま川の中にざぶざぶ入っていった。

爺さんはだんだん見えなくなってしまった。

また向こう岸に現れるだろうと思って
ずっと待っていたが、
爺さんはとうとう上がって来なかった。



《語句解説》
涼み台:住居の庭先や路地などに置く、
    木や竹などで作った細長い腰掛け。
床几:肘掛けのない坐具。脚を打ち違いに組み、
   尻の当たる部分に革や布を張った折り畳み式の腰掛
神さん:他人の妻や料理屋の女主人などを
    親しんで、また敬っていう語。
筧:地上にかけ渡して水を導く、竹や木の樋(とい)。
手桶:取っ手のついている桶。
前垂れ:前掛け。エプロン。
浅黄: 緑がかった薄い藍色。
股引:ズボン状の下半身に着用する下ばきの一種。
袖無:袖のついていない羽織。
肝心綯:かんじんより。和紙を細長く切って
    それを指先でよって糸のようにしたもの。
真鍮:銅と亜鉛の合金。
飴屋:飴売り→扮装に趣向を凝らし
   余興を添えて市中を売り歩く飴屋。
   1770年代に浅黄頭巾に袖無羽織で、
   日傘に赤い絹をたらし、鉦(かね)を鳴らして
   歌い歩く飴売りの話が《耳袋》にある。

蘆:イネ科ヨシ属の多年草。
  河川および湖沼の水際に背の高い群落を形成する。


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音声配信アプリstand.fmにて、
「しんいち情報局(仮)」の
「朗読しんいち」を
担当させていただいています。

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