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ソラマメを育てよう①土づくり

(2022年10月14日)

化学肥料高騰 有機栽培の契機に

 化学肥料が高騰している。ベラルーシに対する経済制裁、中国の輸出規制、ロシアのウクライナ侵攻などが背景にあると言われているが、世界情勢がこんなに身近な問題として降りかかってこようとは。3カ月前に比べ、1.5倍以上の値上がり。一方で販売する野菜の価格はそれほど上げられず、これでは、どうにもこうにもやっていけない。これを契機に、有機肥料にシフトしよう!

 9月中旬、稲を刈り取った後の田んぼ。ソラマメは連作障害を起こすため、今年は3aのこの田んぼに植えることにした。昨年は、元肥や追肥として、一般的な化成肥料「8-8-8」と「ようりん」を使っていたのだが、この使用量を少なくし、発酵鶏糞と発酵牛糞を投入した。

化成肥料の代用は発酵鶏糞で

 発酵鶏糞は15キロ入りで100円台と安価で、他の有機肥料に比べて、窒素成分が多く含まれているから、肥料として使える。ただ、計算して使わないと、窒素過多になって、成育障害を起こしてしまうこともある。発酵牛糞は土をふかふかにする土壌改良剤として使用する。肥料成分は微々たるもの。「牛は4つも胃があり、栄養をほとんど吸収するから、フンには肥料成分が少ない」という話を聞いたことがある。その発酵牛糞は、近所の酪農家に安く譲ってもらった。窒素、リン酸、カリの成分の微調整で、「ようりん」は使用するが、経費的には半額程度に抑えられた。

 発酵鶏糞、発酵牛糞をまんべんなく田んぼにまき、トラクターを走らせて耕運。2週間ほど土となじませた後、10月初旬、殺菌効果のある消石灰と、苦土石灰をまき、さらに耕し、土に空気を送り込む。この時、ゴム手袋とマスクをしていたのだが、消石灰にかぶれて手や顔に湿疹が…。

 今月下旬には、リン酸を補うため、「ようりん」をまいて、再度、耕し、畝たてをして、銀マルチを張る。土づくりから、苗の植えつけまで約2カ月。有機肥料を主力にするには、この期間が大切。

もみ殻は貴重な農業資材

 一方で、苗立ての準備も。まずは、もみ殻燻炭づくり。稲を刈り取り、脱穀、もみすりした後に出る、もみ殻。これが、冬の野菜栽培に欠かせない農業資材だ。ソラマメの苗を植えた後に根元にまくことで、保温・保湿効果、雑草抑制効果がある。燻炭はホウレンソウの播種後に振りかけたりもする。保湿効果だけでなく、炭のアルカリ成分がホウレンソウには最適なのだ。

昔ながらの燻炭づくり

 燻炭づくりは畑で行った。瓦で3方を囲み、即席のかまど作り、その上に小さな煙突を立てる。煙突がなかったので、廃棄処分しようと、妻が粗大ごみに出そうとしていた古い植木鉢で代用。周囲にもみ殻を富士山のように積み上げ、新聞紙に点火。もみ殻が独立燃焼し始めると、かまどの入り口部分もすっぽりともみ殻をかける。すると、じわじわと表面まで燃えてくる。そこに新たなもみ殻を積み上げる。
 これを繰り返すこと約4時間。山全体が黒くなると、それ以上燃えないように水をかけて、燃焼を止める。燃やし続けると灰になってしまうからだ。 これを、ソラマメの育苗培土の下に敷く。殺菌効果と排水性をよくするため、と母に教わりながら。

「産業廃棄物」を「資源」に!

 鶏糞、牛糞、もみ殻は、活用しなければ今は「産業廃棄物」に分類されてしまう。かつての農業は、こうした「資源」を捨てることなく活用してきたんだ、と実践して改めて思う。さて、次はいよいよ播種だ。

(あぐりげんき通信)

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